第2話 prologue
ー月明かりが差し込むとある部屋ー
そろそろ起きた頃かな
「さて、ミア。起きたかい?」
ボクはゆっくりと目の前で座る少女に告げる。
そして彼女の視界を封じるように目に巻かれている布をとり、
その傷一つない女性特有の柔らかさをもつ頬に触れた。
彼女がその美しい顔と紅蓮に輝く髪をあげ、ボクと視線を合わせる。
「ここがどこだかわかる?」
彼女は辺りを見回し、
ーその周囲の異様な景色を確認したんだろうー
「牢獄かしら。」
部屋の周りを囲む鉄格子、一つしかない窓、その状況から察せられる牢獄という答え。至極真っ当だ。
「ご名答、さすがシェフィールドのお嬢さんだね。ってこんなの誰でもわかるか。」
「ふざけないで。こんなところに連れてきてどうするつもり?とっとと目的を吐きなさい」
ミアはそう吐き捨て、キッとボクを睨んだ。
ー美少女の睨み、怖いけどこれはこれでいいな。涙目なら更に良し。
「まぁそんなに焦らないでくれよ、月明かりの差す部屋で二人というのもなかなか風情があるものだと思わないかい?」
これでシャンパンでもあったら最高にテンションが上がってたんだけど、流石にそこまでする余裕がなかったな。
「へぇ、あんたも意外にロマンチストなのね。でも残念ながら肝心のロマンスの相手があんたでしかも椅子に縛られながらっていう状況下だとロマンスのロの字も感じないわ。」
「それは残念、ならそれはまたの機会にするとして...」
「機会もなにも、私あなたのことはだいっっっっっっっきらいだからそんなことは1000万年経ってもありえないと知りなさい。」
そう言い放ち、ミアはツンとした表情でこっちを睨んできた。
これは経験上ほんとに不機嫌なときに見せる表情だ。
「見事に振られちゃったな...」
「気絶させて、ここまで勝手に運んできたことなら謝るよ。だからそんなに怒んないでって、縄も今解くから」
手足が不自由の状態だとイライラするのもしょうがないか。
雰囲気づくりのためにした演出だったけど、この美少女には不人気だったらしい。
「当たり前よ、とっととしなさい。」
「はいはい」
「あと縄解くときに体触ったら...あなたの表社会においての評価は地の底までおとすから。」
ひどい言い草だ。
まぁ不純な気持ちが全くなかったってわけでもないから仕方ないかな。残念。
「んーーーーっぱぁぁぁ、やつと自由になった。あんたにはわかんないでしょうけど、縛られるってすごい窮屈で不快なの。まったく...二度とやんないでよね。」
ぐー、ぱー、ぐー、ぱー
と縄の束縛から解放された手足を動かしながらミアがぼやく。
「さてと、君も自由になったわけだしそろそろ聞いてもいいんじゃない?
なんでボクがこんな面倒なことをしてまで君をこんなところに連れてきたのか。」
そしてボクはそう、彼女に言った。
悠宮 澪の楽しい奴隷蒐集生活〜Slave collector @Rena4771
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