突き刺し山茶花（さざんか）

無刀流・騙しの型

　あー。

　素振りか。

　はあはあ。

　刀は斬る物と決めておるのか。

　面、胴、篭手。

　どれが真剣勝負では強いと思う？

　正解は――腕だ。

　ふふふ。

　怖がっておるの。

　いや何。

　取って喰う気はない。

　突きを練習する気はないのか。

　しょうもないな。お主の流派。

　ほう。独学か。それは失礼。

「突き」はな。手首を守れる。

　ふふ。

　何。礼などいい。

　武芸の道を極めよ。

　ふふふ。

　愚か愚か。

　素振りはな。

　腕を鍛えるためにやるものだ。

　突きの構え？　見れば分かる。

　こ奴、筋力はないと見破れる。

　ふふふ。

　愚か愚か。

　まあ、いい。

　若い芽を摘むのも武芸の内よ。

　気付かないのが悪いのだ。

　この世に親切な仙人などいないとな。

　はて。剣の奥義とな。

　ふむ。難しいことを言う。

　槍を相手取るのと宇宙戦艦を相手取るのはまた違っていてな。

　巡航艦くらいなら気合いで何とか。

　宇宙戦艦と出会ったら水中に潜るしかないな。

　ふふふ。

　諧謔であるよ。

　剣か。刀か。

　ふむ。

　火薬が枯渇して久しいな。

　時代が逆行するとは。

　核は現役なのだが。

　どうしてくれよう。この世界。

　剣の奥義か。しつこいな。

　そうだな。

　伴侶に裏切られないことだ。

　剣は「盗まれる」のだ。

　子を作れなかった腹いせに、よその子を騙しているのだよ。我は。