生贄姫vs加護様
エッチな仕返し魔王様
深夜の魔王様の寝室。ベッドの真ん中にうつむせに寝かされたベアトリスの背中に、ジンが両脚を広げて跨った。
「え、あの、魔王様?揉む、とは?」
「昔、サイラスによくやってもらったんだ。疲れを取る医術の一種だよ」
医術だよとジンが強調する。ベアトリスが抵抗する間もなく、ジンの大きな両手がベアトリスの背をグッと押す。
「ひゃ!」
「ちょっと強かったかな?」
「いえ、ぁ!あの、声が、ァ!」
「声?君の声はいつだって聞いていたいよ」
ベアトリスの肩や首、背中や腰をジンの両手が圧して解して、揉んで擦って。尻を通り、太ももや足先まで順番に、強弱の刺激を与える。全身まさぐられる感覚だ。
「ンぁ!」
ジンの与える刺激に伴ってベアトリスは出したくもない、いやらしい声が漏れてしまうのを止められなかった。
「ま、ァ、魔王様、も、もう」
「王妃としてがんばっている君を応援したいんだ」
「ンッ、お気持ちは、嬉しいのですが!」
「夫として、まだまだ尽くし足りないよ」
「ぁッ」
ジンが触れる手から与えられる刺激が止まらない。
(こ、声が!声が止められませんわ!)
ジンの手によってベアトリスの全身の血流が良くなり、すっかり温かくなった。だが、どうしても漏れるいやらしい声に羞恥が極まる。
「やッアン!」
ベアトリスの目尻から、恥ずかしさのあまりに涙がこぼれてしまう。甘い声も、涙も止められない。体が痺れる甘い刺激に、ベアトリスの涙腺は弱かった。
「もう……お終いにしてください。お願いいたしますわ、魔王様」
「もういいのかい?まだまだこれからだよ?」
ジンの手の平が気持ちいいのと、漏れ出る声ですっかりベアトリスは力が抜けた。ベッドの上でくったりしたベアトリスの涙目を覗き込んで、ジンは支配欲が満ちる。
「私が触れると、私の愛しい王妃は泣いてしまうんだね?良いことを知ったな。可愛い声を聞きたかっただけだけれど、涙まで見れるとは幸運だった」
ジンのクスクス笑いに、からかいが乗っていたのをベアトリスは聞き逃さなかった。ベアトリスはベッドに起き上がり、ジンを潤目で睨んだ。
「医術だとおっしゃったのに!わ、わざとイヤらしい声が出るように意地悪しましたわね!魔王様!」
「バレたかい?この間、君に煽られたのが悔しくてね。仕返ししてしまった」
ベアトリスが尖った耳にフッと息を吹きかけ、思わず赤面してしまったことをジンは根に持っていた。
「この魔王を煽ったんだ。私に犯される覚悟は、とうにあるのだろう?奥様?」
「そ、そう言われるとその……」
ベアトリスは「犯す」の単語が淫猥で、熱が上がった。魔王様にまだ触れないと言われて強気に出たが、襲うぞと言われると身が引ける。乙女は複雑だ。
もじもじ口を閉じたベアトリスはまた恥ずかしくて瞳が潤む。
「私が触れると泣いてしまう君が愛おしいよ。君をからかって、追いつめて悦ばせて泣かせていいのは私だけ。君の涙は格別に特別だ」
ベアトリスの目尻に浮かぶ涙を、ジンの冷たい指先が掬う。雫のついた指先をジンはぺろりと赤い舌で舐めとった。
「美味しいよ、ベアトリス。もっと泣かせたくなるくらいにね」
魔王様が真っ赤な瞳を細めて、舌なめずりする仕草は淫猥だった。
(魔王様の指も舌も声も顔も全部えっちですわぁあー!)
ベアトリスはますます頬を染める。両手で顔を覆ってしまうほど、魔王様の魅力が突き刺さって息苦しかった。
「こ……降参いたします。もう旦那様のお耳にフーはいたしませんわ」
「わかってもらえて良かった。君に煽られると私が先に降参してしまうからね」
にこやかに微笑むジンに頭を優しく撫でられて、ベアトリスは調子に乗った悪戯をきちんと反省した。
「私を誘惑するのはほどほどにしてくれ。血迷って、幼い妻を犯してしまう」
「犯すっておっしゃらないで!」
また赤くなりウルウル熟れるベアトリスがジンの胸をぽかぽか殴ると、ジンが愉快に笑った。
超年上旦那様は、キスをしない。だが、絶妙にラインを犯さない卑猥な仕返しは倍返しどころでは済まないのだ。
可愛くてたまらない妻を、ジンは紳士に自室まで送り届けた。夜も更けているが、ジンはその足でサイラスの私室を訪ねる。
サイラスの私室の前に立つと、自然と扉が開いた。ジンの気配を掴んでいたサイラスがしかめっ面でジンを迎える。
「何の用だ?僕はエリアーナとの将来を検討するのに忙しいんだが」
「暇そうで何よりだ。お邪魔するよ」
サイラスの隣をすり抜けて、ジンは勝手に部屋に上がり込みテーブルの前の椅子に座り足を組んだ。
「私の妻は毎日可愛いを更新していてね。やはり夫として妻に尽くしてやりたいじゃないか」
「惚気なら帰れ」
「王妃として懸命に努力する愛い妻のために、私が一肌脱ぐことにしたんだ」
ため息をついたサイラスが指を鳴らせば、生き血ジュースが振舞われる。前に座ったサイラスに、ジンは本題を述べた。
「ベアトリスが加護様に力を貸してもらう方法として、試したいことがある。サイラスに協力して欲しい」
「可能性の高そうな案なら聞いてやる」
ベアトリスの師として『加護様を使いこなすぜ研究』に没頭するサイラスに、新しい案は歓迎だった。
「この魔王を、誘拐してくれないか?」
にこりと笑うジンの提案は、斬新だ。一瞬だけ思案したサイラスもにやりと笑う。
「ジン、それは、アリだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます