努力と絆 -後編-

エイシェントは、草原を歩いていた。

(そう言えば、神が仲間を増やさないといけないって言ってたよな…。今のままグラヴィスに挑むのは怖いし…。よし!近くにある村を探そう!)

「おい、神ー!」

「…なんだよ。気軽に俺を呼ぶな!」

「良いだろ別に。どうせ暇なんだし。」

「…それはそうだが…。」

「んで、用件なんだけど、近くにある村を教えてくれ。仲間をそこで探したい。」

「あー。村ね?えっとだな。お前から見て、四時の方向に村がある。四時の方向に直進して進め。」

「四時?わかったよ。じゃ、もう良いよ。」

「お前さぁ、気軽に俺を呼ぶなよな。一応神なんだからよ。」

そう言うと、神は消えた。

(なんだよあいつ。どうせ暇なくせに。まぁ、良いや。四時の方向だな。)

エイシェントは、四時の方向を向き、進み始めた。しばらく歩いていると、整備された道が見え始め、そこに沿って歩いていくと一つの村に辿り着いた。その村の名は、『ジャミル村』。商人と農民しかおらず、商人が何かを作り、農民が自分で育てた農作物でそれを買うといった生活がそこでは営まれていた。エイシェントが棒立ちで、その様子を見ていると、村の人達から、

「そんなところに突っ立ってないで、働け!」

「邪魔だ邪魔だ!どけ!」

等と言われてしまった。エイシェントは、落ち込んだ。ここの村の人達は、怖すぎる。早くこの村から出よう。そう思った時、エイシェントは、肩を叩かれた。

「ねぇ、君。その腰に刺しているものは何?」

エイシェントに話しかけたのは、つり目の美しい青年だった。金髪の綺麗な髪に、魅了される茜色の瞳を持った彼は、この村で、物凄く人気があるらしく、美人な女達は皆、その美青年についてきていた。女達は、言った。

「そんな子に話しかける必要ないわよぉ!」

「私ともっと話してぇ!」

しかし、その美しい青年がまぁまぁと言いながら、なだめ、女達を静かにさせるとエイシェントの方に視線を向けた。

「で。それはなんなんだい?」

「え、えっとね!これは、勇者の剣なんだ!」

「勇者の剣かぁ…。ってことは、もしかして君、勇者なのかい?」

「そうだよ!僕の名前は、エイシェント・コンスティッグ!勇者さ!」

「へぇ!勇者か!格好良いね!…君って、この村で見かけたことないんだけど…。もしかして、他の村から来たの?」

「そうなんだ!カドル村から来たんだよ!」

「へぇ。カドル村からかぁ。最終的な目標は?」

「目標は、魔王羊頭バフォメットを倒すことさ!」

「そうなんだ…。一人じゃ大変じゃない?」

「うん。だからこの村で仲間になってくれる人を探しているんだ。」

「あ!なら、僕が仲間になるよ!」

「え!?良いの?」

「全然構わないよ!僕も君の仲間にさせて欲しい!」

「もちろんだよ!」

「あ、言い忘れていたね。僕の名前は、ナディラ。ナディラ・リートマインだよ!よろしく!」

「よろしくね!」

すると、空が金色に光り始めた。

「うっ…。眩しい…。」

「やぁ、ナディラ。」

「貴方は…誰だ?」

「神。」

「え…?」

「神です。」

「そ、そうなんだ…。なんか…全然偉大な感じしないなぁ…。」

「なんか言ったか?」

「いえ、なんでも。」

「なら、よろしい。ナディラ、エイシェントの仲間になってくれてありがとう。」

「感謝されるほどのことではありませんよ!エイシェントの思いに憧れて、仲間になることにしました!」

「そうか。では、魔獣と戦うためにお前にも能力を与えよう。」

神がそう言うと、ナディラの体が光り始めた。村にいる者たち全員がうわぁと肝を抜かしていた。ナディラの体が光り終えると、ナディラは、赤紫色のローブを来ており、手には、大きな木の杖を持っていた。

「お前の役職は、"妖術師"だ。」

するとジャミル村の村人達が全員おぉぉぉ!!と言うと共に拍手をしたのである。

(僕の時のリアクションと全然違うな…。)

とエイシェントは、思った。

「後、ナディラは、もう技を覚えているはずだ。それを使って、敵を倒してくれ。そんじゃ。」

「ちょっ!ちょっと待てよ!」

「ん?何?」

「僕技覚えてないんだけど!」

回避イベーション覚えてんじゃん。」

「それ、誰でも覚えられるんだろ!僕最初から覚えれる技とか知らないんだけど!」

「そりゃ、そうだろ。お前選ばれし者じゃねぇし。」

「それは、そうだけど…。ナディラも同じだろ!」

「ナディラは、お前に選ばれたから選ばれし者なんだよ。」

「えぇ…。」

「それから、属性があってだな。」

「属性?」

「それは、なんですか?」

「属性は色々な種類があってな。そいつの性格や本能によって、決められる。ナディラの場合は、悪属性だ。」

「え?俺は?」

「お前は…まぁ…。普通だよ。」

「普通ってなんだよ!水とかか?」

「あー…いや…。そのー…。ゴニョゴニョ。」

「なんだって?」

「ム…ムゾクセイ…。」

「はぁ!?無属性!?」

「あぁ…。まぁ…いわゆる"凡人"だな…。」

「…。」

「…じゃ。俺はこれで…。」

すると神は、消えた。

「神様、僕に能力をくださり、ありがとうございます!よし!エイシェント、魔王を倒しに行こう!」

「…お、おう…。」

エイシェントとナディラは、ジャミル村を出て、草原を歩いた。

「そ、それでさ。この前ここら辺に土人形クレイドールの魔獣、グラヴィスってやつがいたんだよ。だから、そいつを倒したいんだ。」

「へぇ。グラヴィス…か。じゃぁ、読んでみようか。おーい!グラヴィスー!」

「いや、ちょっ…!」

エイシェントが止めたときにはもう遅かった。土が動き出し、土人形クレイドールが出来上がった。

「わざわざ人間様からお呼び出しかぁ?お?新たな仲間か勇者さんよぉ!ま、何人いようが関係無いけどな!」

「君がグラヴィスか…。よし、エイシェント。一緒に戦おう!」

「わ、わかった!」

戦いの火蓋が切られた。

「いっちょやってやるか!」

するとグラヴィスは、土の拳で、エイシェントを殴ろうとしたその時…!

死ノ護衛デスガード!」

ナディラがそう言って、杖をふった瞬間、躑躅つつじ色の壁がエイシェントとナディラの目の前に出来上がった。するとグラヴィスの土の拳が壁にぶつかり、ピキーンという音と共に拳が崩れて地面へ落ちた。

「ほう?悪属性か…。まぁ、良い!ぶっ潰してやる!」

「ふーん。意気込んでるね…。よし!次は僕のターンだ!」

ナディラは、そう言うと、またもや杖をふった。

死ノ導デスロード!」

すると、ナディラの杖から躑躅つつじ色の塊が出てきて、グラヴィスを覆った。するとグラヴィスが

「うわぁぁぁぁぁ!!」

と叫び、グラヴィスを覆っていたものが消えるとグラヴィスがいたはずの所には、土の塊が出来上がっていた。

「よし、倒せたね!」

「う、うん。」

(僕、なにもしてないんだけどなぁ…。)

初めてエイシェントは、魔獣を倒した(と言えるのかは不明だが)のである。

「ねぇ。エイシェント。」

「ん…?何?」

「こんな感じで魔王の所まで行って、倒せば良いんだよね?」

「まぁ、そうだね。」

「今の敵は弱いけど…。魔王は物凄い強いと聞くし、もう少し仲間を増やした方が良いかもね。」

「いや…ナディラで十分でしょ…。」

「そんなことないよ!ほら、仲間を探しに取り敢えず歩こう?」

「うん…。そうだね…。」

エイシェントは、少し落ち込んだ。自分の無力さに気づいたからである。


エイシェントの進捗


今回はありません


新たなデータ[ナディラ]が追加されました


ナディラの進捗

Lv.2(980)


取得

死ノ護衛デスガード


死ノ導デスロード


全体の進捗

土人形クレイドールの魔獣:グラヴィス撃破


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ここまで読んで下さり、ありがとうございました。喜楽と申します。正月も終わり、もうすぐ冬休みが終わってしまう人、はたまたもう終わった人達が大勢でしょう。私ももうすぐ冬休みが終わり、学校へと行かないといけないと思うと、溜め息が出ます。ずっと家にいたいです。さて、話は変わりますが、エイシェントもついに初めての仲間を手に入れたようです。彼の仲間はとても優秀で強く、自分は、余計なのではないかと思い始めるようになってしまいます。しかし、私はそうは思いません。人は、誰一人として余計な人はいないと思います。この物語の作者の私が何を言っているんだという話ですが…。少しでも面白いと思っていただけたのであれば、☆を押してくださるとありがたいです。それでは。


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でしゃばりな勘違い勇者は今日も行く 喜楽 @eiji4444

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