step14:嫉妬を煽る level2(??)
「何気に、カフェテリアで何かを注文するのは初めてかもしれないなぁ」
「あら?有栖もでして?実を言いますと、ワタクシも初めてなんですの」
「
「ならワタクシも………」
「え?誰かが席をとっておいた方が良いって?……大丈夫だよ。それならどっかのおじょー様がとっておいてくれてるよ、きっとね」
「いや、ワタクシはさっきからここに居るんですけど。どうして無視しますの?」
「彼女にはあとで僕からお礼を言っておくから、今は二人だけの時間を大切にすべきなんじゃないかな?………だって香ちゃんは、僕に『恋』を教えてくれるんだろう??」
「あの、有栖?無視は酷いんじゃなくって??」
「…………」
さっきから、ずっとこんな感じである。
どうしてか、結局白馬さんも私たちと一緒に食べることになってた。
そしてそれの弊害と呼ぶべきか、とにかく私たちに視線が集まる。
なんと言っても、我が女子高の『王子様』と『財閥お嬢様』、そして今はまだ『モブ』の私がいるのだから、このメンツで注目を集めないわけは無いのだけど。
それにしたって、周りも周りで遠慮が無さすぎる。
あまりにも見られるものだから、私さっきから「へぇ」「はは」「これ」「せき」という二文字まででしか返答出来てないのだが。
ともかく、そんな中で視線に耐え忍びながら日替わりうどんを注文し受け取ったあと、なぜか空いてた一番綺麗で良い席に三人で座ると。私たちも食事をとり始める。
最初はそれぞれ、会話もなく普通にうどんを啜って食べてたんだけど。
私がちらっと飛舵さんを見た時、彼女とたまたま目があった。すると彼女は何を勘違いしたのか………。
白馬さんにバレないようにサムズアップすると————。
「佐倉さん?そんなところじゃなくって、もっと貴女に相応しい場所があるでしょう?」
相応しい場所?
なんだなんだ。嫌な予感しかしないよ。
白馬さんもコテンと首を傾げている。もう無視はやめたらしい。そのハテナ顔は最高に可愛い。王子様なのに可愛いとか、改めて白馬さんは最強だ。
そんな現実逃避をしていると、飛舵さんは自身のふとももを私に見えるようにポンポンと優しく叩いた。
ま、まさか………!!!
「ほら。いつも休み時間は有栖の膝上が貴女の定位置でしょう?今日は座らないみたいだから、ワタクシのもとにいらっしゃいな」
「「んなっ!??」」
飛舵さんのこの発言には、私と白馬さん、二人して同時に驚きの声をあげる。
「ほら。そんな硬い椅子に座っていたら、貴女のお尻が痛くなるでしょう?それに比べて……、いや?有栖のふとももと比べても、ワタクシのふとももの方が圧倒的にやわっこくて、座り心地も良いですわよ。きっと」
だからこっちにいらっしゃいと、再度ふとももをポンポンする飛舵さん。その姿は、実に艶めかしく、白馬さん一筋の私の鉄の意志も思わず揺らぐ。
「ちょっと待った。さっきから
「あら?言葉通りの意味ですわよ?難しいことは何一つ言ってないのですが……。ごめんなさいね、有栖の理解力をどうやらワタクシ、過大評価してしまっていたようですわね」
「っ!!そういうことじゃなくてねぇ!!」
二人はバチバチと睨みあう。
飛舵さんは、これ演技なんだよね?ってくらいに割と本気で私をふとももの上にのせようとしてくるし。
白馬さんは多分、妬いてくれてるのかな?私の左腕をとって、王子様と呼ばれている割には、かなり豊満な胸にむぎゅっと抱き寄せてくる。
いやあの、このままだとお昼休みの時間内に私、食べ終わんないんですけど……。
ふたりとも一口が普通サイズだから、こうやって言い合ってても急げば間に合うのかもしれないけど。
私、見た目どうりで『ちんまり』してるからさぁ!
一口もちまちましてるんだよ。このままだと絶対に間に合わない!!
「というか、それよりもですよ!?」
「「??」」
私はようやっと声をあげる。
私の取り合い?をしていた二人は、私の顔を見てコテンと首を傾げた。
いや、二人とも顔が良いから、写真に収めたいくらいに超絶可愛い。
じゃなくって!!!
「最初からむずむずしてたんですけど、どうして二人とも当たり前のように下の名前で呼び合ってるんですか!??」
私だって、白馬さんと名前で呼び合うのに結構努力したのに!!
あぁ、そーですよーだ!
白馬さんを嫉妬させようとしてたけど、今は私が嫉妬してますよーだ!!!
初心な王子様(♀)を私のことが好きすぎるカノジョに堕とします 百日紅 @yurigamine33ki
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