雨上がりの路地にしゃがみ込む、一人の少年。その手には台所にあるようなスポンジ。傍らにはバケツ。
さて、この子は何者なんでしょう?
自称「天使」の奇妙な少年と、主人公の女子生徒の出会いが、物語のスタートです。
天使との出会いは、間違いなく非日常です。しかし、どこか間の抜けた二人の会話がほのぼのしていてかわいらしくて。不思議なことに、ありふれた日常を感じさせてくれました。
しかし、その出会いが迎えるのは予想外の結末で。
読み返してみれば、ほのぼのとしていた二人の一日の中に、きちんと伏線が織り込まれており、作者さんの仕込みに「なるほど……!」と唸りました。
私が微笑ましく読み進めた彼らの一日は、きっと、特別な一日だったんだろう。
読み終わった後に、そんなふうなことを思いました。