第46話 若者へ罪を押しつける、おっさん
頭の整理が追いつかない。
罪科だと?
第3魔法師団を率い、
どうすれば、そうなる?
「軍の指揮をしたゲルティ侯爵の口から、エレナ男爵の罪を説明せよ」
「はっ」
歩み出て来たゲルティ侯爵は、エレナさんを見て――。
「――今回の戦、ジグラス王国は多くの城と砦を失う事になりました。その責は――ラキバニア王国との
演技がかって悔しさを
しかし……リンデル
「陛下から国境を護る為に多大な権限を与えられた辺境伯でありながら、大恩を裏切る
なん、だと?
エレナさんの実家が……。
そのような事を?
「ラキバニア王国付近の城と砦は、こぞって寝返っておりました! それによって進軍した我が軍は想定外の被害を被り、一時は壊滅の危機にまで陥ったのです!」
それだけを聞けば、確かに敗戦の責は――エレナさんの実家にあるとも言える。
しかし、だ。
エレナさんの話では――エレナさんは実家から
実家の犯した罪を、まさか武功を立てた幼い子に問うつもりか?
「うむ。エレナ男爵。ゲルティ侯爵の申すことに、何か申し開きはあるか?」
陛下の声も冷ややかだ。
大敗を
「私は独立した男爵であり、実家は――」
「――エレナ男爵。くれぐれも言葉には気を付けられよ」
小さな声で反論しようとしたエレナさんの声を、ゲルティ侯爵が
その声に、エレナさんの小柄で細い身体が小さく震える。
やはり……覚悟を決めていても、怖いのだろう。
「まさか
自分の血を誇る陛下の気質を利用したのか!?
おのれ……。
「……私の父。実家がした裏切りは事実です。申し開きはありません」
ああ……。
エレナさんは、完全に覚悟を決めてしまった。
その
まるで――
「この通りです、陛下。大軍をお預かりした指揮官として、エレナ男爵を
「なっ!?」
思わず声が漏れ出てしまった。
謁見の間にも、今までで一番の
それはそうだろう。
まだ14歳の若者だぞ!?
それも親がした裏切りで、エレナさん自身は落ち度が無いだろうに!
事もあろうか、死罪!?
「ゲルティ侯爵。それは懲罰委員会での取り調べ次第だ」
「これは失礼しました。……陛下よりお預かりした兵を失う
おのれ……。
確かに国境を預かる膨大な領地を有する辺境伯の裏切りは痛恨だっただろう!
だが――それをエレナさん自身が関与したか、
事もあろうに――それが忠義だと!?
「良い。ゲルティ侯爵の余に対する忠義に免じて、許そう。――衛兵。懲罰委員会までエレナ男爵を牢へ
「「「はっ」」」
衛兵は瞬く間にエレナさんの身体を取り押さえ、連行を始める。
謁見の間から牢へ連行されるエレナさんの背に俺は目線を向け――怒りに打ち震えた。
確かに生前の俺が生きた時代にも――国家や主を裏切り、家族まで処罰される事例はあった!
だが――幼気なまでに小柄な少女が体を縮こまらせ、騎士に連行される姿。
こんなにも
ましてやエレナさん自身は――実家から勘当されているんだぞ!?
生い立ちが偶々、そういう親だっただけなのに……。
エレナさんは何も裁かれるような罪を犯していないどころか、勇敢に戦い抜き、功績をあげた独立した男爵だろうが!
それを認めずの裁きなど、筋が通っていない片手落ちの裁きだ!
ここで助太刀しないのは――武士の名折れ!
―――――――――――
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