第3話 聖女じゃない?
「はははっ! そうかそうか、貴女は貴族クラス――学園では上院の方でありましたか! これは失礼。俺は
そう、ルーカスの記憶を思い出しても――やって来た事は畑仕事と剣の
準男爵家とは領地を
ギリギリ貴族ではあるが、
「俺は
学園でも下級士官候補生……言ってしまえば、
高レベルな学問なんて
準男爵家以下の通う下院では最低限しか教えない。
そんな俺が……日本での世と似たような出自と生活をしていた俺が
「失礼ながらルーカスさんは、剣や槍の成績も良くなかったと聞き及んでます。国を思うお心は立派ですが、どうかご無理はなさらないで下さい」
確かに。
ルーカスが致命傷を負った時の記憶では――産まれたての子馬の方が立派に立ってるのではと思うほど、ガチガチに震えていた。
この世界における剣のレベルは、授業で会った教官程度までしか記憶にない。
あの産まれたての馬のような剣術が優秀だと言われるよりは――
この世界の剣士のレベルがあれだと、俺も本気で剣を振るうのに罪悪感すら覚えてしまう。
それにしても……だ。
この娘は――正直な良い娘だ!
「確かルーカスさんは、冒険者ランクも……その」
「最下級のFから1個上、Eランクですな。弱小の魔物と良い勝負が出来るランクですね」
「な、なんでそんな
「それは当然でしょう。何しろ、
記憶にある限りだが、このルーカスと言う男――冒険者ギルドで領民の悩みをよく解決している。
領主に
やるべき学習や家事、
その結果が――最下層ではないランクに至らせているのだ。
若者の努力を誇らずに『下から数えた方が若い、才能が無い』などという、ルーカスの父のようなおっさんに、俺はなりたくないからな。
「……ふふっ。おかしな方。でも――とても前向きで、素敵な考えですね」
疲れ果てている状況の中でも
本当に、美しい。
「俺の胸が……
「え?
「ああ、いえ……。いかんね、どうも前のおっちゃんの身体を
ドクドクと高鳴る胸に、西洋医学で学んだ心臓病を
年齢を重ねると心臓の病にかかりやすいそうで……。
この若い肉体では有り得ないのにな。
胸に異変を感じると反射的に心臓病を疑うのは、おっちゃんの悪い癖だ。
「私は世間知らずで武力もありません。治療魔法でしかお役に立てませんが……。国を
この聖女様は――何かを
俺は
「
俺が命を捨てる価値がある――武士道にかけて戦場に立つのは、護るべき者の為だ。
背後に大恩あるこの女性や、毎日必死に自分の役割を果たしてきた民がいるからに他ならない。
「ルーカスさん……」
女性は少し驚いたのか、眼を見開き――いくらか瞳を潤ませていた。
分かりますよ。
戦場では、
「わ、私は、聖女なんかじゃないです……」
「ん?」
え、聖女では無い?
周囲の者はそう
俺の――おっちゃんという称号と比べれば、美しくも
いや、比べるのも失礼な程に天と地の差があるかな?
―――――――――――
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