第2話 初めまして、俺の聖女様
思わず
「失礼しました。少々、予想外の事に取り乱したようです。ですが、お譲さんのお陰でだいぶ落ち着いてきましたよ。素晴らしく温かい治癒魔法、本当に感謝します」
「そ、そうですか? 言葉使いは段々と戻って来たようで、良かったです」
中身が別人だと告げても信じてはもらえないだろう。
それだけなら良いが、この女性に自分の治療が不十分だったと思わせてしまうかも知れない。
傷付け混乱させてしまうかもしれない言葉は
「ルーカスさんが戦場から運ばれて来た時は、もう2度と目覚めないと思っていましたから……。徐々に戻って来て、安心です」
「そうだ、俺は戦場から離れてしまったのだった……。いけませんね。――俺も、まだまだ戦場に立たねば」
血が足りないのか。
少々、たちくらみはするけど……これは良い身体だ。
非常に軽い。
何より全身の
若い身体は、これ程にも素晴らしいのか。
これは戦場でもキレのある動きが出来そうだ。
刀ではなく、この世界特有の
「え!? る、ルーカスさん! もう戦場へ戻るおつもりですか!?」
修道服姿の女性は光を照り返す銀色の髪を
俺は剣を腰に差しながら、恩人へと向き直る。
「ええ。貴女様のお陰で、傷も塞がりました。……
「そ、それは……。はい、
記憶を頼りに現状を伝えると、彼女は目を伏せてしまった。
そう、俺――ルーカスの祖国であるジグラス王国は今、
我らがジグラス王国の王が、『
ゾリス連合国に対しそう言い放ち、連合からの独立を宣言したせいで――ジグラス王国はゾリス連合国一の大国にして盟主国、ラキバニア王国の軍勢に攻め込まれている。
主要な
そんな状況下で――ここは最前線でラキバニア王国兵の侵攻を防ぐ陣地だ。
恩もない王がどうなろうと知らんが、この治癒魔法に長けた女性や民が犠牲になるのを見過ごすのは――
父や兄たちは
俺には、もう戻る場所も無いし……
「それに、ですね。こんなにも若い子が、前線に来てまで癒してくれているのです。未来ある
「
キョトンと、
なんとも美しい人だ……。
俺は
日本にいる時から『お前は女にモテるな』と周囲から
それでも、
この方は
「ははは。そうなのですか? それは失礼をした。
ルーカスの記憶を
学園の記憶を辿っても……
「それは……。私はジグラス王国
まるで恥ずかしい事のように、女性は語った。
成る程、おっちゃん経験による予測として――それまでは親の力で自由になっていた部分がある。
その事実に直面した時、人はそれまで親に甘えていた自分を恥じる傾向にあると思う。
学校に通うのも金がかかるし、食べている者や衣服にも金がかかる。
戦や社会に出てから、それまでの当たり前が
親の力を感じれば感じる程――親の
それにしても、凄い
ガンベルタ教は、広大な大陸の中央から西側で広く
―――――――――――
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