夢を見ていた

夢を見ていた。

ひどい悪夢だった

きっと散々うなされていただろう


目が覚めたとき

窓辺に降り注ぐ柔らかな日差しと

自分の目から零れた一粒の涙に驚いた。


ひどい悪夢だったはずなのに


どうして。


意識がはっきりするにつれて

その輪郭は加速度的にぼやけていく。


嬉しく思う

二度と思い出したくないはずの記憶


悪い夢なら早く覚めて

夢の中で何度もそう願っていた。


しかしどうだ。


今、私はあの夢を強く望んでいる気がしてならない

今、私は今この瞬間を夢だと思いたくてならない


そこで思い出した

私は、寝ても覚めても永遠に終わらない悪夢を見ていたのだということを。


ああ、悪い夢なら早く覚めて

私は強くそう願う。


朝日降る窓辺で、涙を流しながら。

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