死ぬ間際に前世のことを思い出したので全く怖くありません!ひ、ひとりでも平気だし!(ガクブル)臨終間際に転生してた事思い出せた

水都suito5656

私の命 もう消えそうなんだけど

時間が迫ってきた


病室には誰もいない 医者すらいないってどうなの?

ベッドサイドに置かれた古い目覚まし時計(アラーム機能はとっくに故障しているやつ)を手にとって見る。


「やばい!これって誰も間に合わないパターンじゃない!」

誰もいない病室にも関わらず、声に出してしまう。


死神から告げられた別れの時まで10分を切った。

私の家族はここにはいない・・いや、どこかに居るんだろうけど私は知らなかった。

恋人?ナニソレオイシイノ

そんな者居たこといから。あ涙出たよ、ぐすん。



はあ

もうすぐ最後の時間だと言うのに全く怖くない。その理由は死神さんのせいだ。


「・・・やっぱり人生も2度目だと今更感だなー」


さっき死神は私に死亡推定時刻とともに、前世の事もうっかり漏らしてしまった。

聞いた瞬間、別のやつの人生がどっと押し寄せてきた。


前世の私はイケメンだったよ!なにそれ羨ましいよ

おまけに90歳まで生きた。


しかし序盤の人生は過酷だった

高校の時、初恋の幼馴染に告白して付き合うものの、一年もしないうちに部活の先輩にNTRれる。


公園で泣いていたらショタコンのお姉様に拾われた。

「わたしの恋人になる?」

そうして彼女の恋人に収まった。恋愛に年の差はないってあの時知ったよ


なぜか高3年になって学校1の美少女から告白された。


「べ、別にアンタのことそんなに好きじゃないからね!どうしてもっていうんならこのあたしのハーレムに入れてあげてもいいわよ」


「結構です」

「即答!なんで!」

あのときの彼女の顔は一生忘れらんない。まあ今まで忘れてたけど


それからも何度も告白されたけど、男女問わず全員ヤベー奴だった


けどまあ楽しかったなー


大学には行かずに海外で就職して好きな旅行に明け暮れた。

無駄に語学力よくて幸いだよ。


そうしてテロリストに誘拐されることも、戦争に巻き込まれることもない幸運な人生だった。

「これって、今考えたら幸運すぎるだろ」


海外で暮らしてて強盗にすら会わないで天珠を全うって。

今の御時世では考えられない。



ああ、なるほど

私の幸運はそこで使い切ったのか

今世の分から前借りでまでしてまで


はあー妙に納得がいって時計を見た。

まだ2分も残ってたよ。


回想に時間かけたのに死神さんまだ余裕あったよ。

相変わらずサービス満点だね

私は何を言ってるんだろう。


予定では来週が高校の入学式だった。

何組になるか楽しみだったな

いったいどんな生徒がいるんだろう。


「クラス1の美少女が俺にだけ暴言を吐く!」とか


「俺の隣には学年一の美少年が住んでいる!」


そんなラノベ的展開が見たかったけど、せいぜいこの体のスペックだと


「嘘告されてクラス1の美少女と付き合っているけど、本命は別にいます!」

そう言う路線だろうなーそれも嫌だけど


残り1分

そろそろこの世とのお別れだ


誰かに挨拶しなければという強迫観念で室内を見渡した時、ドアが勢いよく開いた


「お姉ちゃん!」

「うそ・・・美羽なの?」


涙で顔をグシャグシャにした私の妹が飛び込んできた。

・・・もうほんとサービス満点だよね 死神さん


私たちは涙でぐちゃぐちゃの顔で抱き合った。


「おねえちゃん、ずっと1人にしてごめんね」


私は無言で頭を振った。


「・・・ありがとう それで十分」


最後には生き別れの妹に会えたし

今までの不幸を帳消しにして、更にお釣りが来ちゃうほどの幸運だ


あ・・・

彼女を抱く手が淡い光で輝きはじめる

私はぎゅっと強く彼女のことを抱きしめてあげる


その体は10年前と変わらず、私が大好きな花の香がしてた。

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