第7話 大賢者、学校に行く
「それで、ミリアはどうしてあんな場所で隠れて僕を見てたの?」
2人で街を歩きながら、私は尋ねる。
「はい! 私、僭越ながら不躾にも、貴方様が不良にイジメられてしまうなんて早とちりをしてしまいまして……」
「もしかして、助けてくれようとしてたの?」
「すみません、おこがましいですよね。ラティス様はまるで拳の風圧を楽しまれるかのように3人の攻撃を避けて成敗なさいました」
ミリアは興奮しながら自分の両手を合わせる。
「そして、魔法を使って綺麗な虹を描き不良たちの更生を――」
「出来なかったけどね」
「でもでも! 魔法で人を喜ばせるって言葉に凄く感動しました!」
「ミリアも立派だよ。イジメっ子から僕を守ろうとしてくれたんだから」
「そ、そんなことは~えへへ、ないですよ~、うへへ」
ミリアは嬉しそうに頬を赤らめる。
なんだろう、すぐに弟子になろうとしたりおだてられたらすぐにのぼせ上ったり。
どことなく、チョロい子の感じがする。
「ミリアは僕のことを知っているの?」
「はい! 何しろ、有名な学生ですから!」
なんだ、ラティス君も頑張っているじゃないか。
私が心の中で感心していると、ミリアは言葉を続ける。
「あの名家、『レオグラッド家の落ちこぼれ』としてとっても有名ですよ!」
「……分かってた」
やっぱり悪い意味で有名だった。
「でも、きっと先日の検査では実力を隠していたんですね! 手を魔力で覆って人の魔法を掴むなんて、信じられないほどに繊細な魔力操作! そして、戦いながら背後にいる私の『
ミリアはずっと興奮している。
まぁ、そういうことで良いかな。
「あれ? でもラティス様。どうして学生服を着ていないんですか? もうすぐ学校なのに」
「あっ、やっぱり今日も学校あるのか」
まだ朝も早いのでそんな気はしていた。
私は登校前に追放されたんだな。
「ちゃんと制服を持ってきてはいるんだ」
「えっ、でも手ぶらじゃないですか?」
「持ってるよ、『
私は別空間に収納していたカバンを手元に呼び出した。
まだ世界の誰にも見せていない魔法にミリアは目を丸くする。
「い、一体……どうなっているんですか?」
「今度教えてあげるね」
「い、いいんですか!? ありがとうございます! で、では、一緒に学校へと行きましょうか!」
こうして私はミリアと一緒に、クリスタリア魔法学校の門をくぐった。
これから始まる学園生活では様々な波乱が待っていることを、この時の私は知る由もなかった……。
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