黒井川探偵の殺人

羽弦トリス

第1話犯行

11月11日土曜日、夕方、黒井川探偵事務所に愛知県警の鬼瓦警部、川崎巡査が訪れた。

「黒井川さん、この前の尼ケ坂病院殺人事件の見事な推理有難うございます。近々、県警の方から、感謝状が贈られます」

と、鬼瓦警部が言うと、

「そんなん、貰わないよ!依頼があり解決して、お金たんまりもらったからね」

「でも、黒井川先生の推理は的確でした」

と、川崎巡査が言った。

「今夜は、私の奢りで飲みませんか?」

「いいけど、後ろの女の子誰?」

と、言うと、鬼瓦警部が合図した、

「私、愛知県警部補の千堂まゆみと申します。先生、今夜は面白い話しを期待しています」

「うん、良いよ。後で、尼ケ坂病院の外科部長の戸川達也君も合流するからね」

「あの、お医者さんで、通称、ワトソン君ですか?」

「そうだよ」

と、会話すると電話が鳴る。

「はい、もしもし、黒井川探偵所ですが」

と、黒井川が言うと、

『必ず、お前を殺す。鬼瓦警部と一緒だろ?お前が捕まえた犯人を全員釈放しろ。今夜中に誰かが、死ぬだろう』

「お前は、一体誰なんだ?」

『私は悪魔の魔術師と名乗っておこう』

ガチャッ。

「黒井川探偵誰ですか?」

「悪魔の魔術師と名乗っていた。ボイスチェンジャーで男女区別がつかなかった」

黒井川探偵は、タバコを吸いながら、

「誰か護衛してくれないかな?」

「では、私が。女ですが極真空手やってますんで」

と、千堂が言った。

「我々は、先に居酒屋に向かい不審者を探しますんで」

「千堂頼む」

と、鬼瓦警部と川崎巡査はそう言って、事務所を出た。

「千堂君、護衛は頼んだよ。僕は格闘好きじゃないから」

今度はスマホのLINEの通知音が鳴る。戸川からだった。

【直接、居酒屋に向かいます。19時に着きます】

と、あった。今度は千堂のスマホが鳴る。

とても、丁寧な会話だった。

「誰だったの?」

「鳥山警視です。キャリア組で雲の上の存在です」

千堂は直ぐに、鬼瓦警部に電話した。鳥山警視が来ると。

鬼瓦警部は驚いたが、探偵と医者と刑事と飲める環境は少ない。

きっと、良い土曜日の夜になるだろう。

黒井川探偵と千堂は居酒屋に向かった。

千堂に黒井川は小銭を渡し、「ウコンのチカラ」を買いに行かせた。

すると、背後から布を口元に押しあてられ、黒井川探偵は気絶した。

クロロホルムを嗅がせたのは、鳥山警視だった。

鳥山警視は、黒井川を建物の隅っこに引き釣りながら運んだ。

30歳の若き警視は何を企んでいるのか?

千堂刑事は黒井川を探し始めた。

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