頭の中の設計図#9「セーラー服とエゴイスターズ」

※原文から再編集しています。



「複雑な能力バトル」をコンセプトに書いています。

 分かりやすい能力バトルは、衝撃波を放つとか、火の玉を吐くとか、津波を起こすとか。

 視覚的に派手なものを定義しています(個人的なことで)。


 で、

 この作品では「分かりにくい」を意識していました。

 どういうことだ? 

 と感じられたら、作中キャラと同じ立場になれたと考えてもいいのでは?

(文章を読解できない、作者の技術不足も多分にありますけれども)


 これらは「分かりにくい」を魅力に感じてほしい、という意図もありました。


「セーラー服(省略)」では、物体に宿る(使用者の意思)能力を『アナベル』と名付け、


「エゴイスターズ」では、互いに平等なルールの下で戦う、条件下空間での攻防――これを『エゴイスタ』と名付けています。


 前者は「謎解き」、後者は「駆け引き」――が、強く出ていますね。




「セーラー服と亜人街」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054926042016



 導入は、異世界召喚の形を取りました。

(執筆当時、一応、流行りには乗っかって。

 でもやっぱり、自分なりのアレンジは加えたいわけです)


 ただし、特別な力も武器も優位性もなく、逆に劣勢から始まる異世界生活を基本軸に始めてみました。

 人間が絶滅した異世界で、ぽつんと召喚されてしまった主人公の少女・サヘラ。

 人間に恨みを持つ亜人たちに正体がばれれば、種族どころか亜人そのものから復讐の対象にされてしまう状況で――。

 さて、どう異世界での生活を送るのか――が、コンセプトです。


 人間が残した厄介な「道具」がアナベルで、それらが今を生きる亜人たちを苦しめてしまっている。その不幸のしわ寄せが全て、サヘラに向かってしまうとしたら……まあ、非難されるだけなら優しいものですね。


 言葉の誹謗中傷ならまだ良い方です。

 異世界ですから、亜人たちは平気で攻撃をしてきます。

 狩るように、です。


 弱肉強食の世界ですから、危害を加えてはならない、というセーフティもないわけで。

 そんなアドバンテージ0どころか、マイナスから始まる異世界生活――

 サヘラの第二の人生は誰が見ても「絶望」ですが、しかし、意外と本人は楽しんでいます。

(現実世界がサヘラにとっては苦痛だった、であれば、絶望的な環境でも、異世界での生活は救いになるのでしょう)


 最後の最後に『大好きな世界』と言えたということは、彼女が異世界に適応した証拠になるでしょうか。


 ちなみに。

 メインのテーマが「生活」で、サブのテーマが「同居」でした。




「エゴイスターズ」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054934118540



 テーマは、「善と悪」。

 分かりやすい善として、主人公の竜の亜人の少女・タルトを置きました。

 反対に、悪の方には、同じく竜の亜人の少女・お姉ちゃんのフルッフを。


 しかし属性で印象付けされていますが、それぞれのキャラの他人への接し方を見てしまうと、本当に善なのか、悪なのか、分からないのでは?

 そんな曖昧な「属性」による印象付けで、キャラにギャップが出せないかな、と試みました。

(善というイメージを植え付けたタルトに、物語終盤で、多くの人質を見捨てさせたのもギャップを企んだためです。タルトからすれば、ここで目的のために見捨てるのが自分なのに、勝手に善だと言われてガッカリされても困るんだけど、と言いたい気分でしょうね)


 話の構造は、小さな島から広大な世界へ旅立つ、オーソドックスな冒険もの。


 各章、

 1.タルトの旅立ちまで。

 2.悪役・フルッフ視点で進む「エゴイスタ」の戦い方。

 3.旅を始めて最初に訪れる森での第一関門。

 4.辿り着いた王国でのひと悶着――などの短編でまとめた一作でした。


 それぞれの作品のレギュラーメンバーが被っているのは、単純に「エゴイスターズ」→「セーラー服」の順番で作ったためです。

 この中だと、タルトはほとんど性格も言動も変わっていないかも。

 ――作者の中でのタルトのイメージが、もう変えられないほど、これで固定してしまっているからですね。




 …了

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