第15話 喫茶店はじめました 蟷螂視点

蟷螂「なんだコレは?」


蜜蜂「あっちょっと蟷螂さーん、これ蟷螂さんがしたんてすか?

いくら廃村前の村だからってこんな勝手にしちゃって怒られませんか?」


先日までくたびれた寒村だったのに

今では畑がしっかりと区画整理され、真っ直ぐに植えられ、青々と何かが茂り

景色が違うと思ったら畑の広さが倍になっていた。


藁葺き屋根のボロい家が新品に(※ログハウスのように)


あれは2階建てか?

まさか…ガラスの窓がついてる!


村人も継ぎ接ぎだらけで汚れた服が新品に?!

畑に入る服にしては上等なものにみえるが?


どういう事だ??


蟷螂「私は知らぬ…誰が支援したのだ?」


蜜蜂「え?上役が動いたんじゃなくてですか?

さっき見てきたんですけど、あのの小屋もっと凄いことになってましたよ」


走って向うと、確かにボロい小屋があった場所に違うものが建っていた。


それはレンガ造りの洋風建築だった…


庭先についた長い屋根

その下には椅子とテーブルがあり、むき出しの板の間(※ウッドデッキ)まるで喫茶店のテラスのようだった


村人が出入りして何かを運んでいる…あれは皿か?


近づくと私が声を掛けるより前に

店員「いらっしゃいませ〜……あっ蟷螂様でねぇの?!」


蜜蜂「あの、僕もいます」


村人がエプロンと三角巾の店員服を着て店員の真似事をしていた。


金の無いこの村で喫茶店?

そんなバカな!


店員「あの〜どういった御用で?店主を呼んできやしょうか?」


蟷螂「あぁ」


席に案内されお茶が出て来た


蜜蜂「わー、メニューまである!

『今日の日替わり定食』え?豚汁定食?定食がでるの??

あのーすいませーん、僕この日替わりの豚汁定食下さーい」


蟷螂「お前は…不思議に思わないのか!

流れで座ってしまったけど中を見に行くぞ!」


中に入ったらカウンター席もある、街でよく見る喫茶店だった。

しかも客として村人がいる!


山で見たらただの雑草に過ぎないのに、葉や蔦がお洒落に飾りつけされている

信じられないことに本当に豚汁の匂いがする


かやくの握り飯(※炊込ご飯)2個と豚汁と山菜の佃煮か?

ギリギリ定食と呼べるものだったが美味そうに食う。


店員「あっお客さん!じゃなかった蟷螂様、ここより奥は厨房でさぁ、入ったら怒られるだぁよ!あっもう!オラ知らねっ!」


ズカズカと奥に入ると、エプロンと三角巾をつけた村人が大根を切ってる村人がいた。

料理人の真似事をしてるたと?


料理人「おい!入ったら駄目だとあれほど…

えっ蟷螂様でねぇですか!

どうしました?!豚汁不味かったっすか?」


蜜蜂「まだ食べてないですよー、美味しそうなので2人分お願いします!

ところでここの店は?店主はどこですか?」


料理人「あ、すぐご用意しやす。

店主は今は村の方でねぇですか?自分は雇われただけでよく知らねぇです

前はボロ小屋しかなかったけど、立派になったもんです」


料理人がその場でお椀によそい、すぐに用意された。

どこで手に入れたのか豚汁にほんのり甘い酒粕の香りがして、具も柔らかく煮てあり、太く切られた大根は味もしみてすごく美味かった

握り飯はこんな山中で魚?川魚ではないな、泥臭くない

山菜の佃煮は醤油で丁寧に作られたものだ…信じられない!

お茶は野草を煮たものなのだが、えぐ味がなく飲みやすかった


蜜蜂「こんな山中の飯なのに美味しかったですね、なんか驚いて食べた気がしないです。僕ら狸に騙されてませんか?」


私は堪能できた…

量が少ないから食べた気がしないって事だろ


それから勝手に2階に上がり部屋を確認する…

夫婦が二人で普通に暮らしてるようなそんな部屋だった


蜜蜂「下の店に比べると普通の部屋ですね」


蟷螂「あの2人は夫婦ではないだろ…」


蜜蜂「布団とか見ちゃうと生々しいですね」


蜜蜂は顔を赤くして下世話な事を言う

考えたくもないのに容易に想像できた、熱を孕んだ潤んだ瞳、じっとり汗をかく女の匂いに、あの白い肌が火照り赤くなる、たわわな体が受け入れるのは…

考えるのを辞めよう


蟷螂「妄想はやめとけ」


蜜蜂「え!?顔に出てましたか?!いやいや、違いますよ!

下に比べると最低限しかないので、いつでも出ていけるようにしてるのかなって

噂なんですけど、は処分するって話も出てるみたいじゃないですか?」


そうなのだ

呼び寄せておいて利用価値が無いと判断した者が無能の烙印を押して処分すると話が出てるのだ


ここまで苦労して連れてきたのに


だが、敵に連れ去られて利用されるくらいならと考える上役の考えは解る


ここにいないらしいから村に探しに行く

小さな村だ、すぐ見つかるだろうと軽く考えていた




村人が集まり「白御子様〜、今日も我らに慈悲をお与え下だせぇ」と拝んでる


祭壇が組まれており

そこに白装束を来た白髪の碧眼の美しい娘がいた。

抜けるような白い肌と青い目は日本人にはない神秘的な雰囲気を出していた

跪いて拝まずにはいられない、まさにこの世の物ではない天からの使いに見えた



「"一日三回手を洗え" Wash your hands three times a day

"水は沸かしてから飲め" Boil some water to drink tea.

"魔が溜まる毎日掃除せよ" Clean your room everyday.

お告げを守らば長生きできよう

See you next time!」


「おぉ!!シーユーネクッタイ」

「Ohh!グバイ」

「グッバイ!マイガッ」


村人が湧いて祭壇に群がり積まれていた供物を我先にと取り合い帰っていく


後には取りこぼされた果実が潰れていたり、祭壇がひっくり返った残骸が残った。


娘「ちょっと!!2人共いつから見てたんですか!!」


蜜蜂「……新しい宗教?マコトちゃんだよね??そのカッコ、いつから教祖になったの?

あ、教祖様に普通に話しかけて大丈夫?土下座しなきゃ駄目だった?」


娘「教祖??はぁ?宗教違いますよ、英会話教室ですよ?土下座って、正座のことですか?

あぐらでもいいんです座れば」


蜜蜂「え!?」


娘「見た目こんなんで悪いけど、俺は別にネイティヴでもないのに。

それっぽいかっこして話せば授業料おふせがもらえるって…後鬼が。

街では先生はこーゆーカッコで教室とか開いてるんだろ?村ではちょっと浮くよなハハハ」


あの野郎!


蜜蜂「え、そうかな??

僕らも街の学校よく知らないから…うん、白い服のお医者の先生は見たかな」


蟷螂「その後鬼殿はどこだ?」


娘「昼間は買い物行ってるよ?夜から朝まで畑の開拓とか家建てたり皿作ったり服作ったりしてるよ。後鬼が働きすぎて倒れちゃうよ

みんな後鬼の事を崇めてアレもしてコレもしてって俺に頼むんだぜ?」

(※明治に過労死の概念はまだない)


と、その場で白装束を脱ぎだした。


見てはいけないと思いつつ、蜜蜂はしっかり見ていた

買い物って何処へとか色々言いたいことが全て吹っ飛んだ。


肘でつくと蜜蜂が慌てて

「待って、こんなとこで脱がないで!」


娘「ちゃんと下に服着てるよ、白いから汚れるだろ?」


Tシャツと短パンは年頃の娘の着る服なのか?

手早く倒れたテーブルや祭壇の周りを片付け


娘「あの、行く所あるんですけど、なんか用ですか?」


と言うので付いていく事に。

2階建ての家に向うようで、家の前に来たら

「イサオー、来たよー!」


と家の2階に向かって呼び、中から「今行く!」と返事が来た。


イサオ?誰だそいつは


娘「あ、2人に紹介しますボーイフレンドのイサオです」


蟷螂「ボーイフレンド」……はっ?


蜜蜂「親しくお付き合いしてる異性の友人の事ですよ!

マコトちゃん!こんなイガグリ頭が良かったの!!信じられない!今日1番信じられないよ!なら僕でも良くない?!ねぇ!」


イサオ「お前ら…誰だ?俺の女になんか用か?マコトはやらんぞ」


イラッ…


蜜蜂「生意気にも彼氏面してやがる!!

おい、イガグリ頭!こちらは蟷螂さんだぞ!

頭領のカマキリ様がいるのに頭が高い!ひれ伏せイガグリ!」


イサオはひれ伏したが、マコトが起こして立たせた。


娘「イサオ!お前はそんな小さな男じゃないだろ!立ってくれよ。

あの、用ないなら帰って下さい

これからイサオが凄い施術してくれるんだよ

イサオは才能あるんだ」


蜜蜂「マコトちゃん!君は騙されてる!イガグリだよ!イガグリ!全然格好良くない!

後鬼殿ならまだわかる、なんか色々と、その色々とナニも大きくて凄そうだし……でも、イガグリは無いなぁ!!」


娘「イサオは凄いんだぞ!イサオ馬鹿にすんな!イサオ!お前の凄さを見せてやれ」


蜜蜂「あぁ、イガグリのナニがそんなに凄いって?見せてもらおうか!」


2人がガルガル喧嘩しだす

オロオロしたイサオがすがるような目で見てくる

凄いなら自分で何とかしろ!

切り捨てるように冷たい視線になった


ショックを受けたようなイサオの顔に罪悪感は湧いてこなかった




娘の小屋にて――…


「ん~~、あっ…はぁ…あっ…んん~、もぅ無理ィ、イサオ辞めてよ、はぁっイサオっんはぁ」


イサオは余裕の笑みをうかべて

「今日はここまでにしてやるよ」


蜜蜂「イガグリ!いやイガグリ先生!!その技を伝授して下さい!!僕もヤりたい!明日から呼んで!」


ぐったり汗をかいてハァハァと息をする娘

部屋に充満する女の匂い、ヌメる太ももは赤くなり何とも艶めかしい。



イサオはやらしいマッサージを娘に施していた。

最初は座って肩や首すじから頭を揉んでいたが、寝転がして腰を揉むとそのまま尻を揉みだす


もうこの時点で娘は息を粗くしていたが

娘に跨り両手で尻の下を押し上げる、そのたびに服越しでもわかるプリケツ感。

太ももを揉んでるあたりで「また太った?」とイサオが言うと「太ったかも…ちゃんとやって」と娘が強請る。


どうやら後鬼が夜にやっていたマッサージの真似事をしてるらしい。

後鬼は足の裏や腰や肩とそこまでやらしい事をしていたようには思えなかったが


このイサオのナニはしっかりと膨らんでいた。

とくに、寝転して腰を揉む時に娘のケツに挟むように押し付けていた。


私の中で静かに有罪判決を下していたが

マッサージをどこまでやるのか確認したくて黙って見ていた。


娘が渡したのだろう、何かのクリームを手につけてヌメリをよくしだした。

短パンをまくり、じっとり汗をかいた太ももをイサオの子どもの小さな手が滑る


「どうしたの?いつもみたいに強くしていいよ?」


イサオはチラリとこちらを見てから

意を決したように体制を変えて


娘の片足を持ち上げた


「んっ…」と小さく息をはく娘


イサオ「また固くなったな」

(※ストレッチ)


「運動してないから…あっ…イタタもっとゆっくり…」


イサオ「母ちゃんより足太っ」


娘「んっ…そういう事を言う?ぁっ」


確かに太ももはお前の母より太いだろうが腰はお前の母より細いだろ!


このイサオと言うガキ!


まるで四十八手を見てるようだ

たわわな乳こそ揉まなかったが、Tシャツ越しに乳の上と乳下はしっかり揉んでいた。

腕から脇にかけてはあのクリームを使いダボッとしたTシャツに腕を突っ込んて念入りに


この娘…阿呆なのか?

ここまでされて健全な施術だと思ってるのか?


30分後―…


娘「はぁー、イサオの関節技すごいよな?

体が軽く柔らかくなったよ。いつも俺ばっかで悪りぃな!また頼む」


イサオ「ふっ、しゃーねーな!」ドヤ顔


娘「どーだ!恐れ慄いたか!イサオの凄さがわかったか?」


蜜蜂「イガグリがカッコつけても糞ダセェけど…

イガグリ先生凄い!

普通はやましい事してるって気になって遠慮するか、逆にぶっちぎるのに!

絶妙な所で耐えてる!なのに遠慮が全く無い!

普通は女の子の股に頭なんて埋めないから!関節グリグリとか遠慮無さ過ぎ!

何なの!ケツにナニ挟んでんじゃん!ずるいずるい!僕もやりたい!

最後までヤラせてくれよ!!」


後ろから頭どついて蜜蜂を黙らせる


蟷螂「落ち着けたわけ!

娘!そなたも何を考えている!男女が1つ屋根の下でやるものではない!」


イサオはピクリと肩をはねさせバツの悪そうな顔をする。

このイガグリ頭は分かっているのだ、これが破廉恥なことだと。


娘「別にナニしてるわけじゃなし、いいだろ?」


問題はこっちだ

阿呆なのだな、男が途中で止まるわけがなかろう

イサオの忍耐をためしてるのか?

これで手を出してきたら手打ちにするつもりなのか?

鬼かよ


蜜蜂「ナニって何をするかわかってるの?

男と女が1つ屋根の下で✕✕✕する事だよ?

✕✕✕を✕✕✕して✕✕✕✕するんだよ?知ってる?」


イサオは耐えきれなくなり部屋から逃げ出した。

きっとどこかでマスでもかいてるんだろう


娘は「はぁ?」と蔑む視線を蜜蜂に送るとイサオを追いかけようとした。


馬鹿か!今行けば完全にヤラれるぞ!


蜜蜂も流石に止める

「そんなにヤりたいなら僕でいいじゃん!」


娘「お前はヤダ!離せよヘンタイ!」


イサオが外から「やーいヘンタイノッポ!お前の所業を村で言いふらしてやるぅー!」


蜜蜂はヘンタイと言われたショックで部屋から飛び出した。

外でキャー逃げろぉーとイサオの声が聞こえる


愚かな娘だ

そう私の顔に出てたのだろう


娘「知らない訳じゃない…そーゆー…エロ本読んだことあるし。

あっまだヤったことは無いからな!そんな目で見るなよ!

あーあ、もう明日からイサオやってくんないなぁ…

この村って娯楽ないんだよ、だからヤルしか無い。後鬼が言ってたけどな、この村は〇病が蔓延してるんだよ…後鬼が薬ばら撒いて色々やってたけどな。

後鬼は楽しそうに畑耕して皿作ったり家作ったりしてっから黙って見てたけど…私も寂しくなったりすんの!

でも『その白い手が汚れるからやらなくていい、家にいろ』ってそればっか、汚れたら洗えばいいじゃん!」


蟷螂「だからイガグリ坊主で紛らわせてたのか?阿呆か」


娘「ムッそれもあるけど、イサオがいなきゃ他の連中が寄ってくるんだよ!

後鬼に付いていくと邪魔になるし

村人まだ治りきってない粗〇〇押し付けてきて吐き気がする!

何なんだこの村!ショボイ村に置いていきやがって!」


蟷螂「…この村から出たいか?」


こんなこと聞くつもりなんて無かった

これでは脱走をそそのかしてるようだ

ドクンドクンと内心焦る


「別にいいよ、何か分かんないけど、まだいなきゃいけないんだろ?

あのクソジジイのなんか後始末的なの?

どうでもいいけど金もないのかよこの村!物々交換も限度があるぞ?

鎖国政策なんてとっぱらって好きに行き来出来るようにしろよな?

袋の中のネズミってのは死ぬだけだぞ?

後鬼が畑広げたのは収穫増やして町に売りに行けるようにするためだぞ!

あと、山に仙人見たいなオッサンいるだろ?

なんだよあいつ、いつも部屋覗いてきて気持ち悪い!

後鬼といるときは出てこないんだよ」


蟷螂「ちょっと待て、一気にまくしたてるな

山の仙人?村人の事か?」


「ボサボサの白髪交じりの髪を垂らして窓に逆さに張り付いて気持ち悪いんだよ!

あれ村人なのか?入って来ないけどカリカリ窓引っ掻いてうるせぇし」


蟷螂「は?」


「後鬼が夜中も畑を広げてるからな、夜1人で待ってる時は必ず来るぞ?流石に夜にイサオを呼ぶわけにはいかないだろ?

蟷螂さん頭領なんだから何とか言ってくれよ」


「そんな村人いるんですか?」

蜜蜂が帰ってきて声を掛ける

娘の肩がピクッとはねた


蜜蜂「ねぇそいつの服は?村人に服を配ってるから、本当にここの村人だったら服は新しいものでしょ?」


娘「…ボロだったような」


蜜蜂「窓に逆さに張り付く村人なんて、普通に考えていないでしょ?……よく今まで無事だったね」


娘「やめろよ、流石に1人で待つのは寂しいんだよぉ!

怖いとかじゃないけど、いや怖いけど!お化けとかよりもなんか、得体のしれないキ〇ガイみたいなの?もう夜寝れないじゃん!」


蜜蜂「ふふん、マコトちゃんがどーしてもって言うなら泊まってあげようか?

でもヘンタイの僕が泊まるのはねぇ?」


娘「蟷螂さん!泊まってくれよ!捕まえてなんか村から追放しろよ!村人じゃないんだろ?」


蜜蜂「残念でしたー!蟷螂さんは今晩は仕事でーす!

僕に謝ってくれたら、仕方ない泊まってあげよう!

そのマッサージ?僕にもしてほしいなぁ?アハハハ」


娘「普通に後鬼にいてもらうからな!」


蜜蜂「僕らが今すぐ帰ったら怖いんじゃない?

イガグリにスキンシップ求めるほど人肌恋しいくせによアハハハ」

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少女は罪人島の夢をみる ワシュウ @kazokuno-uta

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