第14話 友だちのイサオは〇〇が好き!
山を超えて野宿もして、ようやくたどり着いた忍者の里。
岩山の奥を進んでいくと、門みたいな所があってそこには門番の小屋みたいなのがあった。
門番「カマキリ…そこの2人は客人か?」
蟷螂「松永さん、仕事で預かってる」
門番「異人…」ボソッ
そして、岩山の間を抜けると里を見下ろせる高台になっていた。
なんか思ってたのと違う…
本で読んだ忍者屋敷を想像してたのに!ここは、のどかなド田舎だった。嘘です、めちゃくちゃ過疎ってる廃村一歩手前の何ていうの?そんな所。
そして異人が来てはいけない場所だった。
石が飛んできたのだ、後鬼が俺に当たる前に叩き落としてくれた
村人のクソガキが家の影から出てきてか細い声で呟いた。
「異人が何しに来た!帰れ!」
蟷螂「おい、やめないか」
「歓迎されてないようだね、帰ってもいい?」
蟷螂「チッ…奥にある小屋に案内する」
蜜蜂と蠍は用事があるとかで何処かへ行ってしまった
せっかく忍者の里に来たのに山の中の小屋だって…
過疎ってて忍者っぽいものなんてないけどね。
民家を通り越して山に入ってすぐのところ、だけど人を寄せ付けないように高い生け垣があって、雑草もぼうぼうだし
そこにあったのはニワトリ小屋だった。
後鬼「……小屋はどこだ?」
「あっ、ここじゃないのね?びっくりしたー!これかと思った。流石にうさぎ小屋はないよねー」
蟷螂は面倒くさそうにチッと視線をそらす
一応里の入口に門番っていうの?ヨボヨボじーさんがいたけどさ…逃げてやる!こんな扱い酷すぎない?
と後鬼をみたら黙って頷いていた。うわぁ
蟷螂が民家からなんか食べ物を貰ってくると行っていなくなった。
「後鬼、ここにいる必要ないよね?……俺とさ神戸にいかない?前回泊まった宿の女中さんが以前は神戸にいたんだって」
後鬼「そなたは神戸に行きたいのか、この件が終わればそれもいいな」
後鬼がフッと笑って頭を撫でながら俺の話を聞いてくれた
人間の姿の後鬼が優しそうに笑うと不思議な感覚になる、胸がザワつくようなムズムズする。それでいて恥ずかしいような嬉しいような複雑な感情
そして、うさぎ小屋を開けて入る…空の倉庫のような?山の休憩小屋の中には、ホコリ臭そうな布団が一組だけ…
後鬼「整えよう…そなたは川で布団でも洗って来なさい」
「わかった」
後鬼「今度は迷子にならぬように」
んまぁ!もう迷わないよ!
前科があるから心配されても仕方ないけどね、目印にのろしを上げといてくれるんだって
布団なんてどうやって洗うの?
浅瀬の川だったから、そのままぶちこんでザブザブする
知ってたけど舐めてた、布団って水吸ったらとても重かった
岩の上に布団を置いて水をきる全然持てないし、服もビチョビチョ
「異人は死ねぇ!」
「えっ何?わっ!」
里の子どもだろうクソガキが石を手裏剣のように投げてきた。避けるまでもなく当たらなかったけど、俺は驚いて川に尻もちついた。
子供相手にキレたりしないよ?俺は大人だし?
クソガキ「ザマァ見ろ白髪のバーカ!」
「クソガキ!殺す!」
――1時間後――
「近くでみると、おメメが青くてキレイだね。まつ毛が長くて上におハシが乗りそう!お姉ちゃんは何処から来たの?」
「んー、どうやって説明したらいかな海の向こうだよ」
すっかり懐かれました。
里の子どものイサオ君、歳は小さく見えて14歳らしい。
追いかけっこしてたら仲良くなりました。
子どもって単純で楽だね、川で滑って転んで浅瀬なのに流されそうになったところを助けてもらいましたわ……俺が!
小さい子に背負われたんだよ、トホホ
俺を背負った時に当たっていた大きなオッパイが良かったらしい。
クソエロガキらしい素直な子供ですねハイ。
そこで、村の事を少しだけ聞いた。
ここは忍者の里でもランクの低い里で孤児だったり町で拾われた子が暮らしていて
まぁ、その子達が大きくなって普通に結婚したりと、それで出来た村らしい。
要するにコイツ等も余所者ってことだよな
で、異人は前にも連れてこられた事があったけど、盗みに略奪に婦女暴行にと悪行を重ねてどっかに連れて行かれたんだと
イサオ「異人はみんな同じって父ちゃんが言ってたんだ…だから今度見かけても近寄るなって
でもお姉ちゃんは良い異人なんでしょ?ちょっとドジでバカっぽいよねっ。
オッパイ重くてトロそうだし、ケツもでかいよね」
褒めてないよね??
ニコニコしながら貶してきやがる
「……西洋に行けば白い肌も青い目も銀髪も珍しくないよ。この国が黒目黒髪が普通なようにさ
まぁ、わたくしが育った場所も海に囲まれた島国でしたけど」
イサオ「へぇー、おいらは海に行ったことがないんだ」
「イサオはこの村で生まれたの?」
イサオ「うん、兄ちゃんが7人いるんだ!」
貧乏子沢山…思ってても言わないよ
だからご飯が少なくて成長不良なんだね
「イサオは何が好きなの?」
イサオ「オッパイ」
「このエロガキ!……食べ物の話ですわよ?」
イサオ「反対側の山を越えた所にもっと大きな川があってそこで取れる魚!苦い山菜も細い人参もあんまり好きじゃない
お姉ちゃんは好きだよオッパイ大きいし、優しいし、いい匂いがしたし!
ここに住むの?僕の……お、お、お友達になってくれる?」
「友達ね…俺はもう友達だと思ってるよ」
イサオ「えへへ、異人の友達ができたって言ったらみんな驚くかな?
そうだ!おいらと内緒の友達ね!おいら以外はみんな本気で異人の事が嫌いだから近寄らないほうがいいよ!わかった?」
「……前にいた異人の事を考えると内緒の友達でいいんじゃない?ペロっと喋ったらイサオがみんなから怒られない?大丈夫?」
イサオ「大丈夫!おいら以外には近づいちゃ駄目だからね?おいらが守ってあげるよ?それに食べ物もこっそり持ってくるから!その、友達だから(照)」
内緒の友達できた。
何となく、内緒で飼われてる犬みたいな扱いだけどね……。
濡れた服を木にぶら下げて乾かしながら、焚火をした。
小さな川の魚は泥臭くて食べれないらしい、勉強になります
服を脱いでるから薄手のシャツ一枚だ
チラチラと胸のあたりを見てくるけど、まぁ許すよ。そーゆーの気になる年頃だよね。
それから食べられる野草みたいなのを教えてもらった。
イサオ「その…お姉ちゃんはいつまでここにいるんだ?ずっとここに住むの?」
「さぁ、どうだろう?
イサオはこの里から出ようと思わないの?辺鄙なとこじゃん」
イサオ「……掟があるから出られない。破れば死罪だ。お姉ちゃんはまだ里の住人じゃないから出ていけるかもしれない。おいらと友達になったのにマコトは出ていくの?」
「だってここ山ばっかりで何もないじゃん!
掟があっても忍者の3人は出てるよ?イサオも忍者になれば出れるんじゃないの?」
イサオ「一族のお頭かその班だけだ、とっても優秀じゃなけりゃ無理なんだ。みんな血反吐を吐くほど訓練して、弱いやつは死んでいく…おいらには出来ないや」
「そっか、忍者って狭き門なんだな…」
イサオ「お姉ちゃん足長いね、異人はみんな足長いの?(ポッ)」
「さぁ、そうなんじゃない?
そろそろ戻ろうかな、布団乾かないわ…」
でも重くて運べない、後鬼に何とかしてもらおう
「この近くに小屋あるでしょ?知ってる?」
イサオ「会議室のこと?」
あれが会議室だと!
どう見てもボロ小屋だったじゃないか!
でも帰り道は遠回りしたくなるよね、イサオに頼んで山菜取りながら小屋まで歩くことにした。
イサオ「ほらゼンマイだよ、ヨモギだろ、こっちはわらび」
「……うん茹でて食べるの?」
雑草にしか見えないけど食べられるらしい
イサオ「ヨモギ団子作ったら持ってきてやるよ!」
「ありがとう、バレないようにね?
あ、怖がる見えてきた……あれ?俺の知ってる小屋じゃないんだけど」
イサオ「おいらの知ってる小屋でもない…この山にあんな立派な小屋なんて無かったはず。
あ!誰かいる!」
「あっコーキィ!
俺の連れだよ、2人でここに連れてこられたの」
イサオ「お姉ちゃん1人じゃ無かったの!?」
「来たときからいたよ?知らなかったの?」
イサオ「騙したな!」
「は?騙してないよ、俺たち友だちだろ?後鬼は俺の家族(みたいなもの)だよ」
イサオ「家族?お姉ちゃん1人じゃ無かったんだな……おいらがいなくても寂しくならないね」
「何でイサオがしょぼくれてるんだよ、元気出せよ、な?オッパイ揉んどくか?」冗談だけど
イサオ「え?!」期待の眼差し
「エロガキ!」
イサオ「そっちが言い出した癖に!」
俺たちがキャッキャ遊んでた間に小屋が建替えられていた。
錆びた道具でよくここまで出来たな!!
器用な後鬼がお洒落な茶屋のような趣の小屋に建て替えた
「え?凄いんだけど?後鬼が魔法使いみたいだよ!」
イサオ「あ、一緒に来たのってお父さんだったの?そっか、なぁーんだ!
おっちゃん、おいらイサオだ!よろしくな!
これ、ゼンマイとわらびとヨモギ!食い方分かる?」
後鬼「コウキだ…良いヨモギだな」
「後鬼わかるんだ!」
後鬼「そなた、服はどうした?」
「濡れたから脱いだの、俺の着替えあったかな?」
後鬼が自分の羽織ってた着物の羽織を俺に着せてくれた。(※コートかけもいつの間にか出来てた)
イサオは小屋の補修作業をしばらく眺めていたけど、家から何か食べ物持ってくるからと走り去った。
後鬼が小屋を建替えてマシになったから
山小屋で内緒で飼われてる犬より格上げになったかな?
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