第13話 開かずのふすま 

部屋に戻ったつもりが、間違えたようだ。

異様な雰囲気の薄暗い部屋には誰もいなかったから、後鬼まで居ないなんてあり得ない。

部屋から出ようとして振り向く、その一瞬にふすまが目に止まった

こんなふすまあったかな?


柄の入ったテープで目貼りされてるけど、何だ?

よく見てみると柄じゃなくて御札だった

部屋の内装に合わない古びたふすまに御札がびっしりとしてあった


客室なのに暗いと今気がついた

そもそも、こんな薄暗い部屋になぜ入って来たのだろう?


その時、目貼りしてあるふすまが動いた気がした…


「……誰かいますか?」


返事は無かった

気の所為だったかもしれない


俺は確かに警戒していたんだ、けど

肩をポンと叩かれて「キャァ!」と叫び声をあげた


「私だ後鬼だ、ここで何をしてる?」


バクバクする心臓を抑えて、後鬼を見て安堵する


「へ部屋を間違えたんだ…脅かすなよ、島の外では気配無さすぎて心臓に悪いよ」


「…そうか、部屋は上の階だ」


後鬼はふすまを睨んでいたけど、俺の腰を支えて部屋を出た。

部屋を出た所で不気味に笑う女将さんに会った


女将「何か見ましたか?」


「いえ特には?」


女将はじぃ~っとこちらの顔を伺っていたけど、諦めたようにため息を吐いた


女将「申し訳ございませんが、こちらの部屋は立入禁止でございます

そのっ…昔があってから縁起が悪いと…それ以来使われておりませんの」


後鬼「そうか」


「事故?」


女将「…えぇ大した事故ではございません、お気になさらず」


「大した事故じゃないけど、縁起が悪いと?ふぅーん…」

誰か死んでるのかな?

本当に事故か自殺か、あるいは殺人か…



部屋に戻ると、どこに行ってたのか聞かれたから今しがたあったことを話した


蟷螂は、興味なさげに呟いた

「ふむ、開かずの間か…」


蜜蜂は、面白いと思ってなさそうなのに

「何だか面白そうですね」と笑った


蠍「開かずの間って、さっき中居の話に出てきたやつじゃねぇ?」

聞いてもいないのに蠍が話しだした



以下蠍の話を要約したもの――


どうやらこの宿は幕末からやってるらしい

この辺りも人が増えてきて、外から人がどんどん入って来た頃

ここの店主の息子が遠方から来て働いてた女中さんに手を出したそうだ。

ただ、息子には良い所の商家の娘の婚約者がいて大変揉めたと。

店主の息子が悪いとは言え、さっさとクビにしてハイさようならといかなかったのは、女中さんには帰る家が無かったのと、既に子を孕んでいたから。

女将さんは生まれたのが男の子だったら引き取ろうと考えて、中途半端に女中を引き止めていたらしい。

婚約者の娘は相当お怒りだったけど、でも彼女も後には引けなかった。商家の娘とは言え、三女とかで親に押し付けられるように宿屋に押しかけて来たから。

そしてある秋の夜長の晩に客室で首を吊ってた姿で女中さんが見つかった。

ただ、腹に子がいなかった。

警察の調べでは確かに出産した形跡があったと。

それから夜な夜な赤子の泣く声が聞こえると宿泊客から文句が出始めた。その声に反応して母親の赤子を探す声まで聞こえて来ると言う。


婚約者が嫉妬に狂い殺したのか

店主の息子が邪魔になって殺したのか

生まれた子が女の子で女将さんに母子共々追い出されそうになって首を括ったのか

赤子の行方は不明のまま事故として処理されたと…。

すぐにお祓いをしてもらったが、女中の怨念が強すぎて払いきれずに封印したとか

開かずの間は近寄ってはならない…ふすまを開けると怨念に引き込まれるから



「蠍は暇なの?

よくもまぁそんな話を仕入れてくるね?」


蠍「ちっちがっ!仕事柄ヒソヒソ話が耳に入るんだよ!それに今日、赤子の鳴き声を聞いた使用人がいたらしいぞ!」


「へぇー、猫か何かでしょ?」


蠍「髪の毛ボサボサで、一昔前の中居の仕事着でうろつく人影も目撃されてたって!」


「似た服の寝ぼけたお客さんでも見間違ったんじゃない?

だいたい行方不明の赤子がなんで部屋から聞こえるんだよ?行方不明じゃないじゃん部屋にいる…

…もしかしたら本当に部屋にいたのかもな?天袋とか?」


蜜蜂「ちょっと、マコトちゃーん怖いこと言わないで下さいよ…想像出来ちゃったじゃないですかぁ」


「出産したけど、天袋に隠したのか隠されたのか…まっ推測の域を出ないな

ってかさっさと取り壊して内装変えりゃいいのにな?金を産まない部屋なんぞ取っといてどーするんだ」


蠍「お前!話聞いてたか?

怨念が強すぎて払いきれず封印したんだよ!」


「……仮にだよ?空気と同じで怨念があったと仮定する。

部屋を密閉すると空気は淀むだろ?ホコリも積もるし、とっとと開けて人をジャカジャカ泊めて空気も怨念も散らした方がいいんじゃないか?

部屋代を安くすりゃ客が増えるのに」


蜜蜂「おぉー、なんか正解な気がするね

マコトちゃんも怨念とかに興味があったの?信じてない派だと思ってたけど、意外だね」


「別に呪いとか怨念を信じてるわけじゃないけど、人の噂って面倒だよな。

偶然なんか悪いことがあったら部屋のせいになるじゃん?

ただ転けたりしても、女中の怨念に足を掴まれた!とか言いそうだし

客も自宅に帰ってからたまたま疲れから熱出たりしても、怨念に祟られたんだ!お祓いしろしろってならねぇ?」


蜜蜂「うーん、なるかもねぇ」


蠍「何でオメーが知ってんだよ!まさに中居共が話してたぞ!部屋の前を通ると足を掴まれ引きずり込まれるって!無理無理!あり得ない!

部屋には鍵がかかってるのに」


「鍵なんてなかったよ?」


後鬼「あった、開いてた」


「空いてたって…女将さんが部屋の前にいたから女将さんが開けてたんじゃない?」


蠍「お前!呪われて引っ張られてんじゃねーの?」


俺はガシッと蠍の頭を掴んだ

「よし、確認しに行くぞ!

面白いじゃないか、その部屋を見に行くぞ!どうせ寝るだけで暇なんだ。いやむしろ気になって寝れねぇ!」


蠍「はぁ?!何いってんだお前!1人で行けよ!頭を掴むな!」


ペシっと手を叩かれてクルンと回って蠍が離れた


「怖いんだな?フン

見た目通りのノミの心臓だったんだな」


ちょっと煽ってみたら蠍は憤慨してスネに蹴り入れてきた、弁慶の泣き所めちゃくちゃ痛かったけど部屋を見に行くらしい、単純馬鹿だよな。


蟷螂さんは「おいっ辞めとけ」と興味なさげだから誘わなかった。

蜜蜂は面白がって付いてこようとして、後鬼は言わずとついてきた。廊下に出てみんなで歩く


蠍「件の部屋どこだよ」


「俺らの部屋の真下だよ、間違って入った。

どこも作りは似てるし、それに階段まで案内した店員が悪い…話ながら歩いてたから階を間違えたんだ、関西弁の女の子だったよ」


蜜蜂「へぇー、関西から出稼ぎかな?

それにしても真上に泊まるなんて、ちょっと不気味じゃないですか?」


「長い間誰も入ってなくて掃除もしてない部屋だよな、ネズミとかの巣になってたら嫌だな」


件の部屋の前に来た

扉に南京錠がかかっていたからとてもわかり易かった。

見た目は他の部屋と大差ないけど


蠍「くっ…ここか?鍵がかかってて入りゃしねぇ(ホッ)」


蜜蜂「はい、じゃあ開けますねー?」


ガチャガチャと鍵穴に棒を突っ込んでガチャンと南京錠があっという間に開いた。


「秘密結社の忍者凄っ!どうやったの?俺もやりたい!」

蠍「おい!開けてんじゃねーよ!」


蜜蜂「秘密結社の忍者って、面白いこと言うねぇ。後で教えてあげるよコツがいるの」


コッ……


その時、部屋の中で物音がした。

蠍がビクッと驚いたのが面白くて笑いそうになった。


蠍「なんだ?」


蜜蜂「誰かいるみたいですね?」


後鬼「誰かいる」


ドアノブを回してバンッと扉を開けた

逃げられたり隠れられたりしそうだと思ったから


けど、部屋の中は誰も何も無かった

違和感…そうだ違和感があった


「何か変だ……さっき来た時と何かが違う?」


後鬼「扉の位置だ…さっきより近づいてる」


蠍「おいっ中に入るのか?何だよ何が違うって?」


「さっきあのふすまはもっと奥だった……こんな手前に無かったような??」


蜜蜂「あれ御札が大量に貼り付けてあるんですか?気味悪いですね…それで部屋の中が違うと言うことですか?」


後鬼はふすまの前まで来て

「先程は、私たちはふすまの中に入っていた」


「どういう事?」

部屋は入ってすぐにちゃぶ台がある

その奥に寝室が設置されている、先程は寝室部分まで歩いたと思う、感覚として俺は奥まで入ったから…


「なぁ、上の階は寝室の奥に窓があったよな?

この部屋はどうなってるんだ?…蠍さん見てきてよ」


蠍「はぁ?!ふざけんな!誰を顎で使ってんだあぁん?」

とか言いつつ本人も気になるようで見に行ってくれた。


蜜蜂「蠍さんどうでした?」


蠍「窓があったけど、鍵がかかってるしすりガラスで、暗くて厚いカーテンが閉められてて中がわからなかった」


「おかしい、あの時部屋は薄暗かったんだ

分厚いカーテンなら真っ暗じゃないと変だろ?

おそらくだが窓のカーテンは開いてたんだ」


蠍「どういう事だよ!密閉されてるのにどうやってカーテンが開くんだよぉ!

怨念が窓開けて見てたっていうのか」


「密室の絡繰(トリック)か…

まぁ、ありがちだよな。廃墟から顔を出す幽霊を見たってやつ?実際は不法侵入のやばい人間とかだったり」


後鬼「誰か来る」


ハッとして咄嗟に天井に張り付いた蜜蜂と蠍

後鬼は部屋のすみで気配を消した。


ガチャ…


女将「……またお客様でしたか。

申し訳御座いませんが立入禁止でございます

施錠したはず、鍵はどうされました?」


もたもたして見つかってしまった。

「すみません。鍵?空いてました……えっと落とし物を探しに来たんです…いつ無くしたのかわからなくて、風呂にも確認に行こうかと、紅水晶の首さげを見ませんでした?」


女将「確認して参ります…お部屋でお待ち下さい」


「あ、ハイすみません」


そのまま部屋から追い出されてしまった。

そして女将はジャラっとした鍵束を懐から出すと南京錠をかけた…。

忍者だし自力で出れるだろ?後鬼は、うん自力で出れるな


「あの、ここの部屋さっきと様子が違ってました…おかしな話しですけど、ふすまが奥に移動をしたような?部屋も真っ暗じゃなくて薄暗かった」


女将さんはほんの一瞬ピクッと小さく肩を揺らしてから一言

「何か見ましたか?」


「特には…」


女将さんが部屋まで案内してくれて落とし物は探しておくから部屋にいろと言って帰っていった


部屋では蟷螂がお茶を飲んでくつろいでたあとが残ってた。

「どうだったのだ?…他の連中は?」


「まだ部屋にいるんじゃない?俺だけ女将に見たかったんだよ!天井に張り付くなんてズルくね?さすがに次は怒られるからもういいや」


蟷螂「クククッそうか

そなたは容姿が目立つからな」


俺は寝室のふすまをあけた。

奥にもう一つ障子扉があり、そこを開けると謎スペースの小さな廊下があって、椅子とテーブル、窓があった


「この部屋の真下だよな?」


窓がガタついて開かないから見かねた蟷螂があけてくれる

蟷螂は窓の下を覗いて驚愕していた

狭い窓に蟷螂の横に顔を突っ込んで下を見ると鳥肌がたった



こちらを見上げる不気味な女の顔が下の窓から出ていた


「きっ――…」


叫び声を上げそうになって、蟷螂がさっと俺の口をふさいだ。

次見た時は不気味な頭はなくなってた…


俺は必死に蟷螂の服を掴んでいた。さすがに怖くて驚いた。

顔がなんかおかしかったから、普通の人間の顔じゃなかった、そして


「だって不気味女と目が合っちゃったんだよ普通に叫んじゃうよ!」


蟷螂「わかったから手を離せ、離れるんだ、グッ浴衣の前をちゃんと閉めろ!そなたのそのっ大きいのが零れそうだチィッ!」


和服の寝間着は、はだけやすいんだな

「あの……厠についてきて下さい」


蟷螂「……チッ」


「……漏れ、そう」

ちょっとちびったのはナイショ


替えのパンツを出して厠に付いてきてもらった。

厠が一階にしかないの…遠い

「終わるまでちゃんといてね?」


蟷螂「…ハァ早くしろ」


そして蟷螂さんを先に帰した。

おパンツ洗ってこっそり乾かしたかったから


すると、女将さんが通りかかった。


女将「またお客様でしたか」


「厠に…それと……」


パンツ洗ってる所を見られてしまった、死ぬほど恥ずかしい!


女将は、はだけた俺の浴衣とパンツを見て何か勘違いしたようだ。

遠慮がちにニヤニヤと笑い着崩れた浴衣を軽く整えてくれた。

「お客様、下に誰もいないからと…程々になさいませ」


「はいすみません」


これはあれだな、エロ本のようなことをしてると思われたに違いない!

違うけど、まぁいいや。下の部屋を見て漏らしたたなんて言えないしな。

洗ったおパンツを乾きやすい場所に干して、明日の朝には持ってきてくれるらしい。意外と親切だね、その顔ヤメロよ!


そして、部屋に戻ると蟷螂さんもいなくなってた


ちょっと!1人で寝れないじゃん!

いや怨霊とか思ってないし、でも下の部屋にいた意味不明な住人が上がってこないとも限らないよね?

生きてる人間が一番怖い…って本にも書いてあったし!

奥の寝室に俺が1人で寝て、ちゃぶ台のある所にみんなが寝るらしい。

いらん気遣いと配慮だよな?みんな一緒に寝たいと思って、通りがかった女中さんに「奥に四枚敷いて」と頼んだ


怖くなって真ん中陣取って布団に丸まった。


部屋に誰か入ってくる気配がしたけど…足音がする

蟷螂も蠍もハチミツも足音が極端にしないんだよ。

後鬼ともなんか違う…え?知らない人が入って来た?!え、店員さんかな?


布団の隙間から覗くと足が見えた…さっき布団敷いてくれた女中さんと服が違う!

ってか足汚っ


もしかして泥棒?


手に武器なんて持ってたらどうしよう?

泥棒は見つかると逆上して襲ってくるって言うもんね?

このまま寝たフリしよう…そう思ったけど足がずっと動かない

多分こっちを見下ろしてる……怖っ

なんだよ!早くしろよ帰れよ!物色するんだろ?


反社会性人格障害サイコパスかよ


バクバクなる心臓、血の気は引いてるのに熱くなる布団の中


見えてた足がゆっくり膝をついた


そして手をついた

髪?…これはしゃがんでるんだな!ボサボサの髪が見えた!

あっ!こちらを覗くつもりか?


その一瞬、蠍が話してたボサボサ頭の一昔前の仕事着の話のくだりが頭をよぎった


ひぇ


目が合った


緊張しまくって何かが限界を迎えたらしい、体が勝手に驚いてぴょーんと飛び上がってしまった


勢いよく布団から飛び出たから

あちらさんがひっくり返ったようだ


ドスン!と怨念にしてはリアルな体重の音がする


もちろん振り返らずに部屋から飛び出して逃げたんだけど、廊下を走ってくる後鬼を見つけた。

気がついたら飛びついた


「いた!いたいたー!いたんだよ!部屋にいる!

ぶぅぇーん…後鬼どこに行ってたのぉ?ウゥゥ」


「下の部屋にいた、そなたが戻ってくると思った」


蜜蜂「何があったんです?」


蠍「あっ、誰だよテメー!何もんだ!」


部屋を覗いた蠍が転がってる人を見て叫んた。

そして、その声に店の従業員が集まってきて、蟷螂も帰ってきた。


蟷螂「なにがあった?」


部屋の中から出てきたのは、以前ここで働いていた元中居の盗人だった。

従業員の服は買い取りで、その時のものだと。

ナイフを持っていたらしく、人を傷つける用ではなく壊して盗むための物だったとか。


後鬼「無事か?」


「1人で怖かったからな!みんな帰って来るのが遅いよ」


後鬼「すまない…」

後鬼の話を要約すると、俺が女将に連れられて行ったけど、戻ってくると思って部屋を物色して待ってたらしい。

押し入れにちゃぶ台と座布団が入ってて他にも道具箱があったから見てたと。

その中に宿泊客の目安箱のような紙束(ノート)があり、そこにこの部屋で心霊現象っぽい体験した事が書かれていたと。

随分待っても俺が来ないから、後鬼はふすまを開けて中を調べようとしたらしい


俺のために「見たけど何もなかった」がやりたかったんだと思う


止める2人をよそに、ふすまを2枚とも一緒に外して御札を剥がさずに手前に立てかけたようだ

なるほどな賢いやり方じゃん!

その時に気づいたと


「最初にそなたが入った時変だと思った

同じようにふすまは外して奥に立てかけていたのだ…暗くて気づかなかった」


後鬼が言うには、おそらくだが、元従業員だから開かずの間があることを知っていて、人気の無くなる時間まで待ってたのだろうと。


俺の見た目が良家のご令嬢に見えたから盗みは確定したようだ。どこかで見られて目をつけられていたんだな。

護衛達が下の部屋に入ることも知って、上が無人だとわかって窓を伝って上の階に侵入したと


蟷螂さんと2人で見たのはその時だったんだな

俺が叫びそうになって怖がって厠に行ったことも気づかれてて。すぐに窓を上って物色しに入った


蟷螂さんは俺の厠に付き合ったあと、蠍達の様子を見に下の部屋に行ったらしい。けど、従業員が来たから厠に行くふりをして誤魔化したと。


真っ直ぐに部屋に戻っておけよ!とか思った


そこで運悪く俺が部屋に戻ってきて、女は窓の手前のあの謎スペースに隠れた。

俺が布団を奥の部屋に敷いて即座に丸まって動かなくなったから、また出て来て物色を再開する


もうね、この時点で諦めて帰れよ!って思う

見つかるじゃん馬鹿じゃね?


荷物少ないし、金はみんな肌見放さず持ってたから

女は寝てる俺から金目のものを何か剥ぎ取ろうと思って、布団を覗いたら俺が飛び出してきて

ひっくり返って脳震盪をおこして目を回した

その音を下の部屋から聞いてて、上が騒がしい!戻るぞ……と言うわけだ。


女将は平謝りして宿代を無料にしてくれた。

やたらパンツの事を言ってくるから

「もういいです、大丈夫なんで、本当に、乾いたらこっそり返して下さい」と言うしかなかった


普通に怖かったよ

だって、よくあるじゃん?見つかって焦った泥棒が家人を刺したって話

寝たフリしとくんでしょ?でも追い剥ぎされたら起きるよね?馬鹿すぎないか


蜜蜂「あ、そのっ、怖かったんだね?

マコトちゃんってそういうの平気だと思ってたから、普通の女の子みたいで可愛いところもあるんだね」


とニヤニヤしながら言ってきた。

女将によって俺のパンツが裏方バックヤードの何処かに干されてる事が従業員全てにバレてしまった


もうやだ!二度とここに来ない!

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