『月に狼』

ヒニヨル

『月に狼』


温かい身体に

冷たい指をなぞらせると

いつもの澄まし顔が

少し歪んだ。


冷ややかな目つきで睨まれる。

俺は

得意げに笑った。


暗い部屋の中

清廉な月明かりのように

ソファーの上、寝そべって

俺を

じっと見ている。


俺たちはいつだって

正反対だ。


飢えているのは俺だって?

いや違う。

凍てついた空気を纏わせた

氷月のような顔をした方だ。


合わせてやっているんだ。

何も言わないから、


首筋に噛みついて欲しいんだろ?

死にたくなる程

愛してやる


俺たちのルールは

誰に知られなくてもいい。


分かってもらえなくても、

お前がいれば満足さ。



     Fin.





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『月に狼』 ヒニヨル @hiniyoru

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