第2話 蕎麦屋の話

「なんで私があそこにいると分かったんです?」

綾埜が裡在門の所に来て何日か経った後、綾埜は聞いた。

「…蕎麦屋だ。蕎麦屋に聞いた」

「お蕎麦屋さんですか?不思議ですね」

「…」

確かにあの蕎麦屋は不思議だ。綾埜の事もそうだが、あのオーラ。あの不思議な…それに。

「少し妖力を感じたな…」

「えっ…?」

「あ…いや。微かに妖力を感じたんだ」

「妖力ですか…なら妖怪かもしれませんね」

「かもじゃなく妖怪なんですよ」

妖怪…あの蕎麦屋が妖怪なら。なんで妖怪の情報をよこしたんだ?…⁉︎

「「誰だお前⁉︎」」

赤いローブを着た男がそこにはいた。

「ははっ。あっしですよ。噂のそ・ば・屋♡」

男が頭のローブを捲る。

そこにはあの時の蕎麦屋がいた。

「あっ…あの時の」

「お久しぶりですね。まさか極姫を手駒にするとは…」

「えっ…貴方が」

すると男はニヤッと笑い自己紹介をする。

「遅れやしたが…あっしの名前は、砂利です。九尾の砂利。化け狐です」

「化け狐…」

「まぁこれから長い関係になるでしょうし。依頼もしてぇんですよ」

「「依頼…?」」

「えぇ…あっしは、蕎麦屋なんですがね?本業は、妖怪殺し様のサポートをしておりやす。妖怪殺し様に悪ぅい妖怪を退治して頂き妖怪殺し様は、あっしに金を貰う。あっしは依頼者から依頼料を頂き。妖怪殺し様に依頼を教える。あっしは依頼料を半分に分け妖怪殺し様に支払う。win-winってやつでさぁ」

「…確かに。で?お前は何でここに来た」

「あぁまずは極姫の依頼料。まぁ殺してはいやせんが、一応退治したという方向で話を進めさせて頂きやす。裡在門様に支払う依頼料の30000円でさぁ」

砂利は金を包み、裡在門に手渡した。

「あぁ…確かに」

「30000って事は、私の依頼料は60000だったんですね。なんか複雑です」

「さて次の依頼なんですが…引き受けてくれやすか?お二人さん」

「金額次第だな」

「ははっ…今回は高いですよ。あっしと分けて300万」

「「300万⁉︎」」

普段聞かない金額に二人は驚いた。しかし砂利は、顔色一つ変えず笑顔で話を続けた。

「江戸には悪い妖怪が何匹もいます。ただ時には人間だけじゃあない妖怪や動物、江戸以外の国を壊す連中だっていやす。その中でも特に危ない奴ら」

「「危ない奴ら…」」

二人は息を呑む。

「殲滅組織「大蛇」上級妖怪の集まりで、かなりヤバい奴らです。6人いますんで一人50万。どうです?やりやすか?」

「…」

確かに危ない連中だ。近づかない方が良い。しかし

「やるよ!やってやる!」

「やるんですか裡在門様⁉︎」

あぁやってやるともさ。何故なら…。裡在門の頭に浮かぶ綾埜の思い出。

「美味しいですねぇコレ」

「凄く美味しいですね」

「いくらでも食べれちゃいますね!コレ」

綾埜は見た目は人間だが、中身は女郎蜘蛛という上級妖怪。

一日の食費がえげつない。これじゃ貯金がもたない。

「ははっ…それじゃ紹介しやす。大蛇のメンバー」

「あぁ」

「名前や能力までは知りませんが、種だけは分かってやす。

一人目は夜行、二人目は火車、三人目は百々目鬼、四人目は鳴釜、五人目は鵺、六人目はサトリ。数が多くなるごとに強くなっていきやす」

「サトリってのは聞いたことがあるな。心を読む妖怪だったはずだ」

「それって考えてることも当てられるんじゃ…」


その頃江戸の外れで、大きな火事が起きていた

「救急車!いや消防車を!!」

「ママー!痛いよー!!」

断末魔。その声を楽しむ様に一人の男が笑みを溢す。

「わしの願いを聞かんからこうなるのじゃ…なぁ一郎に二郎…」

黒いローブを纏い妖しく笑うその男の名は、結角。

大蛇のNo.3。百々目鬼の結角。


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Chojugiga ベニテングダケ @oojamiuo

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