第53話 ロリ女神に殺意を覚えた日

俺は今、ロリに踏まれてます。


なにを言ってるか分からないと思うだろうが、俺はただ事実を述べてるだけだ。


仰向けに寝転がった俺の顔を、幼女の素足が踏みつけている。


視線を伸ばしていくと、その脚の付け根には、ピンクと白の縞々の……。


「ねぇ、聞いてるの?」


俺の顔を踏みつけている幼女女神ロリが聞いてくる。


「はい、縞々最高ですっ!」


「はぁ”?」


ロリ女神ちゃんが足を上げ、今度は股間近くを踏みつける。


「どこ見てんのよ、この童貞っ!」


「いえ、見てるというか見えたというか……はぅ……そこダメ!」


「この変態童貞っ!これがいいんでしょ!」


ぐりぐりと股間付近を足でこね回すロリ女神ちゃん。


……いや、マジでそこ、ヤバいから。


「あのねぇ、そろそろ真面目に話さない?」


静かな声でアスカがそう言う。


静かで落ち着いた声なんだけど……すごく怖いです、アスカさん。


「そうだな、冗談はこれくらいで、話を聞こうか。」


俺はロリ女神ちゃんの脚を掴み、そのまま立ち上がる。


すると当然、背丈の関係上、ロリ女神ちゃんが逆さづり状態になるわけで……。


……あ~、ピンクの縞パン、ありがたや~。」


俺は空いた手を顔の前に持ってきて拝んでおく。


「こらぁ、離せぇ。」


ジタバタと暴れるロリ女神ちゃん。俺としてはこのまま拝んでいたいのだけど……。


アスカの視線が痛かったので、仕方がなく、手を離す。


「アンタねぇ、童貞のくせに、この私の扱いが酷くなってない?」


「滅相もない。今だって、やろうと思えば、縛って裸にすることも出来たんですよ?」


それを、おパンツを拝むだけにしておいたのだから、感謝してほしいぐらいだ。


……いや、今からでも遅くないのか?


「……っ!」


俺の心を読んだのか、ロリ女神ちゃんは慌てて飛びずさって、俺との距離を置く。


「アンタ、今、マジに考えていたでしょ?」


「ナンノコトデスカ?」


当然惚けておく。なんだかんだ言っても、ロリ女神ちゃんから受ける恩恵は大きいのだ。ここで機嫌を損ねるわけにはいかない。


「……まぁいいわ。それでね、今の世界状況なんだけど……。」


ロリ女神ちゃんが改めて説明を始める。


まず、前提知識として、俺達が今居る大陸の事。


俺達が今居るのは、大陸の南西部にあるトリニティ共和国のエイバー領フォーの街。ここから西に10日ほど行けば、オクト自治領に入り、さらに10日ほど馬車で移動すれば、ミィナやレイナたちの待つツヴァイの村に着く。


このトリニティ共和国の周りには大国、小国がひしめき合っていて、その中でも特に大きいのが、北西部に位置するエア・エール皇国と、小国を挟んで南東部に位置するエルクラード王国。

後は、北部に広がる、謎に包まれたシベール帝国などがある。


小国はいくつか存在するが、そのほとんどは、この三大国のどこかの庇護下にあり、世界は一見平和を保っている。


しかし、この大陸とは別にある二つの大陸で問題が起きているというのだ。


問題なのは、この世界が、目の前にいる幼女……ロリ女神の管理下にあるという事だ。


このロリ女神は、俺達が今居るような世界をいくつか管理して居るという。


それらの世界は、この世界の様に平和を維持している世界もあれば、魔族と人族が血みどろになって争う世界まで、色々あるという。


そして、世界を管理する女神は、それらの世界は崩壊しないように、世界に干渉する力を持っているらしい。


その一環で、このロリ女神は、俺を勇者として地球から召喚した……はずだった。


実際には、召喚しようとしたのは、俺の目の前を歩いていたイケメンだったらしく、俺は間違いで召喚されたとのこと。


まぁ、本来なら怒り心頭ではあるものの、心優しい俺は広い心で許した……決して、ロリ女神ちゃんが可愛かったからいっか、って事はないんだぞ。


そこまではいい。一番の問題は、このロリ女神ちゃんが、イケメン勇者を召喚してしまったことだ。


一応こことは違う世界らしいのだが、このロリ女神ちゃん、ホストに貢ぐアホ女の如く、そのイケメンのたわごとを真に受けて、色々貢ぐわ、戯言を聞いて世界を改変しようとするわ、やりたい放題なのだ。


ただ、世界の改変については、さすがにバレると上司に叱られるとかで、直接改変するのではなく、俺のいる世界で実験してから、イケメン勇者のいる世界に適応して行っているらしい。


お陰で、魔物も奴隷制度もなかったこの世界で、魔物が出るわ、魔王が出現するわ、奴隷制度を制定している国が現れるわ、もう無茶苦茶だ。


イケメン勇者の世界は不味くて、この世界ならいいのか?と問うてみたところ、この世界は俺がいるからいいとのことだった。


なんでも、「間違えて召喚した童貞クンに誠意を見せるため、多少の無茶な要求も呑んでいる」というとのこと。

つまり、この無茶苦茶な状態は俺の要望という事になってるらしい……ふざけんなよ、てめぇつ!


「……おにぃちゃん、ごめんね、ゆるしてくれゆ?」


ハイ、すべてはこれで誤魔化されてきましたよ。


まったく……俺の心の広さに感謝してくれよ。


……だけど、そんな俺の心の広さにも限度がある。


まず今起きている別の大陸での問題。


北の大陸では、「3年後に魔王が復活する」という予言が下され、それを証明するかのように、各地で魔物やダンジョンが発生したという。


そんな中現れた、高レベルの薄幸の貴族令嬢。


これは某イケメン勇者が「薄幸のお嬢様が、周りから理解されないんだけど、一人だけずば抜けた高レベルのおかげで無双するってのよくね?」といった結果、実装された。

……いあね、もう、改変だとかいうより「実装」の方が言い得てね?


そして東の大陸では、ファンタジーに喧嘩を売っているような魔装兵器マギア・グレイヴと呼ばれる機械が量産されつつあり、機械を使った戦が大陸全土で起きているという。


これも某イケメン勇者の『やっぱ、ロボットはロマンっしょ?メカメカしいモノじゃなく、ファンタジーっぽい有機的なフォルムでさ。』という言葉が引き金になったのだとか。


もうね、そのイケメン勇者の口塞いじゃおうよ。……物理的に……いや、マジで。


「でね、ちょっとバランスが壊れちゃったというか、収拾がつかなくなっちゃったって言うか……。だからね、お願いっ!何とかしてっ!」


いつもの上目遣いで甘えるような表情で見上げるロリ女神ちゃん。


しかし、いつもいつも同じ手で誤魔化せると思うなよっ!


「ねぇ~、お願い♪」


俺の腕を取り、胸元に抱き寄せる。


しかし残念なことに、腕にその柔らかな感触は伝わってこない。それがロリの限界なのだ。


「そのふざけた状況を解決するに見合うだけの報酬をよこせ!……具体的にはエッチさせろっ!」


俺は当然の如く報酬を要求する。


「ウッわぁ~、清々しい迄のゲス発言。ないわ~。」


ロリ女神ちゃんがドン引く。傍にいたアスカと、リリアも同じように呆れた眼で俺を見ていた。


「いや、それぐらいの褒章がないと、……くそっ!絶対受けてやらねぇっ!!」


俺は拗ねてそっぽを向くと、ロリ女神ちゃんが近寄ってきて耳元で小声で囁く。


「私じゃなくて、あのおっぱいとエッチするのでもいい?」


そう言うロリ女神ちゃんの視線の先にはおっぱ……アスカがいる。


「そりゃぁ、アスカでもできるならいい……というかあのおっぱいを好きに出来るならそれでもいいが、無理やりはダメだぞ?」


「うんうん、わかってる、あのおっぱいちゃんが『抱いて……、中に出して……』って言えばいいんでしょ?」


「そ、その通りだが……アスカがそんな事いう訳が……。」


思わず想像してしまい、ごくりと生唾を飲み込む。


「大丈夫……。はい、あのおっぱいちゃんに祝福をかけたから。」


「祝福?」


俺は何の事だ?と訊ねる。


「うん、アナタが彼女の中に精を放った場合、そのエネルギーを利用して、好きな世界へ跳べるようにしたの。だから、忌々しいけど、勇者のもとに帰ることも、元の世界に帰ることも出来ってわけ。」


「そりゃぁ凄いな。アスカも喜ぶぞ。」


「ウンそう思う、だから、あのおっぱいちゃんは、自分の好きなところに行く為にあなたを求めるって事。」


小悪魔な笑みを浮かべるロリ女神ちゃん。


つまり、なにか?

アスカがイケメン勇者のもとに帰るには、俺とエッチ、しかも生で中出しが必要ってことか?


姿形は可愛いが、言ってること、やってることはえげつない。


「あ、後、祝福が発動するのは、問題を全て解決してからね。」


そう言ってロリ女神ちゃんは、現れた時と同じように、あっという間に姿を消す。


………つまり、後払いってわけね。


……まぁ、今回は、ロリ女神ちゃんに頼まれなくても、巻き込まれることになるだろうから、報酬を約束させただけマシか。


「結局、どういうこと?」


アスカとリリアが聞いてくるので、俺は、北と東の別の大陸で問題起きているから、それを何とかしないといけない、とかいつまんで要点だけ話す。


「ふーん、でも別の大陸なんでしょ?放っておいてもいいんじゃない?」


アスカがそう言う。


実は俺もそれを考えていた。しかし、よくよく考えてみれば、それは悪手だという事に気づく。


まず、北の大陸の問題。


北の大陸では、三年後に魔王が復活するという。


しかし魔王リリアが、今現在俺の横にいる。しかも、俺は魔王の主人という事なっている。


北の大陸の「魔王」がリリアの事なのか、それとも別の魔王なのかは知らないが、絶対関りが出てくることは間違いない。放っておいても巻き込まれるだろう。


そして東の大陸の問題。


マギアグレイヴなんて言う殺戮兵器を手にしたものが、一つの大陸を支配しただけで気が済むわけがない。


東を支配したら次は絶対にこの大陸に出張ってくる。


今のままでは、そのマギアグレイヴに対抗するだけの力はこの大陸のどこにも存在しない。


となれば、東が混乱している間の内に、マギアグレイヴについての知識と技術を手に入れて対抗手段を用意しなければ、ミィナたちに類が及ぶ。


正直、大陸間の戦争などに興味はないが、ミィナたち、俺の嫁候補の女の子達を傷つけるような真似は許さない。


最悪の場合、単身東に渡って、マギアグレイヴを全てぶち壊し、新たに作れないように設計図を燃やし、技術者を暗殺し、ついでに、支配を目論む権力者たちを暗殺することも考えておかないといけない。


だから、何とかしなければならないのだ。


「決してアスカとエッチがしたいから、なんて理由じゃないんだぞ」


「はぁ?なんでそこで私が出てくるのよ?」


バッカじゃないの?というアスカをスルーして、とりあえず、ここから脱出しなきゃいけないな。と考える。


リリアに拘束を解いてもらった直後に、いきなりロリ女神ちゃんが現れたから、忘れかけていたが、俺達はさっきまで、囚われの身だったのだ。


俺は状況を確認すべく、リリアとアスカに向き直るのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヘタレ勇者の成り上がり~間違った召喚の代償に、ロリな女神様に貰ったスキルでハーレム目指すけど……ボッチにハーレムは厳しく遠い道のりです~ @Alphared

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ