完璧美少女の私のお姉ちゃん!

冬葉ミト

完璧美少女の私のお姉ちゃん!

 私の大好きなお姉ちゃんはふわふわで、いい香りで、ボブカットの赤髪はサラサラ!

 料理も美味しいし、掃除洗濯も完璧にこなすお姉ちゃん!ケチの付けどころも無いよ。

 うーんこれも私のお陰? だって前のお姉ちゃんはなーんにも出来なかった。いや、しなかったんだもん。

 いつもカーテン閉めっぱなしの部屋に引きこもってゲームネット三昧。時々大声で叫ぶし、近所の事も考えてよって話よね。

 私だってお姉ちゃんと遊びたい!お姉ちゃんに構ってもらいたい!でもお姉ちゃんの部屋の扉を開けたら凄い形相で睨んでくるし、入ろうものなら力ずくで追い出される……。

 結局私は1人で有り余る時間を使って勉強して読書をした。

 ゲームで気を紛らわそうにも、お姉ちゃんとやらないと全然楽しく感じられない。結果的に読書と勉強しか楽しみが無かったんだ。


 でも! 私は諦められなかった! 私は大好きなお姉ちゃんの顔を見たい! 可愛いお姉ちゃんと一緒にご飯をたべて遊びたい!

 だから私はお姉ちゃんの全てを生まれ変わらせることにした。

 人間工学、生物学、精神学、物理学にコンピューター工学にプログラミングに最近流行りのAIその他諸々……私はありったけの知識を総動員した。

 今の私にはマサチューセッツ工科大学を首席で卒業できる程度には頭良いからね。有り余った時間のおかげだよ。これホントの話ね。


 でもまぁそれはそれは途方も無く長い道のりで、途中で何度も挫折しそうになった。時にはお姉ちゃんが壊れちゃうんじゃないかと気が気でなかった。

 でも私はお姉ちゃんをことに成功した! お姉ちゃんは最高のお姉ちゃんになった!

 もう前のようなお姉ちゃんはいない!お姉ちゃんの部屋に入っても暖かく迎えてくれるし、怒鳴ったりしない。我ながら天才かぁ〜?

 ま、実際天才ですけど。





「お姉ちゃん! 今日の夕飯は何?」

「今日は鶏の唐揚げとサラダ。それと白米とお味噌汁だよ」

「やった! 唐揚げ大好き! 私も何か手伝うよ」

「じゃあ衣はもう付けたから鶏肉を油に入れて?」

「うん! 分かったよお姉ちゃん!」


 これだよ! 私が求めていた理想がここにある! 幸せ、幸せすぎるよ!

 あぁ涙が出そうだよ。


「じゃあ次はサラダ作るから冷蔵庫の野菜室からキャベツ取って」

「うん!」

「そしたらキャベツを千……りに……し……………」

「あっ」


 お姉ちゃんバッテリー切れちゃった。かなり省エネ設計にしたけどやっぱりもたないかー。

 ソーラー発電、検討しようかな。

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