革命家

無記名

孤独

この世に産まれたその瞬間から、わたしはすでに革命家だった。


怒りを感じた。理不尽を駆逐すると誓った。

悲しみを感じた。バケモノを絶滅させると意気込んだ。

悦びを感じた。悪のようなものをわずかでも上回った瞬間、とてつもないほどの快感を覚えた。

愉しさを覚えた。弱者をおちょくるとき、あまりにもいとおしくて、コントロールを失った。


味方はいなかった。

私は独りだった。


寄り添おうとした。彼女は去って行った。

育てようとした。彼らは不快そうな顔をした。

楽しもうとした。責任者が私をさばいた。

頼ろうとした。それくらい自分で考えなさい、と言われた。

愛そうとした。相手に依存しようとしているだけだった。

奪おうとした。何も奪えなかった。

死のうとした。死ぬ理由と動機を奪われた。

生きようとしたその時、この世は既に狂い咲いていた。


私はこれまでずっとひとりだった。

これからもきっと、それは変わらない。

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革命家 無記名 @nishishikimukina

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