キジトラちゃんの背を追って。

Nたろうちゃんの隠れ家

　いつも駐車場で見掛けるNたろうちゃんは、たまに田んぼで遊んでたり、小さな水路の影で寝ていたりする。

　ゴミ箱の隙間に隠れてたり、茂みの中で休んでたりもする。

　けれど一番見掛けるのはやっぱりいつもの駐車場で、お気に入りの車の下で寛いでいる。

　最近、その駐車場で車が入れ替わった。

　お気に入りの車が停まっていた場所には新しい車が入るようになって、車体も今までよりもかなり低くなってしまった。

　あれじゃ、いくら猫は液体と言われていても、寛ぐことはできないだろうな。

　だからなのか、それっきり駐車場では姿が見えなくなってしまった。

　けれどもいなくなったわけではない。

　相変わらず夜にバスを降りて歩いていると、駐車場近くのゴミ箱の隙間からにゅっと顔を出していたり、2mを死守しているうちはゴロンゴロン転がっていたりもする。

　そんなある日、私はついにNたろうちゃんのお家を発見するに至るのである！

　ちょっと遅めに家を出てバス停に向かっていると、Nたろうちゃんが駐車場とは道路を挟んで反対側の、小さな物置小屋辺りを歩いているのが目に入ったのだ。

　あー、Nたろうちゃんだー、と思いつつ歩いていると、Nたろうちゃんはおもむろにその小屋の脇の資材に掛けてあったブルーシートの中へとのそのそ入って行ったのだ！

　それを見た瞬間、思わず「あっ！」と声が出てしまった。

　そこが！

　あなたの！

　おうちですか！

　なるほどねー。

　ブルーシートの中だったら冬は暖かいよねー。

　でも夏は激暑だから、きっとどこかに別荘もあるよね。

　別荘はどちらですかね！