第7話 サンキュウー

 ヨットが転覆することを僕らは「沈」といいます。


「ちん」ですね。

 こうゆう船首からの沈を『バウ沈』といいます。



 バウが波に突っ込み、抵抗で急激に速度が落ちて船は当然ひっくり返り、その上の乗員は飛ばされます。



 かっとびます。

 沈の中でも痛い、避けたい沈です。



「まさかね…プーケットで『バウ沈』するとは…」

 僕と小杉さんは同じことを嘆きました。

 幸運にもお互い無事なようです。



「仕方ない…やるか…」

 初めてのカタマランの沈起こしです。

 さあ…どうやるんだ…カタマランの場合は…



 試行錯誤していると…

 浜辺のお兄さんがボートでやってきました。

 そして何やら言いながら…

 器用に一人で沈を起こしてくれました。



「サンキュー! 」

 お兄さんも笑顔です。


 ええ…そのまま着艇しました。


 今思えば本当にケガしなくてよかった…



 

 その後は海外でヨットに乗っていないですね。

 そのうち乗りたいけれど。


 もう体力もないしあんなカタマランなんて乗れないぞ。


 海外…

 仕事か研修でしか最近は行ってないですね。

 そのうち…いつかいつか…海外でヨットに。



 もう沈はしたくないけれど。


     了

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カタマラン @J2130

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