第6話 「これはまずい」

 ぼちぼち戻ろうかと思ったとき…



 右舷というか右の船体の細い船首、船首のことをバウといいます。


 そのバウが水に勢いよく潜るのを見ました。


 波に突っ込んだんですね。




 その先…

 僕の視界は途切れます。



 ただ

「これはまずい」

 と意識して眼鏡を右手に持ちました。



 ヨットでこれはまずい…というときは水に落ちるときです。

 習慣です、眼鏡をはずすのは…



 案の定、よくわからない強い強い衝撃のあと…


 僕と小杉さんは海上でライフジャケットの浮力にまかせて浮いており、船は180度転覆していました。

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