当たって砕け

あばらねざん

一度きりだから良い

「図書委員になんてなるんじゃなかった」


「戸田くん、それ聞くのもう四十回目なのだけれど?」


「そのくらい俺にとっては大きな失敗だったの、秋元さん」


「それももう聞き飽きたわね」


「現実にもセーブとロードがあればなあ」


「……それは始めて聞いたわね。現実がゲームみたいだったらってこと?」


「うん。秋元さんもそう思わない?」


「あったとして、それは上書き保存だけなのかしら」


「おお、設定次第って訳ね。上書きだけなら欲しい?」


「微妙ね。間違えて保存してしまう事もあるかもしれないし」


「じゃあストック式なら?」


「良くなったけど、まだ微妙ね」


「他の条件も必要?」


「そうね……もし現実をゲームとするならゲームオーバーはあるのかしら」


「んーあるかも」


「そう、なら私は今のままでいい」


「なんでーさ」


「戸田くんはゲームオーバーになったらどうするの」


「どうするって……コンティニューするでしょ、クリア出来るまで……あ」


「そういう事」


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