第7話 やっと会えましたねぇ

「二人共、しっかりしろ!」


女性の怒鳴ってる声がする、やっとこさ辿り着くと、上級ゴブリンと普通のゴブリンが数体居た。

三つ編みの狼人族の女の子が大盾を構えて必死にゴブリン数体と戦ってる、その後ろでゴブリンソルジャーが腕を組んで見てる。反対方向にぐったりしてる狐人族の双子とゴブリンメイジ。

双子は魔法使いと僧侶っぽい装備してる。

アタシは援護するタイミングを伺って様子見させてもらった。


双子は黒いガスのような物にまとわり付かれていて、そのガスを徐々にゴブリンメイジが持つ杖に吸い取られていってる。

マジックドレインとか言うやつかな、魔法使いや僧侶とかには厄介な技だ、魔力を吸い取られるわ、力が抜けて無くなるわで使われたくない。


三体のゴブリンが双子を襲おうとヨダレを垂らしながら飛びかかった。

片方の狐人族の子がなんとか立ち上がって腰に付けてるムチを取り出すと怒鳴り散らす。


「汚い手でアタイの妹に触るんじゃないよぉ!」


そう言うと腰に付けてるムチを取り出して何か詠唱するとムチの先端が赤く燃えるような輝きを放ち、振り回した。


「フレイムテイル!」


飛びかかってきたゴブリン達をムチで打ちまくり一匹残らず撃破した、魔法使いなのに近接もできるとか強いじゃん。

タンクの方を見ると押されていて良く見たら折れた剣を使ってる、そりゃ苦しいわけだ。

見かねたアタシは武器を握り締めて駆け抜ける。


「パワーストライク!」


アタシの声に振り向いたゴブリンソルジャーの顔にフルスイング一発くれてやる、果実のように柔らかい音を立てて潰れて倒れた。

そのまま突撃を止めずにタンクを襲ってるゴブリンの後頭部に先ほどゲットした剣を投げて、見事に刺さり倒した。他のゴブリン達は突然の奇襲に混乱していた。


「それ使って! 援護するよ!」


突然倒れたゴブリンと現れたアタシにキョトンとするタンクの狼人族の子は、その言葉を聞くと安堵の笑みを浮かべて。


「すまないっ!援軍助かるっ!」


刺さってる剣を抜くとそのままパニック状態のゴブリン達を倒していってる、物分かりの良い子で助かるなぁ。

そのまま視線を前に戻して正面を見据えると、フラフラになって膝をつく双子の片方が見えた。ゴブリンメイジと目が合ってニヤつきながらアタシは盾と武器を構えて走り続ける、慌てながら詠唱して火球を連続で飛ばしてくるゴブリンメイジ、全然怖くないや。

ゴブリンメイジは慌てているせいか狙いがブレ過ぎて全く命中せずに、たまに飛んでくる火球も小盾が弾く、そしてアタシの振り下ろしたモーニングスターで絶命した。

人狼族の子の方も見ると片付いてた、視線を送ると軽く会釈してくれた、かわいいな。


「大丈夫?」


「あ、ああ……。誰だか知らないけど助かったよ、ありがと」


先ほどムチを使いこなしていた魔法使いの狐人族に近付いて声をかけた、寄り添うように地面に膝突いてる二人に近寄り、マジックポーションを差し出したんだけど。

二人とも熱があるのかな、なんか熱が籠った視線をアタシに向けてくるんだよね。



「いやぁ……強いんだねぇ。アタイ、リーナってんだアンタは?」


「レヴィナだよ、よろしく」


あれから『戻り石』の所まで四人で移動して休憩していた、肩を強引に組んで来るのは双子の狐人族の姉の方のリーナ、アタシより少し身長高く、金髪のオカッパで揉み上げの部分が赤毛になっていてスラッとしている。

胸もアタシより大きいのが悔しいかな。

それを座って見つめているのが妹のリルル、姉と似たような髪型で揉み上げの部分が水色だ、姉と違うのはその胸。知り合いの爆乳って初めて見た気がする。とても無口なのか、カタコトに近いような喋り方をしてるだけど、そこがまたいいね。その隣に座ってるのが人狼族のリティア、この四人の中で身長は一番高いかな。銀髪の三つ編みで体型もムチムチしてて良い感じ。さっき渡した剣を律儀に返そうとしてくれたけど折れてる剣を見たら流石に可哀想だから、そのまま上げたら尻尾を振って喜んでくれた、やっぱかわいい。

話を聞くとエリィさん達の知り合いらしく、調査のクエストを紹介してもらったとか。

順調にゴブリン達の討伐をしていたが、奇襲にあってピンチになってた所にアタシが間一髪間に合ったんだってさ。

パーティーの冒険者としての活動期間は一年くらいと聞いて丁度良いかなって思い始めてる。



「レヴィナ……そんなに強いのに何で……ソロ?」


リリルが不思議そうに首を傾げながら、アタシを見つめてくる。

ちょっと困ったように頬を掻きながら苦笑気味に答えた。


「えーっとね……最近パーティーを追放されちゃってね」


「そうだったのかい……それは可哀想だね……アンタみたいな凄腕を追放なんて見る目がないんだねぇ」


「全くだな、判断や腕前なんて文句無しだろうに」


「持ってる武器も強そう」


アタシの側に置いてあるモーニングスターを見つめながら言われた。

気付いちゃった?お目が高い!


「あっこれ? さっきドロップしたんだよ」


「そうなのかい? そのわりには使いこなしてるじゃないかい」


「元々、打撃系を使ってたからね」


「なるほどねぇ」


ルリアが慰めるようにアタシを胸に抱き締めてくる、獣人って抱き締めるのが好きなのかな。

ルリアの胸を堪能しながら追放された経緯を話した。


「あはは! ポーションぶつけてやるとはねぇ……やるじゃないのさ、気に入ったよ」


「そうかな? えへへ」


「アタイ達、戦士を探してたんだよね……どうだい?アタイ達のパーティーに入るのは…… みんなも良いだろ?」


「それはいい! エアリーデが良ければ私は大歓迎だ、剣のお礼もしたいところだしな」


「異議なし」


抱き締めながら上から嬉しそうに見つめてくるルリア、視線を横にチラッと移すとアタシに期待してる眼差しを送る二人が見える、そのままルリアに視線を戻すと実に眩しい笑顔を向けてくる。

これはを断れる人はそうそう居ないだろう。


「う、うん……リルア達が嫌じゃなければ、入りたいな」


「………」


アタシが承諾すると真剣な表情に変わるルリア達、あれ? 何かおかしいこと言ったかな?

ルリアの胸の感触を楽しんでるのがバレたかな。


「「「やったー!」」」


静寂を打ち破るようにお祭り騒ぎで喜びアタシに一斉に抱き付いてくる三人、当然密着してくれば当たるよね、何がとは言わないけどさ。


「いやぁ……レヴィナが入ってくれると助かるよ、何せメンバーが不足気味だったからねぇ」


「特にアタッカーが欲しかった……適材適所」


「私もこれでタンクに専念できると言うものだ……うんうん」


みんな、分かったから離れて、離れてください。そんなにぎゅうぎゅうされたらアタシおかしくなるよ。パーティーを追放されてからというもの、優しい人達に会えてアタシ嬉しい。

門兵のおじさんに聞いてたことを伝えるとルリアは、より嬉そうに抱き締めてくれた。

興奮状態のみんなを落ち着かせてアタシ達はダンジョンを脱出した。

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~レヴィナの冒険~幼馴染モドキにポーションを炸裂させたらパーティーを追放されました~そして戦士として活躍しそうです~今日もビキニアーマーを着てモーニングスター片手に魔物を滅していきます☆ 青崎アカネ @aosakiakane022

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