第6話 やっと会えたね

去り際にエリィさんに『上級ゴブリンには気を付けなさい』と言われた、何やらゴブリンの中にも歴戦のゴブリンみたいなのが居るらしい。


通常のゴブリンと違って上級は明らかに動きや力が違うって、武器を扱うのは普通のゴブリンも同じだけど持ってる武器のグレードが違って良いものを持ってる。


ゴブリンソルジャー、ゴブリンメイジ等の名称で呼ばれてるんだとか見分け方は持ってる武器でわかるそうなので大体を教えてもらった。


エリィさん達が倒した上級ゴブリンの武器を見せて貰ったけど確かに品質が良さそうだ。

パーティーに入れば好きな武器を上げると言われて揺らぎそうになるくらい。


ダンジョン内を更に歩き始めて急に辺りが静かになってきた、魔物の声も聞こえない。


アタシは警戒して周囲を警戒しながら歩くと、左右から同時に二体のゴブリンが飛び出してきた。

さっきまで倒してきたゴブリンと違って飛び出してくるタイミングも奇襲としては上手い。


アタシはメイスをフルスイングして飛び出してきたゴブリン達を一体、また一体と確実に絶命させると前方に大きな音と一緒にワンサイズ大きいゴブリンが現れた。


手には切れ味が良さそうなショートソードに血まみれの盾を持ってる。これが上級ゴブリンか、確かに強そうだ。


これはおそらくゴブリンソルジャーかな。

相手を睨みながら身体強化の魔法を唱えて防御力や速さをあげておく、それを見た上級ゴブリンは走りながらショートソードを振り下ろしてくる。

とっさに左に飛んで回避する、振り下ろされた場所は地面が抉れたようになっていた。あぶな、あんなの盾で受けてたら盾ごとやられてたよ。


アタシもお返しにとメイスを握りしめて上級ゴブリンに振り下ろすも盾で止められた、強い。

そのまま押し潰そうと考えてたけどこれは無理だ。

剣で凪ぎ払われる前に上級ゴブリンの腹に蹴りをお見舞しながら軽く後ろに跳躍して距離を取る。


上級ゴブリンが吠えるとまた三体くらいのゴブリンが飛び出してきた、うっとうしい。


「エアーシールド」


ゴブリン達を弾くつもりで唱なえた防御系の風魔法、風が盾のように体の周囲に展開して攻撃を防いでくれる優れものだ。


しかし、そうはならなかった。飛んできたゴブリン達はエアーシールドに接触するとバラバラに切り裂かれていった。


あれ?


こんなに強かったかな、エアーシールド。


いつもは使うとモンスターを弾くくらいの威力なのに、このビキニアーマーは魔法の威力も上げてくれる優れものなのかな。


それを見た上級ゴブリンが明らかに血相を変えてる、そりゃそうだ、いきなり三体も秒殺されたら怖いよね。


良く見たらちょっと怯えて逃げ出そうとしてるね、大丈夫だよ、手下のゴブリンのところに送ってあげるからね、アタシは優しいから。


アタシは持ってるメイスを握りしめ地面を蹴りあげては上級ゴブリンに凄まじい疾風のように突撃しながらスキルを詠唱する。


「パワーストライク!」


アタシが好んで使うハンマー系の打撃スキル、シンプルだが抜群の破壊力を秘める。


上級ゴブリンは攻撃を防ごうと盾を構えるもアタシの方が早かった、豪快な炸裂音と共に上級ゴブリンの頭がメイスによって粉砕される。


そのまま頭部を破壊された上級ゴブリンは地面に倒れて止まった。


「こんなに威力あったかな?」


アタシは握ってるメイスを見つめては呟く、せいぜい上級ゴブリンを殴り飛ばす程度だと思ってたけど一発KOとはね、もはやビキニアーマー無しでは居られない程の恩恵で手放せない防具だと感じた。

体が薄白く発光してレベルアップしていく、そして恐ろしい程の破壊力にゾクゾクと興奮しながら上級ゴブリンの剣と盾を回収してすぐ側に宝箱がドロップしてたことに気付く。


期待に胸を膨らませて宝箱を少しずつ開けていくと重厚な黒色に大きめのトゲが視界に入ってきた。

まさかと思い一気に宝箱を開ける、やったぁ。

そこには念願のモーニングスターがあったのだ、棒状の持ち手の先には鉄球がありトゲが生えていた。


メイスを収納袋にしまって持とうと片手で触ってみると案外ヒョイと持ち上がる、メイスより少し重いくらいかな。


これで殴られたら痛そうだ、抜群の破壊力を持ってそうなモーニングスターを見つめてニヤニヤが止まらない。

ダンジョンでメイスをドロップした時も嬉しかったもんなぁ。


「試し斬り……試し打ちかな……したいなぁ」


モーニングスターを肩に担いで、ボソッと呟いて周囲を見渡すもモンスターはおらずちょっと落胆しちゃうよ、まぁ収穫はあったしそろそろ帰還しようかなと思って戻り石に向かおうと足を踏み出した。


その時、少し遠くで悲鳴みたいな声が聞こえたような気がする……襲われてるのかな。


なんにせよ、試し打ちのチャンス到来。

アタシはニコッと口元に笑みを浮かべると、そのまま声の方に駆け出した。


待ってなよ、モンスター。

今楽にしてあげるからねぇ……アタシは優しいからぁぁぁぁぁ!

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