第5話 ダンジョン探索したい
エリィさん達はダンジョンの最深部近くまで行きゴブリン共をあらかた殲滅したらしく、戻り石で帰還するところだったらしい。
ゴブリンの耳の一部が入った袋を見せてくれたが袋がパンパンだった。
ゴブリンの大量発生の原因については詳細は得られなかったらしい。
自分達の他にも信用できるパーティーが複数、ギルドから依頼されてる事も教えてくれた。
どうせアタシは信頼されてませんよーだ。
「レヴィナちゃんはどのくらい倒したの?」
「アタシですか? えっと……三十匹くらいですね」
「「「「は?」」」」
エリィさんの質問に少し頭で数えながら答えた。
アタシの言葉に四人は驚愕の顔していた、やっぱりおかしいよね。
半信半疑な態度のエリィさん達にゴブリンの耳が入った袋を見せた。
「そんな……本当に貴女一人で倒したの?」
「嘘でしょ…Eランクのソロでそんなに倒すとか強すぎるよ」
「やべえな」
「それが本当ならウチに欲しいわね」
三者三様ならぬ四者四様だ、さっきまでの可愛いものを見る目から獲物を狙うような目付きに変わってる人も居るし。エリィさんはアタシに顔を近づけてきた。
その目はアタシ見据えて逃がさないとばかりに見つめてくる。
「レヴィナちゃん」
「なんですか?」
「良ければウチのパーティーに入らない?」
「え?どうしてアタシを?」
「どうしてって……それは優秀なアタッカーだからよ、Eクラスしかもソロで、その数のゴブリンを倒せるなんて凄いわ。それに話をしてみて良い子そうだし、何より貴女は可愛いから」
なんか最後におかしな部分があった気もするけどそこはスルーしとこう、エリィさんは両手でがっちりアタシの手を掴みイエスと言うまで離さないって意志が見えてくるよ。
「それと回復魔法が使えない元僧侶さん……だからかな?」
こちらを見透かすように見つめながら小声でボソっと言う、後ろの三人には聞こえてないみたい、アタシはハッと息を呑むような反応をしてしまった。しまったカマかけたんだ。
「やっぱりね、メアリーから話は聞いてたわ。追放された不憫な元僧侶が居るって、それにアタッカーとして優秀だとも聞いてるわ」
「優秀かどうかはわかりませんが多分それはアタシですね」
「ふふ、名前を聞いてもしや……と思って引っかけてみたけど正解ね。 僧侶で回復魔法が使えないのは不味いけどアタッカーの素質があるって聞いてたし、現にこうして実力を見せてもらったわ。文句無しね」
他の三人もウンウンと頷き異議無し状態。
冷静に考えれば自分が化け物クラスであると少々感じてきた、確かにこんなに倒してまだ奥に行こうとしてるんだからね。
このビキニアーマーのお陰なのかな。
「うーん……ありがたいですけど」
アタシはやんわりとお断りした、まだ自分が駆け出しの冒険者であることと気になるパーティーも居るし。双子の狐人族ってのには興味あるし。更に熱心に口説かれること数分、丁重にお断りしまくった。
「そう……残念だわ……」
「えぇ、私達じゃダメか? レヴィ」
耳が垂れて俯きながら諦めて手を離したエリィさんと交代に切なそうな声を出しながら抱き締めてくれるルーコさん、この包まれる感じ癖になりそう。
ってよく聞いたらレヴィナとか愛称みたいなの付けてきてるし、いや全然嬉しいんだけどね。
アタシもルゥさんって呼ぼうかな。
「いや、ダメというか……正直甘えてばっかりになりそうで」
「いいじゃないか、私達が楽させてやるよ」
「ダメですよ……抜け出せなくなっちゃう」
耳元で優しく語り駆けてくるルーコさん、ダメだってアタシそういうの弱いんだから、引き離そうとしても強く抱き締めて離れられない、もー。
「ルーコ? 気持ちは分かるけど強引はダメだからね」
「そうだよ、ルーコ。リーデちゃん嫌がってるじゃん」
エリィさん達が見かねて釘を指してくる、助かった。ルーコさんが渋々離れるけど悲しそう、そんな顔しないでほしい。あっそうだ。
故郷の母さんが別れるときに再会の意味を込めて頬にキスしてくれたっけ、あれをルーコさんにしてあげよう。
また会いたいしね。
「ルーコさん」
「なんだい、 レヴィ?」
「ちょっとしゃがんで貰えますか?」
「え? こ、こうかな」
ルーコさんがアタシの視線位まで腰を落としてしゃがんでくれた、待ってましたと言わんばかりに両腕を首元に回した。
ルーコさんが顔を赤面させてキョドってるけど気にせずに頬にキスしてあげた。
「んっ!」
ルーコさんが顔を真っ赤にして獣耳を立てて声をあげてる、あれ?なんかおかしいよ?
ルーコさんは目を見開き息荒く肩を揺らしながらアタシの両頬をつかみ。
「レヴィ…」
トロンとした目で迫ってくるルーコさんの半開きの唇を見つめてそのままーーーーーーーー
◇
うん、結論から言うと発情したルーコさんに深ーいキスをされたんだよね。いや、すごいなぁ人生初のキスがまさかこんな濃厚とは。えへへ。
女の子が大好きなアタシには美人からの深いキスなんてご褒美でしかない。
もちろんアタシも離そうとしたんだけど手が胸の部分を押して逆効果だったね、ドンマイ。
エリィさんとマールさんの二人係りで引き離そうと引っ張ってもダメで、ユイリさんの状態異常を治す魔法でなんとか正気に戻った。
ルーコさんが申し訳なさそうに謝るわ、エリィさんがアタシ達に説教かますわで大変だったよ。
でもおかげでルゥさん呼びを許して貰えたけど何で赤面してたのかな? キスしてないのに。
アタシは事情を説明したけど、ダンジョン帰りの冒険者は気が立ってたり欲求不満になってたりするから変な刺激は御法度らしい。
アタシがやったことは誘ってるのと同じ事だと注意された。
大分話が逸脱しちゃったけどゴブリンをあらかた討伐したので帰るらしく、一緒に帰らないかと誘われたけど例の双子の狐に会いたいので断った。
別れ際にルゥさんが熱い抱擁してくれたけど、後ろでエリィさん達がまたやらかさないかと身構えてた。あとお守り代わりにキレイな宝石をくれた。売れば家が一軒返るとか、返そうとしたけど大泣きされそうなので渋々ゲット。
さてと、エリィさん達も『戻り石』で帰還したしアタシも行きますか。
メイスを握り直しダンジョン内を歩き始める。
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