第4話 早速ダンジョンからの百合?

衛兵の情報によるとパーティーの組み合わせは双子の狐人族と狼人族の計三人だそうだ、アタシは気持ち程度にチップを衛兵のおっちゃんに渡すと門の橋をくぐりぬけて街道に出る。

その子達に会えると良いな。


比較的に街道は安全でモンスターはまず出てこないが辺りは森なので街道から道を踏み外したら途端に出現率は跳ね上がる。


盾とメイスを握りしめて辺りを警戒しつつ進むも全くと言って良いほどモンスターには出くわさなかった。


街道の分岐してある道を東に三十分程、歩くと着くけど面倒くさいから素早さを上げる呪文を唱えてダッシュ。五分に短縮、走ると大きめの穴が入口のダンジョンが見えてきた。

まるで全てを飲み込むような暗くて大きな穴。ダンジョン入口の両隣には松明が設置してあり魔力で動いてるのか火が絶えることはない。


アタシはゆっくりと中に入っていく。

ダンジョンの内部には岩がゴロゴロしてるゴツゴツした壁には適当な場所に松明が備え付けてるので道には迷わない、他の冒険者に攻略済みのダンジョンだとこうやって整備みたいなことがしてある場所もある。


他にも幾つかの中継地点に『戻り石』と呼ばれる水晶玉が置いてある地点があり、その水晶に触るとダンジョン入口までワープさせてくれる、一種の脱出装置だ。


時折何かの鳴き声みたいなのが遠くから聞こえてくる、すでに此処が異界なのだと教えてくれてアタシは小盾とメイスを握り締める。


声と共に駆けてくる足跡が複数、早速待ってましたと言わんばかりにゴブリンが三体も現れてくれた。

その内一体がアタシに飛びかかり、飛んでくるタイミングに合わせておもいっきりメイスで振りかぶり顔面に渾身の一撃を喰らわせた、ゴブリンの顔面が綺麗に凹み倒した。


あれ?このメイスってこんなに強かったかな。


臆することなく突っ込んでくる他のゴブリン達も容易に腹部、首とメイスを当てて一撃で仕留めていった。


おかしい、いつもなら三~四発くらい叩き込まないと死なないのに、倒したゴブリン達の死体の一部を剥ぎ取りながら悩むけどわかんないや。


モンスターの死体を丸ごと持って帰らなくても、一部だけを回収してギルドに持ち帰ればクエスト等の際に証拠として認められ報酬を貰える。

中には全てを持ち帰った方が良いモンスターも居るが、

大抵そういうのは強敵の部類のモンスターなので手強い。

さっきギルトでゴブリンの素材クエストがあったので引き受けておいた。



そのまま進んでいくと快進撃と言わんばかりに三体、四体、四体、五体と複数のゴブリンに襲いかかられるけど全てメイスでワンパン。


なにこれ恐ろしいくらい疲れない、いつもなら七体も倒したら体が疲労を感じて引き返したくなるのに全然疲れない。レベルアップもしてるからそれも関係あるけど、その後の戦闘後でも元気いっぱいだ。


ちなみにレベルアップすると体力と魔力が全快する、なのでそこで形成逆転を狙えたりするがそんなタイミングよくレベルを上げられないのでラッキーだ。


というかモンスターが出過ぎなことに気付いた。中継地点の水晶玉を二ヶ所程、通過したくらいなのにこれは異常だ。

今の時点で十九体も仕留めてる。

うわ、アタシ強すぎ?

でもこんなにゴブリンの素材要らないや。


おかげで宝箱はドロップしてるけど中身がポーションとか店売りのアイテム類ばかりだが、金貨は拾えてるから成果は上々である。


人型モンスターは大抵、金貨を落とすことが多いのでゴブリン万歳だ。

でもこのダンジョンのモンスターって確かゴブリン、スライム、ウルフだった気がする。


いつの間にこんなにゴブリンまみれになったのだろうか、さっきからゴブリンにしか会ってない。ここはゴブリンダンジョンと化したのだろうか。


中継地点を四ヶ所目に差し掛かったところで他の冒険者達にでくわした。


「ハァーイ」


手を上げてアタシに声を掛けてきてるのは、金髪ロングでいかにもエルフなお姉さんだ、魔法使いみたいで手に杖を持ってる。


隣には猫耳らしきものと縦じまの尻尾を生やした獣人の女性で軽装の鎧を身に纏いバスターソードを背負ってる、強そうだ。


後ろにはタンクかな? 大きめの盾を持った犬耳の女性ともう一人、同じような耳の女性も居た。


みんなアタシより長身で美人だし大人のお姉さんって感じだ、別にうらやましい何て思ってないんだからね。

気のせいかな、凄く視線を感じる。


「こんにちは」


「「「かわいいー」」」


えっなになに、挨拶すると同時にエルフのお姉さん以外の三人がアタシに近寄って頭を撫でたり抱きついてきたりする。ここは楽園かな?


「人族か、小柄で可愛いじゃないか」


「そうよね、しかもビキニアーマー着てるー」


「中々攻めてて良いわよね、似合ってるし」


「えへへ」


ギルドでも冒険者の獣人の人達を見掛けることはあっても話したり絡んだりすることはなかったね。

だからこうして好感触な反応されるのは嬉しい。

もっと早く、接触すれば良かった。


「ねぇ、何歳なの?」


「じ、十六です」


「やーん、かわいいー! 」


「私達みんな長身だから、貴女みたいな小柄で可愛い子を見ると保護欲に駆り立てられるのよね」



うわ、虎人族のお姉さんに抱きつかれてヤバい、爆乳がアタシの顔を祝福するかのように包み込んでくるよ。癒されるぅ。こちらから胸に顔を少し埋めるとお姉さんは、より抱き締めてくれた。やったぜ。


「ちょっとみんな、その子が困ってるでしょ」


苦笑気味な声が聞こえて我に返るアタシ、いえ困りません、ずっとこうしていたいです。強引に虎人族のお姉さんが引っ張られて引き剥がされてしまった、さよなら楽園。


「いいじゃないか、この子だって喜んでたのに」


「そうよ、エリィは自分に胸が無いからって僻んでるのよ」


「うるさい! あっごめんね……貴女に言ったんじゃないのよ?」


エルフのお姉さんを見つめてると気付いたのか苦笑いをして話しかけてくれた、この人も怒ると怖そうだ。


軽く自己紹介を済ます、パーティーのリーダーで魔法使いのエリィさん、アタシを包んでくれた爆乳持ちの虎人族は剣士のルーコさん、犬人族の戦士マールさん、同じ犬人族の僧侶ユイリさん。


Cランクのパーティー四人組だそうで調査のクエストを受けてダンジョン内を調査してたらしい。

聞けばモンスター、特にゴブリンが大量発生してるとかで原因を調査してたとか。

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