第四話 部屋には洗濯女が出入りする。
満月の夜。
つと、
「
「
「
「あの大変だった任務の、褒美にもらったってやつか。」
「うん。もったいなくて、いつもはしまってるんだけど、今日はなんだか、さみしくて……。持ち歩きたくなっちゃった。」
「良い匂いだな。」
「うん。」
「三虎も、
「二人とも強いから、心配はしてないけど、早く無事に帰ってきてほしい。」
「そうだな。大川さまの事だから、
花麻呂が軽い口調で言うと、
「うん、
「オレ、郷の見廻りのとき、五十歳くらいの郷の
「あたしも、見廻りのとき、六歳くらいの
花麻呂と古志加は顔をみあわせ、ぷっ、と吹き出した。花麻呂が、
「あはは、大川さまらしいや!」
と笑うと、古志加が、目を潤ませて、
「それで、三虎が、いつもムスッとした顔で、郷の
と遠くを見た。花麻呂は苦笑する。
「早く、帰ってくると良いな? 古志加。」
「うん。待ってる。待ってるんだ……。」
満月を見上げ、
(会いたい、三虎……。)
と
(早く三虎が帰ってきて、妻か
と
* * *
夕刻。
軍議のあと。大川が兵舎の部屋に戻り、扉を開けると、無人であるはずの部屋から、
「ふふ……。」
大川は眉をひそめ、美しい切れ長の目を曇らせ、
「またか。」
とつぶやいた。
薄暗いなか、二十歳ごろの見知らぬ
上半身はだかとなり、豊満な乳房があらわになる。
「ねぇ……。抱いてくださいよぅ。」
「ご無沙汰なんでしょぉ……。」
大川の後ろにいた三虎が、小走りに大川の横を通り過ぎ、
「ひっ!」
「やめよ三虎!」
大川が鋭く命じたのは同時。
三虎はぴたり、と空中で手を止めた。
「怪我をさせるな。暴力をふるって
「これは
三虎は無表情で大川にこたえ、
「おい
怒りがおさまらぬ、とばかりに、近くの倚子をめいっぱい蹴った。
ガアン、と派手に倚子は倒れた。
「ひっ……、ひぃ……。」
「
ときいた。大川もこの
その笑顔は凄まじいほどの美。幽玄に花開く、
「しょ、所属……?」
愚鈍な女に、三虎がチッ、と舌打ちし、
「誰に仕えてる? どこから来た。さっさと言え!」
と厳しく問う。
「ひっ! あの……、
大川は、
「
と三虎に申し付けた。
「はい。」
返事をした三虎は、
そのまま、大川と三虎と
大川は厳しい顔で、大きな声で、
「こういった事は、今後一切ないようにしてもらいたい!」
と言い放った。
知らない
全て三虎が
本当、迷惑なのである。大川は、こういう
なので、決然とした態度を示しておきたかった。
その背中に、ぽん、と三虎が
「
厳しい目をした
佐久良売と、その
* * *
「だ、だって、噂で、
「はあああああ〜っ?
* * *
後日、
洗濯仲間の女たちに、
今後このような事がないよう、厳しく
以上を持って、管理不届きを許してほしいと、報告は締めくくられた。
これは
大川は美しく、立ち姿凛々しく、歩いているだけで、
しかしこれにて、大川の部屋に忍び込む
↓挿絵、其の一。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093074842701734
↓挿絵、其の二。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093074843035806
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