第2章 もう一つの変換(政冶視点)

──放課後──


 俺『赤塚政冶あかづかまさや』は友人の話しを聞きながら、一つの考えを持ってみた。


「これなんだか、かならず『傷面』にする必要は無いと思うんだ、『将面』つまり、将の顔でも良いと思うし、『城面』で城の事でも良いと思ったんだ」

 『卓啓たかひろ』が俺の席にやって来て先ほどの話しを聞いてきた。


「確かに、『しょうめん』と読めるから、否定も出来ないが……ソレだと他の部分の変換も変わる可能性が出てこないか?」

「とりあえず、もう一度さっきの紙を出してくれ」

「あぁ!」

 そして、卓啓たかひろは紙を取り出す。


『籠女 籠女

籠の中の 捕りは

何時 何時 出殺でや

代挙よあげの 番に

吊ると瓶が 滑った

牛路の傷面 誰?』


「例えばだが、この『籠』の部分を『加護』にしたり……とかかな?」

「『加護』……か……そうなると、『加護女かごめ』になって……巫女の可能性も出てくるのか……」

 そこで、政冶まさやは一度クビを振り否定する。


「別に巫女だけとは限らないと思うぞ!」

「なんでだ?」

「よく考えてくれ、『加護』って聞いてナニを考える?」

 その問いに卓啓たかひろは腕を組ながら考える。


「う~ん、そうだな……願掛け……とか……」

「それもあるかもな、他には?」

「護りを加えるだから、……神道系の部分もあるしな……」

 政冶まさやは、見つめながら口を開く。


「例えばだが、最初の『加護女』の部分なんだが……『人柱』または『生け贄』の線も在るんじゃないか?」

「なんでだ?」


「『加護女かごめ』と『加護の中』そして『捕り』から、加護を手に入れるために女性を捧げる……そう読めるんだ……」

 目を細めながら理由を言う。

「例えばだが、アナグラムに少し考えつつ読むと……

『加護の中の女を 捕縛するが

何時 何時 出して殺すか

卯の城の将の面目のため 加護の女を

つがいにする予定だったが

吊るして瓶に入れようとした時 滑ってしまった(縁起が悪くなった)

代わりを挙げるが 誰にするか?』

とも読めるんだよ……」


「そこまで聞くと『コトリバコ』を聞いてるみたいだな……」

 政冶まさやの言葉に、何気なく卓啓たかひろが呟く。


「確かに少し似てるな、偶然だと思うけど、可能性はあるかもな……」

「だな……少し脱線したが、『卯の城』ってなんだろうな?」


「俺が歴史苦手なの知ってるだろ、つまり……わからん!」

「そこまできて、それはないだろう……」

 政冶まさやの言葉に卓啓たかひろは呆れた。


卓啓たかひろが調べれば良いだろ?」

「俺も歴史は苦手だ!」

 そして、互いに笑いあったのである。


               完

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かごめ かごめの考え 篝火 @ezweb

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