かごめ かごめの考え

篝火

第1章 かごめの解釈研究(卓啓視点)

──とある休憩時間──


「なぁ、政冶まさや

「どうした?卓啓たかひろ

 これは、俺こと『津野梛卓啓つのだたかひろ』と友人の『赤塚政冶あかづかまさや』による、童謡わらべうたの一つを考察する物語である。


「実はな、『かごめ かごめ』について考えてみたんだ、聞いてくれるか?」

「え、だよ!めんどくさい!」

 その拒絶の言葉に、頬杖を付いていた俺は崩れた。


「一人だと、凝り固まりそうだから頼んでるんだよ……」

「そんなこと考えてる卓啓たかひろが悪い!」

「ひでぇ……」

 呆れたような顔をした政冶まさやの言葉に、俺は若干悲しくなった。


「とりあえず、話してみろよ」

 半目になりながら、話しは聞いてくれるみたいだ。


「あぁ!その前に、『かごめ かごめ』を

覚えてるか?」

「当たり前だろ!」

 その言葉と共に政冶まさやが唄いだした。


『かごめ かごめ

籠の中の 鳥は

いつ いつ 出やる

夜明けの 晩に

鶴と亀が 滑った

後ろの正面 だあれ?』


「だろ?」

「そうそう!」

「それで、これがどうしたんだよ?」

 その言葉に俺は二枚の紙を取り出す。


「それでな、この童謡わらべうたをこうやって、漢字に置き換えるんだよ──」


『籠目 籠目

籠の中の 鳥は

何時 何時 出やる

夜明けの 晩に

鶴と亀が 滑った

後ろの正面 誰?』


『籠女 籠女

籠の中の 捕りは

何時 何時 出

代挙よあげの 番に

吊ると瓶が 滑った

牛路の傷面 誰?』


「これが、俺の考えなんだ!」

「そう言われても、まったくわからんのだが!」

 満面の笑みで話す俺の言葉に政冶まさやは冷静にツッコミをいれる。


「わりぃ、言葉が足りなかったよ!」

「それは、いつもの事だろ」

 まだ、ツッコミをいれられた。


「つまりな、一枚目は普通の変換だとしたら、二枚目は特殊変換をしたものなんだよ!」

「それで?」

「特殊変換をしたものは、生け贄の唄に聞こえるんだよ!」

 少し興奮気味に話す俺の言葉を、腕を組ながら静かに聞いていた政冶まさやは、少し考えつつ聞いてきた。


「まず一つ、この『代挙よあげ』の意味は?」

 指を指して質問する。

「そのままの意味で、代わりを挙げるだと考えてる!」

「なるほどな……とりあえず、言いたい事はわかった……」

 俺の言葉に目を瞑り考える仕草をして頷く。


「二つ目の問いだけと、『牛路の傷面』がわからん!」

「他の変換が思いつかなかった……」

 俺は目を逸らしながら答える。


「もしかしたら『卯城うしろ』または、『右城うしろ』かも知れないだろ?」

「そっちの方がしっくりきそうだな……いや待った、納得しかけたがソレにしたら、『しょうめん』はどうなるんだ?」

 俺が頷きかけた所で、ハッと思い抗議する。


「それなら──だと考えて良いと思う」

 チャイムのなるタイミングで二つの変換を答えたのである。

 


               続く

 

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