注目のトップ作品から迷い込んだ「絶望の中に見つけた、小さな希望の翼」

日本では、自分の居場所が見つからずに心が病んでしまったり、家から出られなくなったりしている人が増えている。この作品の主人公、彼もそのひとりだった。
彼は毎日、胸が苦しくなるほどの孤独と不安に悩まされていたのだろう。外の世界では、同じ年頃の人たちは楽しそうに遊んだり、勉強したり、恋をしたりしていたのに。彼はそんな人たちをうらやましくも憎らしくも思っていたのだろう。彼はメンタルクリニックに通いながら、自分の存在意義を見失っていた。


この作品は、彼を通じて人間の苦悩と希望を巧みに描き出しています。主人公が自分の状況をアゲハ蝶に投影し、その結果として希望を見つけるというストーリーには、深い共感を呼び起こして思わず目頭が熱くなる。
また、生命の儚さと美しさ、そして人間の生きる力を描いている点も印象的です。最後に綴られる、彼が蜘蛛の巣の糸を丁寧に一本づつ取り、アゲハ蝶に希望を託す姿には涙までそそられてしまいます。