虫の眠 🐑

上月くるを

虫の眠 🐑



葉書絵のごとくはらりと柿落葉

降り積もる落葉のしとね虫の眠


朝に見る砂の足あと神送

機影追ひ一陣抜ける北風


寒泉に土の息吹きを聴きにゆく

ほんのりと日向の匂ふ冬田かな


枯蘆や川は無言を貫けり

雨の水川の水あり浮寝鳥


鴛鴦の雄のつれなさ日の翳

白鳥の戒名のある川辺かな


猥雑も田舎ぶりなり都鳥

空の孔開けて一滴冬の雷


堪へ抜きてただそこに在る藪柑子

いただきの透けてまさをや冬の山


街中の路標もくねん冬ざれぬ

月冴ゆる夕星ひとつ侍らせて


あのさあと言ふ人たちや虎落笛

着ぶくれて心ふくれて家にあり


マスクして底を打ちたる独りかな

マンションの二階の木葉時雨かな




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虫の眠 🐑 上月くるを @kurutan

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