第7話  出発

街へエレノアを送っていくと言い出した俺はさっそくとばかりに家の外に出ようとたちあがった。


「あの、あなた魔物ですよね?それも高ランクの。」


「おそらくそうだが?」


「その姿で街にはいれませんよ?」


そうか!こんな時に人化スキルが役立つな


俺は人化スキルを発動させる。


するとかわいらしい姿に変わる。さっきまで長身のイケメンだったのが今度は美少年!これぞギャップ萌え!だと思う。


「まあ!可愛らしいお姿にもなれるのですので。私はその姿のほうが好みかしら。その姿なら街に入るのもかんたんだわ」


エレノアのお墨付きをいただいたのでこれで安心だ!


「チャドは無理か?」


「チャド様は難しいと思います。低ランクの魔物であれば従魔として街に入ることはできますが一目で高ランクとわかるので入れてもらえないとおもいます。」


チャドと一緒にいけないのか、この世界での初めてできた家族なのに。


「ごめんな、チャドお前はいけないってさ」


俺がチャドにそう声をかけると俺から少し離れてチャドはポフっと音がなり小さくなった。まさか人化したのか?!


「ガウ」


小型犬ほど小さくなったチャドが多き時よりも小さな声で鳴いた


「おー!チャド!お前小さくなれたのか!」


俺はチャドを抱き上げてエレノアをみる。


「えっと、たぶん可能だとおもいます。もしだめでも王族として権利を使いましょう。あなたたちの機嫌を損ねたほうが国にとって良くないでしょうから」


おー、これでチャドといっしょに行ける。


俺はチャドを抱えながら外に飛び出す、前に


「エレノア。その服しかないのか?」


そう指摘するとエレノアはハッとして顔をあからめる。


「荷物はすべて馬車の中に置いてきてしまったのでこれしかないのです。」


街に行けると思って忘れていたが馬車のところに行って騎士たちの遺体と荷物を回収しなければいけないのか。


服はかなり汚れているし血もついている。衛生的にもよくないと思うのでお風呂に入ってもらおう。


「風呂に入ってさっぱりしてから街に行こうか!」


それだと着替えを用意しないといけないじゃないか。彼女もできたことがない俺に女物の服は分からんぞ?それに下着なんてもっと無理がある。犯罪者みたいだ。


とりあえず無難に白色のワンピースを購入する。


「これ着替え!お風呂はこの部屋を出て奥に行けばあるから!」


「ありがとうございます。」


エレノアは特に何も言わずに部屋を出て行った。


よかった!どうして女物の服を持っているのか聞かれなくて。


エレノアがお風呂から出てくるまで小さくなったチャドと戯れて待つことにする。



しばらくするとエレノアがお風呂から上がりリビングにやってきた。


「髪を乾かしてないじゃないか。」


髪を風魔法を使って乾かす。


「ありがとうございます。」


「よし!街にいこう!」


俺はさっそくとばかりに外に向けて歩き出す。


エレノアも俺の後をついてくるので問題ないだろう。


俺は人化を解いて魔物の姿になる。


「なぜまたそのお姿に?」


「この姿だと飛べるから。そっちのほうが歩くより早いだろ?」


「私は飛べませんが?」


あ!そこまで考えていなかった。チャドは俺が抱えていくとしてエレノアも俺が抱えていくことはできない。


「どうしよう」


俺が情けないことを言うと


「私を抱えて飛べますか?」


「それはできるがいいのか?」


思いもよらぬ言葉に俺はびっくりする。


「かまいません。もともと私が早く戻らないといけないとわがままを言ったので。


俺はエレノアを後ろから抱えてチャドはかわいそうだが尻尾を腹に回しそのままとぶことにした。


「街に出発!」


異世界の街にワクワクしながら俺とエレノアとチャドは飛び立った。」


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