フラれた男

 

第1話

男1「なんだよ。大事な話って?」


男2「……俺、昨日彼女にプロポーズしたんだ」


男1「へーそうなんだ。良かったな。結婚おめでとう」


男2「いや、フラれた」


男1「えっ? マジ!? フラれるとかあるの? お前らめちゃくちゃ仲良かったじゃん」


男2「夜景の見えるおしゃれなレストラン。美味しい料理。10万もするスーツ。一体何がダメだったと思う?」


男1「んー、料理が気取りすぎててまずかったとか?」


男2「でもそこのレストラン、前にも一度二人で行ったことがあるんだ。その時に彼女が美味しいって言ってたから、そこでプロポーズしようって決めたんだよ」


男1「じゃあ、スーツがダサかったとか?」


男2「前に大輔の結婚式行ったじゃん。あの時に俺が着てたスーツ覚えてる?」


男1「あー、あれか。あれは別にダサくなかったな。……わかった! パスタを啜って食べたんだろ?」


男2「いや、俺たちが行ったのは、イタリアンじゃなくてフレンチだよ」


男1「それなら、理由は一つしかないな」 


男2「何だよ?」


男1「お前のプロポーズのセリフが聞くに耐えなかったんだよ。……お前、彼女になんて言ったんだ? 今の女子は、男尊女卑に厳しいから『君の味噌汁を毎日飲みたい』なんてセリフ通じないぞ」


男2「そんな回りくどいセリフ言ってないよ」


男1「じゃあ、お前。今から俺にプロポーズのセリフ言ってみろよ」


男2「……美久みく、愛してる。俺と結婚してくれ」


男1「はぁ。……お前、マジで最低だな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フラれた男   @hanashiro_himeka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ