視線の先に微笑む顔
―放課後の教室
М(今日も、なんだか疲れたな…誰もいない教室って、こうも静かなんだ…でもこの一人の時間が良いんだよな…何も考えなくていいし)
私は窓際に座り、外の景色をぼんやりと眺めている。
М(Rといるとき以外は、やっぱり気を張ってばかりで疲れる。T先生も、今日は妙に私に話しかけてきて…)
その瞬間、教室の扉が静かに開く音がした。
М(えっ…まさか…)
私が振り返ると、そこにはT先生が立っていた。彼は笑みを浮かべている。
T「へぇ、まだいたんだ。ちょっと話していい?」
М(また…私と話したいの?…何でそんなに私に…)
М「…はい、どうぞ」
T先生は近づいてきて、私の隣に腰を下ろす。しばらくの沈黙が続く中、T先生が先に口を開いた。
T「なんか疲れてるみたいだな」
М(ヤバい、顔に出てたか…)
М「…まぁ、少しだけ」
T「そうか。無理はするなよ」
М(無理なんて、してるわけ…まぁ、でもちょっとだけ。ちょっと。)
T先生は再び笑みを浮かべ、私を見つめる。
М(何か言いたげな目…でも、私には何も見えない…ただ、この視線が重いだけ…)
T「М、お前はよく頑張ってるよ。見てて思うんだ、その真面目さ…」
М(何?急に…まぁ、確かに…何度か相談した経験はあるけど…なんだかんだで先生と出会ってから1年半近く経つしな…)
М「ありがとうございます…でも、私はそんなに頑張ってるつもりはないですよ」
T「そう? 俺には、誰よりも努力してるように見えるけどな」
М(…この会話、終わりが見えない…)
私は目を逸らし、視線を窓の外に戻す。
М(なんで、こんなにも疲れるんだろう…先生が言ってること、全部が空っぽに感じる)
T「М、さっきのことだけどさ」
М「?」
T「まぁ、Мは…他の奴らとは違うってことさ。俺には、Мの本当の姿が見えてる」
М(なにそれ…私の本当の姿…?)
М「……」
T「俺にはわかるんだよ、流石に1年半経つんだから」
М(どうして…そんなこと言うの?私に…何を期待してるの?意味分からんわ…)
T「Мの頑張りを、俺は知ってる」
М(知ってる…、先生、言い切りがすごいな…どこに根拠あるの?それ)
М「…ありがとうございます」
私はどこか自然と頬が緩んでいた。
もしもそれを幸せと呼ぶなら あ(別名:カクヨムリターンの人) @OKNAYM
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