第4話 - オハン
「それでもいいだろう、石板に触れてくれ」
サルバはが指を石板に伸ばして触れた時、体は金のオーラに覆われた。石板は右手の人差し指の指輪へと形を変えた。4つの穴が掘られた形状の黒い指輪だ。
「サルバ。魂球をすべて集めるまで私は君の声を聴くことはできない。しかし、すべてを集めることができたとき再度会おう。必ず君の前に現れて一緒に君の願う世界を創ろう。そこまでにアポが君を助けるだろう」
石板の上からアポが飛び、サルバの肩に座った。
「ピッ!ポ!」
「君の創造への旅が輝くよう今できる最後のプレゼントだ。完全ではないが創造の力の欠片だ。どう使うかはサルバ。。君次第だこの力は君に合わせて成長していくだろう。もうここまでだ。。また会おう」
キンオーラがサルバの体を包んだ。その時、サルバの目は金色に光っていた。
やがてドーヨの声は聞こえなくなり、目に見えるほど早く大木が枯れ始めていた。
「ポ!」
その直後聞こえてきたアポの声をから数秒経ったのだろうか。最初ジャンプして湖に飛び込んだ場所へ巻き戻されるかのように移動した。
不思議な現象に戸惑う年齢のサルバだがすぐに言った。
「お父さんに話さないと!こんなすごい話!お父さんだって聞いてくれると一緒に行ってくれるはずだ!!アポこれからよろしくな!」
「ピッー!ピ!!」
ワクワクが止まらない少年のような顔で山を走って下るサルバの目は先ほどの金色ではなく、黒に戻っていたが瞳の色は期待感満ち溢れたいつもと違う輝かしい黒だった。
「ハア、ハア」
ワクワクしたサルバは自分が出せる最大の速さで家に向かって山を下っていた。
サルバに転換期が訪れていた時間。湖のポータルにサルバが引き込まれていた時刻の少し前にオハンは地下の部屋から出てきてベットをもとに位置に戻して部屋の片付けをしていた。
「サルバが帰ってくるまであと2-3時間ってところだろう」
窓から外を眺めながらそう言っていると、空が薄紫に光ることを感じたオハンは家の外に飛び出した。そして、湖のところから空に伸びている一本も薄い紫の光の柱をみた。
「あの方向は、、サルバ!? 」
『グラビティ・パルコルム』
と言い出すとオハンの瞳の色が紫色に強く光り、すさまじい速度で湖の方向に飛びはじめた。飛び去ったあとの場所には紫の残像が追いかけるように空へと伸びている。
「ん。。?なんだ」
しかし、不思議なことにオハンがどれだけ飛んでも湖にはたどり着かず家の前に戻るのみだった。
「干渉できない力なのか、俺が一回で感知できない格の力があるはずない。。神格!?いや、そんなはずはない。」
何度か飛んだあとようやく湖方面だけに薄い紫の壁があることに気付いたオハンは飛ぶのをやめて地面もどり壁に手を置いた。その時これは人を超越した存在の神の力であることを察知できた。
『サルバ。。待ってろ』
「グラビティ・ブシギ」
薄い壁に亀裂が入り始めた。紫眼のオハンは『フェノメナ:万有引力』をもつかつての世界王族を除く世界最強の3闘のうちの1人、オハンでなければこの力に干渉することはできなかっただろう。凄まじいガレアの量。10年ぶりのフェノメナの使用にも関わらずその光景は紫の光で覆われたもう1人の神の姿にも見えた。
パリッ。
壁が壊れた瞬間、オハンは疲れた顔で湖の方向に向けて吠えた。
「もう奪わせない。。約束違うじゃないか!!!神よ!!」
彼が発した声の波長が湖に向かって一本の深い道がをつくっていた。木々は粉々に砕けられてすべての残骸が湖の方向を指さすように倒れていた。
しかし、その声に反応したのは神ではなく、同じく光の柱に気付き壁への侵入を試みるために策を講じていたエクウムの第2騎士団であった。
壁が割れる音の直後にに聞こえてきた声。背筋が凍るレガーの動きを感じた15人の騎士団がその方向へ走り出した。その先頭には黄眼に水色のロングヘアーの高身長の女性騎士団長。第2 花の貴族 キルカーン家の時期当主 キルカーン・アラクネの姿があった。
オハンは静かに怒った声で話した。
「絶対にサルバだけはやらないぞ、これがあの日の見返りなら神も殺してやる」
歩き出したオハンの横から騎士団が到着した。
落ち着いた声のトーンだがどこか寒気がする冷たい声でアラクネが話した。
「動くな!第二騎士団長 アラクネだ。ギルテの下民よ。今すぐ後ろを向いて膝まずけ」
しかし、今のオハンには何も聞こえるはずもなく無視して前に歩き始めた。
その瞬間、8人の騎士団が円の形態でオハンを囲むように現れ、オハンに向けてガレアを放った。
『グラビティ•ギドゥン』
「どけ」
どけと言う言葉が終わる前に同時に8人の姿は消えた。いや。見えない重力の柱よって全員地中に埋められるほど打ち付けられている。オハンを囲うかのように8つの丸いシンクホールができていた。確実に死んでいるだろう。
「な、何者だ!!貴様は!」
アラクネの声に振り返ったオハンはアラクネの右肩の花のキルカーン家の模様をみて続けて言った。
「帰れ、俺のことも今日のこともすべて忘れろ」
アラクネはオハンの声に震えていた。なぜなら紫に光る眼が彼がフェノメナの最上位の権能を持つ絶対的存在だと言っているからだ。冷汗が止まらず、今すぐに膝から崩れ落ちそうな破壊的威厳を感じていた。
「あ、、ありえない。紫眼だと?い。。いや!そんなはずはない。何かの小細工か!貴様!ここで処刑する!これ以上は何の抵抗も許さない。この場で死んでもらう」
「俺を裁く能力があるのか。お前に?」
「うるさい、君のような得体の知れない。。即処刑事だ!ゲルテの下民め。。お前の家族共々。。」
その時だった。オハンよりほんの2秒ほど遅れただろうか。アラクネは自分の後ろで少年の気配を感じた。
「え?お父さん?何これは?何してるの?」
そこから1秒もなかっただろう。瞬時にアラクネは状況を理解した。
「殺せ!!」
アラクネが叫ぶと、残りの騎士団7人が灰眼を光らせ、オハンに襲いかかった。
「なぜ、無駄に死にたがる!サルバ離れろ!」
紫の閃光が7人の間を通過した。戦術的に訓練された騎士団が全滅までわずか3秒。しかしその3秒間は同年代の貴族で最も早く黄眼に進眼した最強の才能の騎士団長アラクネにとっては十分な時間だった。
『アシド・カムオク』
瞬時に発動したガレアでサルバは緑のドームに囲われた。
『フェノメナ:腐食』をもち全てを浄化する力の双剣『神器オフイ』に選ばれ、周りから褒められながら期待だけを受けて生きてきたプライドの高い18歳の少女騎士団長は今日初めて死の感覚にやられ、自分が騎士として最も嫌い恥じらう人質をとる行動をした。
自分への嫌悪感よりも生きることを優先する。そこには高貴な貴族もギルテの下民も区別はなかった。
「止まらないと!!今すぐこいつを殺す!!私を殺したらこいつも死ぬ!」
その言葉の直後凄まじい爆風がアラクネの顔を通過した。おそらく1秒でも遅かったら風ではなく、見えない重力にはじかれ自分の頭が吹き飛んでいたことはすぐにわかった。
「立派なお仕事だ。誇り高き貴族。。」
「うるさい、何も話すな!今すぐひざまずいて下を向け!!」
「。。安心しろ」
オハン静かに膝まずいた。
剣を突き付けられている父の姿を緑のドームの中でサルバは見ていた。しかし、声を出して必死に動いててもその声は外には届かなかった。外の音は聞こえるのに中の声は届かない。そんなことを知るはずもないサルバは喉がつぶれそうなくらい声を出した。でも聞こえない。父が殺されかも知れないという不安感が心臓を踏みつけた。
「ダメ!ダメ!!ダメだよ!ごめん!俺のせいだよね!俺が湖なんて行ったから!おとなしくしろって言ってたのに。。!お父さんとずっとここにいてもいいから!!おい!女!!やめろ!!!お父さんに剣を向けるな!!」
走馬灯のように生まれてからオハンと過ごした11年間が頭の中で早く流れていた。目が溶けるかのように泣いている顔は湖から家に向かっていた時の顔とは正反対の顔の絶望の色をしていた。
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<世界観情報> *この時点公開可能なものに限る
①キルカーン・アラクネ
第2花の貴族 キルカーン系の次女、幼少期から毒のガレアに天賦の才をみせていた。5歳に灰眼を覚醒し。12歳でフェノメナの格の赤眼へ進眼。18歳に黄眼なったエリートで圧倒的な成長をしている。
得意ガリアの毒をフェノメナ格になった時、腐食へ進化させている。
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