僕らの空には同じ星

ナナシリア

僕らの空には同じ星

 流星が空を裂いた。


 星の光で賑わう空を、一瞬の光がより強く照らした。


 僕はそれを見て、を思い出す。




『流星群、綺麗だね』


 それは、今となってはどこにいるのかもわからない、初恋の人と星を見た時のことだった。


 短時間の間だけだったが、一面に広がる空を埋め尽くすような数の星々が僕たちの前から見えた。


 あの時彼女は、なんと言っていたか。


『知ってる? 一時間に百個以上の流星が流れたら、流星雨。一時間に千個以上の流星が流れたら、流星嵐っていうらしいよ』

『そうなんだ。じゃあこれは、流星嵐?』

『うん、そうだと思う』


 正確に測ったわけではなかったが、一時間で千個に届かないとは思えないほどの量の星々だった。


 その後、どういう経緯いきさつで彼女が僕の前から姿を消したのかはよく覚えていなかったが、彼女と流星嵐を見たことだけは鮮明に覚えている。




 星の光でただでさえ賑わっていた空一面を、流れ星が埋め尽くしてさらに賑わす。


 流星嵐はこんなに短い周期で表れるものなのだろうか。僕にそんな知識はなかった。この場に彼女がいれば。


「そうだ、あの時君は――」

『世界のいろんな人が、これと同じ空を見てるんだよ。空は繋がってるの』


 君はそう言っていた。


 今の僕と今の君も、流星が埋め尽くしたこの空を介して繋がっているのだろうか。君は、僕と同じ星を見ているのだろうか。

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僕らの空には同じ星 ナナシリア @nanasi20090127

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