第5話 選択肢
パーティを自力でどうこう、と言うのは杞憂だった。
神様からのお告げから、八日が経った日にお父様から「明後日の夜、パーティに出席するようにとお義父様が仰せだ」と指示があった。
服装等の準備はしてくれるようなので、失礼のないようにマナーの勉強をするようにとの事だ。
「ほら、集中出来てないわよ」
「すみません」
前回も合わせて初めてのパーティだ。
友人や家族が開いてくれるアットホームなパーティとは違い、お偉い様達が集まる魔の巣窟のような場所だ。
しかも、初めて祖父に会うのだ。
胃がキリキリと痛み、ピアノにも気持ちを乗せる事は出来ていなかった。
「うーん。何となくトネさんから理由は聞いているけど、そんな緊張することかしら?」
「え?」
「だってそうでしょ? 大人みたいに難しい話をするわけでもないんだから、美味しいご飯に舌鼓して、適当に帰ってくればいいのよ」
何もなければ、それで良かった。
でも、神様からのミッションがあるから話はもう少し複雑だ。
そうだ。
「鶴丸 ほのかさんって、知ってますか?」
「つるまる。それって鶴丸財閥の事かしら。だとすると、あそこの会長さんに翔吾ちゃんとそう年齢は変わらない孫娘がいたかしら」
そうなのか。
相手は子供、しかも女の子だ。
告白する内容も大分絞られる。
「なに、気になる子なの?」
「まあ、はい」
私がそういうと、ジャコットは頬を染めて嬉しそうにする。
「恋愛はいいわ! それを知るか知らないかで、音楽がまるっきりかわるの!! 曲が全体的にあたたかくて、踊ってて、甘々なの」
「はあ」
何言っているんだこの人は?
ジャコットは何か勘違いしているようだ。
一つ言っておくと、私がする告白は恋愛的なものではない。
だってそうだろう。
外見は五歳のお子様だが、中身は四十過ぎのおっさんだ。
ロリコンでもなければ、そんな告白は出来るわけがない。
「でも、翔吾ちゃんも許嫁くらいいてもおかしくないものね。翔吾ちゃんのお祖父様と鶴丸の会長さんは仲がいいみたいだから、そう言うこともあるかもね〜」
「そう言う、こと?」
ジャコットは「今日は練習しても意味ないわ」と言うと帰ってしまったのだった。
だが、好都合だ。
ここで取れる選択肢は。
1.「ぼく、猫が好きなんだ」
無難だが趣味が合えば話を繋げていける告白だ。
幸せに出来るかと言う点では微妙だが、逆に不幸にもしない。
2.「君って可愛いね」
ちょっと勇気がいるが、可愛いと言われて嫌な気がする女性は少ないだろう。
1.よりは幸せに出来る確率は上がる。
3.「結婚してください!」
告白の定番、プロポーズ。
まず、選ぶつもりはないが選択肢に入れておこう。
さて、私が選ぶのは
この告白は、世界を救う為 矢石 九九華 @yaisikukuka
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