第4話 ミッション

五歳の頃に戻ってからもう半月程も経っていた。

毎日習い事だらけでいつの間にか過ぎていたのだ。

昔はあんなに嫌で仕方なかったが、後数ヶ月で出来なくなると知っていると不思議とやる気が出るものだ。

それに、前回はいかにサボるか、早く終わらせるかしか考えていなかった。

だが、真面目にやってみると意外と出来るし、楽しいのだ。


「いい感じね! もうキラキラ星変奏曲弾けちゃうなんて、さすがミキちゃんの子供ね」


「ありがとうございます」


ピアノの先生であるジャコットは頷きながらそう褒めてくれるが、お母様は私とは。


「次は何を弾いてみる?」


「ショパンのノクターンとか、ドビュッシーの月の光を引いてみたいです」


「あら、随分としっとりとした曲をチョイスするのね。でも、弾くだけじゃダメ。感情も乗せないといけない曲よ。大丈夫?」


「が、頑張ります」


「もう、ビシバシ教えちゃう!!」


ジャコットはそう言いながら本当に一切の手加減なくノクターンを練習するのだった。


全てではないが順調だった。

少なくとも習い事はピアノだけでなく、その多くがうまくいっていた。

それは私の潜在能力が、とかではなくただただ先生方の教え方がうまかったのだ。

トネさんに聞いた話だと、先生達の多くが一流を排出させた経歴があるのだ。

そんな人達に教えてもらって結果が出ないわけがないのだ。


(そんな卑下しなくても、君の努力もあると思うよ)


これは、もしかして。


(久しぶり、と言うほどではないか)


自称神様。

と言う事は、告白の件か?


(忘れてなくて良かった。細かいルールとミッションを伝えにきたよ)


了解した。

だが、次の習い事があるんだ。

手短にお願いしたい。


(分かったよ、じゃあ分かりやすくするね)


ルール

1.告白してもらいます。告白内容は対象が幸せになるものならその中身は問わない。

2.受け入れられない、不幸にしたら失敗となります。

3.告白成功後はその関係は好きにしてもらってもいい。


ミッション

十日後のパーティにて鶴丸 ほのか に告白する。


(それじゃ、よろしく!)


「ま、まって!」


だが、その後自称神様から言葉は無かった。

色々気になるが、パーティってなんだ?

前回の子供の頃パーティなんて行ったことがなかった。

祖父が政治家なのを考えればパーティへ連れて行かれるのもおかしくないが、残念ながら私は社交性に欠ける。

それに、マナーも今回は頑張って勉強しているがまだまだだ。

パーティに呼ばれるはずがない。


「もしかしたら、パーティの参加も自力でどうにかしないといけないのか?」

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