電車に揺られながら少女の姿を見る。

さっきはよく見ることができなかったが、質素だが少女の白い肌によく似合う白中心のワンピースにそれに合わせるように透き通った白い髪に、

俺のことを見通すように見つめる青い目。

「もし見た目が10才ぐらい上だったらタイプだったかもな」

「私を見つめていると思ったら、そんな品定めみたいなことして」

「すまんすまん」


(次は終点あおなみ三丁目~あおなみ三丁目~)

俺らは今、黒づくめのやつらに見つからずに電車に乗っている。

この電車の終点から歩くのが、近くの森には一番近い。

「もう降りるぞ。」




電車をおり、森へ続く道を進んでいく。

ここは住宅も少なくなっており、そしてどんどん太陽も傾いてきてきて少し不気味な雰囲気を醸し出している。

何か誰かに見られているような違和感を一瞬感じた。

それに反応して振り向いてみたが、誰もいない。

「どうしたの?」

ミカヅキが反応する

「いや多分気のせいだ。」


どんどん森が近くなっていくもう入口まで見えるほどにだがしかし、それととも人から見られている感覚も強くなっていく。

嫌な予感がする。

そう思ったが少し遅かったようだ

バンっ

遠くで音がしたと思ったら肩が急に熱くなってきた

「いってぇぇぇ!!」

衝撃で俺は地面に倒れこむ

慌ててミカヅキもよってきた

「大丈夫!?何があったの?」

やばいやばいやばい

やっぱり誰かにばれていたみたいだ。このままだったら殺されてしまうかもしれない。

だが、首を突っ込んだ矢先こんなところで終わりたくはない。

肩を撃たれたみたいだがまだ、なんとか体は動かせる

急がなきゃ

「おい!はやく!走るぞ!」

立ち上がりミカヅキの手を引く。


必死に森の入り口に向けて入る

手を引かれんがら、ミカヅキは目を見開いている

「たくじ肩から血が出てる!止めないと大変なことになっちゃう!」

「気にすんな。俺は死んでるようなもんだ!」


必死に走っていくとやっと森まで入ることができた。

それによって、一時的ではあるが追っては撒けたと思う。

そのあともしばらく走ったが、足がだんだん重くなって、体もいうことを聞かなくなってきた。

「止まって!」

そうミカヅキが言ってくる。

「どうしたっ」

「血がこんなに流れて、早くしないと手遅れになっちゃう。」

「だが逃げないとたぶん近くまであいつらが迫ってきているんだぞ。

それに、もういいんだ」

「どういうこと?」

「ずっと死に場所を探していたんだ。何もやりたいことがない。会いたい人もみんな失ってしまった。君を助けられて死ぬならそれでいい。」

ミカヅキは少し泣きそうになる

「そんなこと言わないで!私だってずっともう長い時間一人で生きてきたの、関係ないあなたをこれ以上巻き込むわけにはいかない。」

誰かに大切にされたのは久しぶりだ。それが不死鳥だろうが関係はない。

「いいんだ、心配してくれてありがとう。すこしの時間だったが楽しかった。それだけで今の俺には十分だ。」


ミカヅキは俺の片方しかない目を覗き込むとなにかを決心した。

「少し動ける?」




草原が広がる広場までがんばって俺はミカヅキに手を引かれてついていく。

もう太陽は沈み、月明かりに照らされて幻想的な情景へと変わっていた。

痛みももう麻痺してしまっているのか。もうあまり気にならない。

だが意識がもうろうとしてくる。


草原の中央までついていくと手を放して、ミカヅキは言う

「あなたに私の力をあげる。」

「どういうことだ?」

「私は不死鳥の力を他人に与えることができる」

「俺も不死鳥になるってことか?お前はどうなるんだ?」

すこしミカヅキは顔を下げる

でも数秒もたたないうちにまた顔をあげ、俺を見つめる

「私はもう力がそこまで残ってはいない。それで力を誰かに与えてしまえば消えてしまう」

「なら駄目じゃないか!」

ミカヅキは笑う。

「私も楽しかったよ。ずっと一人で生きてきて、あなたに助けられて、

少しだったけど、あなたと過ごした時間が楽しかった!」





俺は認められたような気がして涙が頬を伝っていた。

なにも答えられず、意識が朦朧としてくる俺にミカヅキが言う

「目を閉じて、しゃがんで。」

言われた通りにする。この選択が正しかったのかは今の俺では分からない。

目を閉じる前に見た少女の笑顔を思い出しながら、少しの時間がたつ

ほんの数秒、でも俺にとってはすごく長く感じた。


優しい感覚が唇から伝わる。キスをされたのだ。


温かさ、ぬくもり、愛情、言葉は違えど自分が求めていた感情があふれ出てくる。








目を開ける。

視界が広い。

体中から青い炎が噴き出してくる。

自然と痛みは治まっていた。



後ろから足音がどさどさと押し寄せてくる。

だが、不安や恐怖はない。


「いたぞ!だが女がいないあの男を捕まえて聞き出せ!」

そんな声が後ろから聞こえてくる。

俺は飛び上がるそして、人ではなくどんどん炎に囲まれながら鳥の形になっていく。

「なんだあいつ!撃て!」

銃弾が飛んでくる。だが、痛くもかゆくもならない

俺は銃弾が飛んでくる方向へ飛ぶ

敵へ近づくのなんて一瞬だった。

そこから足の爪を素早く振り下ろす、そして銃弾の方向へまた爪を突き刺していく。

無我夢中で戦っていたらもうそこに立っている人いなかった。


もう邪魔をするものは何もない。

敵を倒したからでもあるだろうが、それ以外にも今まで自分の足枷になっていたものが外れたような気がした。


俺は飛び上がる。見渡すと自分がいかに狭い世界で住んでいたかがわかる。

俺は進む。そうすれば見たことがない世界が見える気がしたから。




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青い花が咲くまで しろい @siroi0

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