おじさんと正義の戦隊ブルー

 Side 羽崎 トウマ


 なんだかあっと言う間にスターレンジャーの皆と仲良くなった気がする。

 まあ、あんまり仲良くし過ぎるとミストレスさんが不安げにあれこれと聞いてきて、なんだかラブコメ漫画の主人公になった気分だ。


 仮にスターレンジャーの面々と仲良くなってそう言う仲になったとしても、三十代のおっさんと十代の少女である。

 第3者から見れば犯罪臭が漂う組み合わせだ。

 通報されても文句は言われないだろう。


 そんなブルーと地元I市のショッピングモール図書館で遭遇した。

 なんかナンパされていたようだ。

 ブルーは自分を見て「おじさん!」と自分にくっついてその場から脱出する。


 そして逃げるようにカフェに立て込んだ。


 =I市ショッピングモール2階・カフェ=


 カフェ1スペースに陣取り、そこで注文をする俺とブルー。

 第3者目線からすると、とても怪しい。

 犯罪臭が漂ってる気すらする。

 通報されないだろうかとヒヤヒヤしつつカフェを頼んだ。

 

「ああ言うのはどこの星でもいますからね」


「ああそうなの」


 宇宙も似ている部分は似ているらしい。


「勉強?」


「ええ、それもありますけど生き抜きでもありますね。私達はアカデミーで成績が低かったから」


「わるかった——」


「いえ、いいんです——」


 と、照れくさそうに言う。

 アカデミー……学校のことだろうか?

 そこでブルーたち、スターレンジャーの面々は成績が低かったと言う。

  

「そのアカデミーでは平和を守る次世代のヒーローたちが授業に励んでいるんです」


「宇宙規模のヒーロー育成機関か」


「そうとも言えますね」


 想像もつかない規模だ。


「どうして地球に?」


「地球はその、言い方が悪いですが田舎ですから」


「ああ、なるほどー」


 なんか納得がいった。

 この広大な宇宙。

 わざわざ太陽系第3惑星の地球にまで来て世界征服どうこうする宇宙人などいないと言う事だ。

 

 地球その物が田舎と言う表現はしっくりくる。


「宇宙犯罪組織の手もあまり及んでおらず、科学力もそんなに進んでいない。だからこの星に派遣されたんだと思います」


「そうか」


「はい。日本を選んだのも消去法でトラブルを避けるためです。I市を選んだのはエンジェリアやアークゾネス、ダーク・スターの存在が大きいですね」


「なるほどなるほど」


 つまりエンジェリアやアークゾネス、ダーク・スター達が運んでくれた縁だと言う事だ。

 それで日本橋での一見に繋がるのだろう。

 たぶん。


「本当は日本橋で変身した時は戦いも覚悟してたんですが、ああ言う形で落ち着いてよかったです」


「ああそう?」


 そう言えば普段はアークゾネスと裏でやり合っているそうだがそこのところはどうなのだろう?


「ミストレスさんとの戦いって本当は変身して戦ったりしてるの? いや、念のためね」


「はい。トウマさんと一緒の時は相手側の希望で安全面も考慮して大概ゲーム対決で落ち着いていますが——私達も慣れない地球での暮らしやスーツの修理とか生活とか色々と大変ですし」


「なんか納得したような納得しないような——」


 田舎の星である地球で君達は何をやってるんだと思いつつも頼んだカフェを口に含んだ。


「確かに正義の味方と悪の組織がゲーム対決と言うのは、おかしい気もしますけど——まあ何だかんだで楽しいですし」


「はあ」


 まあ平和で済むに越したことはないかと俺は考える事にした。

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