隣の悪の女幹部と正義の戦隊

 Side 羽崎 トウマ


 =大阪日本橋・谷村君の事務所=


 ミストレスさんと三人のスーパー戦隊、スターレンジャーの皆さん。

 近所のメイド喫茶「ストレンジ」の雑居ビルにある三階の事務所、谷村 亮太郎君の事務所を借りてゲーム対決をしていた。


 状況を聞いた谷村君が『わぁ、ハーレムだねぇ♪』と言っていた。

 俺は苦笑する他なかった。

 まあ遊び場貸してくれたし別にいいか。


「ちょっと待って? どうしてゲーム対決なの?」


 レッドがツッコミを入れる。

 

「いいじゃんレッド。地球のゲーム中々面白いじゃん」


 と、イエローが言う。


「でも、敵を目の前にしてゲームしてて本当にいいんでしょうか?」


 そんな事を言うブルー。


「そうだよ。世界平和のために戦う私達がこんな事してちゃ——」


 何やら真剣に考え込んでるレッド。

 それはそうと俺こと羽崎 トウマは現在、ミストレスさんとタッグを組んで家庭用ゲーム機でゲーム対決中である。


「と言うかおじさん強すぎない?」


 などとイエローが言う。

 

「俺より上手い奴なんてゴロゴロいる」


 とイエローに返しておいた。


「そう。今度私達と遊ばない?」


 そのイエローの爆弾発言に俺は顔を真っ赤にした。


「ちょっとイエロー? 何を言ってるの?」


 そして真っ先に顔を赤くしてミストレスさんが食いつく。


「あ、顔が赤くなってる。まあ無理も無いか。おっぱい大きい女の子、好きらしいしね、この星の男って」


 イエローがツインテールを揺らしながら胸をたゆんたゆんと両手で下から持って揺らす。

 正直目に毒な光景である。

 皆顔を赤くしている。

 俺も同様に顔が真っ赤になってるのだろう。


「おじさんカワイイね?」


「俺が女にダラしない男だったらどうする気だったんだ? イエローさん?」


「その時は返り討ちにすればいいし——」


「はあ……」


 こんな外見して戦隊ヒーローやってるのだ。

 それに宇宙人ぽいし、身体能力を地球人のか弱い女の子準拠に考えるのは止めといた方がいいだろう。

 それでも俺は——


「だけどトラブルを起こさないに越した事はないからやめときなさい」


「まるでおじさん父親みたい」


 イエローがクスクス笑うが無視する。


「と言うかイエローっておじさんみたいな人が趣味なの?」


 レッドが尋ねるがイエローは「うーん? わかんない?」と返した。


「とにかく、今回の対決はゲーム対決だから——」


「そう言えば怪人はどうしたんですか?」


 ブルーに言われてミストレスさんはビクッとなる。

 少しの間が空き、悪の女幹部はこう言った。


「やられ過ぎて予算が——」

 

 との事だった。

 シクシクと涙すら流している。


「だけど谷村さんの御陰で怪人のアイディアも頂いたし」


(こう言う漫画あったな。悪の怪人作るために組織内でアレコレと奔走する漫画)


 ミストレスさんを観て俺は呑気にそんな事を考えていた。

 ちなみに怪人のアイディアと言うのは低予算の苦し紛れの策みたいなもんである。

 頭部を変えたり、腕を変えたり、上半身だけ変えたり、色変えたりとかそう言うのだ。

 

 あと、再生怪人ネタとか偽ヒーローネタも参考になったらしい。

 ヒーロー物では鉄板のネタにも関わらず思い浮かばなかったそうだ。

 地球に来てまだ間もないんだろうか? と思わず苦笑してしまった。



 ゲーム対決は俺の勝利だったが、「勝利して良かったのかこれ?」などと考えてしまう。


 結局この後、カラオケまで行って特撮ソングを披露する事になった。

 おじさんに美少女三人と美女一人。

 完全に事案だろこれ。


 などと考えながら四人一緒に帰路につく。

 どうやらスターレンジャーの皆さんもI市にお住まいらしい。

 なに?

 I市ってヒーローと悪の組織の寄り合い所か何かなの?

 

 そんなこんなで家に帰宅しましたとさ。   

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る