小休止

夢は一日して成らず

 Side 羽崎 トウマ


 あの世界――仮に閉鎖世界と名付けようか。


 あの出来事から少しばかり時間が経過した。


 頑張っているのは何時も通りだ。


 同時に不安に思うこともいつも通り。


 息抜きにゲームをしたり漫画をみたり、WEB小説読んだりするのもいつも通りだ。


 母親にビクビクするのも変わらない。


 順風満帆とはいかない。


 特別な経験をしたからと言って何かが劇的に変化するワケではないのだ。


 例えなんと言われようとも。

 

 この努力する気持ちすら顔も名も知れない創作物の物だとしても、俺は俺の夢を叶えるために前に進む。


 もうそれしかやりたい事がないからとか、後ろ向きな気持ちを持ちたくない。



 =I市・ショッピングモール・図書館=


 最近はショッピングモール4階の図書館で過ごす事が多い。

 休刊日は日本橋のネカフェを活用している。

 ネタ帳やノートパソコンを持ち歩いて、執筆活動に勤しむことが多くなった。


 この図書館は広々して明るい開放的な場所だが――利便性が良いせいで時間帯を間違えると、不良少年がたむろする。

 椅子を連結させてうつ伏せに寝転がったり、酷い時は壁際に頭を預けながら床で寝てスマホを弄る始末だ。

 

 だからと言って注意することはない。

 

 十代の不良少年は――こう言いたくはないが、あえて言おう。

 法律や世間に守られているのだ。

 ある程度の悪さが学校や親や少年法が守ってくれる。

 だから悪さするのだ。

 

 皆それを分かっているから、注意もできないのだ。

 

 そうして育った少年たちはどうなるのだろうか?

 奇跡的に更生して警察官にでもなるのだろうか?

 それともダラダラと生きてそれなりの幸せを掴むのだろうか?

 

 まあそんな少年の将来の事よりも自分の事が問題だ。


 自分はいわゆるラノベ作家になりたい。


 出来ればヒーロー物で。


 だけどラノベでヒーロー物はあまり流行らない。


 何かしらの流行りの要素を入れる必要がある。

 だけど流行りの要素を入れたからと言って売れるかどうかなんて分からない。

 

(創作なんてそんなもんだよな)


 ある意味、こうしてプロではないがアマチュアとして生きて好きに小説を書き続けると言うのも悪くはないが、将来を考えるとやはりプロになりたいと思う。


 しかし創作系の夢と言う奴は厄介なところがあって、努力の仕方を考えなければならない。

 小説家になる方法として色々と言われているが、アマチュア作家の場合は物語を完結させる事だろうか。


 ある意味一番確実かつ堅実で、そして辛く険しい道則である。


 これが大変難しい。


 だがこれが出来ないとスタート地点にも最初一歩も踏み出せない。


 俺はそう思うことにして小説を書いている。

 

 

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