第6話「大阪日本橋探索」
Side 羽崎 トウマ
=昼過ぎ・大阪日本橋(?)日本橋筋商店街=
大通りである日本橋筋商店街には有名な玩具屋が沢山ある。
よく観察してみると大体ここ最近の大阪日本橋を忠実に再現している空間である事が分かる。
「飲食店も多いんですね」
と、はるなが気づいたように言う。
「あとカードショップとかも意外に多いな——」
「どうしてだリン?」
「飲食店は多いのはまあ、この街自体が一種の観光スポットだからと言うのもあるけど——カードショップはどうしてかな?」
と、俺は頭を捻る。
十年以上もこの街に通ってるが、分からない事は分からなかった。
「ゴミは思ったより少ないかも」
と、まどかが言う。
「いや、本来の日本橋はゴミがけっこう目につくぞ? 酷い時はスーツケースが捨てられてる時がある」
「うわぁ……」
「酷いリン」
「ああ言うのもたぶん自治会とかが泣く泣く処理してるんだろうな……」
自分も最近、ローカルヒーローの悪役側と一緒に環境美化活動に力を入れてるので、その事を思うと何だか申し訳なさが漂ってきた。
今度ヤミノ博士に大阪日本橋の清掃提案してみようかな?
「あのロボットの像は?」
ふとはるなが玩具屋の前に置いてある像に指をさす。
「グレートマジンオーの像」
少し歩いて続いてはるなが質問する。
「あれは?」
「メタルガーの像。着物羽織ってるのは鬼滅人気にあやかったんだろうな」
「鬼滅?」
「鬼滅のカタナ。社会現象にもなった大ヒット作品」
ちなみに自分はヒット作品は何故か読んでない、読まないと言う奇病を患っている。
本当に何でだろう。
創作者としてある意味致命的ではなかろうか。
「それにしても本当に静かだな——」
「うん。一人で探索するのは怖いかも」
「私も」
「僕もリン」
俺の言葉にはるながそう言ってまどかやウサリンも同意する。
「この交差点——向こう側はショッピングモールのはずれに繋がってるのか?」
「そうなのリン?」
「ああ」
そんな違いを確認しつつジョー〇ンに辿り着く。
「うわ、大きな手!?」
「初代ガンネクスの手だ」
壁を突き破る大きな手の飾りにはるなが驚いたようだった。
「この人形は何だリン?」
「ボルトスV。昭和のアニメのスーパーロボだけど、今でもフィリピンで大人気」
「へえ~そうなんだ」
感心したようにまどかはボルトスVの像を魅入る。
「このジョー〇ンの一階はガンネクスのプラモとか置いてある。プラモのラインナップは——コロナやら転売ヤーのせいで一時期酷くて売り場面積が縮小して今もそのまんまだ」
「ここに来たのも理由があるんですか?」
彼方此方に視線を移動させながら、まどかが尋ねる。
「よく通う場所でここを紹介したかったって言うのもあるけど、中学時代の学校が出現している以上、自分がよく向かう場所に何か手掛かりがあるんじゃないかと思ってね」
「なるほど」
と、まどかが返す。
「中学校に直接乗り込む事も考えたけど、なんかレベル1の状態でラスボスの城に乗り込むような真似な気がしてやめておいた」
「あ、なんかそれ分かるかも」
まどかと同様に彼方此方に視線を移しながら、はるなが同意してくれた。
「うん?」
光の蝶が現れた。
それを目で追いかけるトウマ。
そこにいたのは——
「女の子——」
トウマが呟く。
背丈は十代半ばの可愛らしい二人の女の子。
金髪のフワッとしたボブカットに赤いヘアバンド。
大きな黄色い瞳。
可愛らしく整った顔立ち。
もう一人は赤色の髪の毛のサイドテール。
力強い意志を感じる真っ赤な瞳に可愛さと凛々しさを感じる整った顔。
二人とも年頃の少女らしいカジュアルな衣装を身に纏っている。
「黄戸 ようことセイナ・ハレトワール」
黄戸 ようこと・セイナハレトワール。
有名なピュアリアだった。
そして二人ともヒーローが好きだと言う共通点を持つ組み合わせだ。
此方を見て二人とも「あっ」となった。
はるな、まどか、うさりん達も同じ反応になった。
オールスター時空で面識があるのだろう。
☆
そこから二人に軽く事情を説明した。
この世界の事を包み隠さず全部話す。
最初は戸惑った様子を見せたが——
「上手く言えないですけど、私達の戦いが物語としてあなたの世界で語られていると言うことですよね?」
と、上手くセイナ・ハレワタールが簡潔に話を纏めてみせた。
俺は「その認識で構わない」と話を打ち止めにした。
意地悪に聞こえるかもしれないが余計な問題が起きずに済んでよかったと思う。
「これでピュアリアが4人になったね」
「うん。何かの悪い前触れじゃなきゃいいけど」
はるなとまどかが不吉なことを言う。
俺も同じことを考えた。
「ともかく建物を探索してみよう」
「「「「「おー!!」」」」」
「リン!」
皆何故か気合入ってるね。(汗
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