クリスマス

「あなた、警備は順調?」

「ああ。ゆきえはどうした?」

「よっぽど嬉しかったみたいね、はしゃぎ疲れて寝ちゃったわ」

「そうか。…東、念の為ゆきえの部屋の前で警備をしておいてくれないか」

「かしこまりました」

「ありがとう」




  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎犯行予定時刻まで残り1時間





「…………明村さん。犯人の方は分かりましたか?」

「そうですね………やはり、手がかりが少なすぎますね。これではなんとも………」

「そうですか……」







  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎犯行予定時刻まで残り10分




「あなた」

「大丈夫、俺の警備システムにぬかりはない」

「…………」










  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎そしてついに──────





「犯行予定時刻まで、5、4、3、2、1……時間です。旦那様」

「うむ」


  ︎︎ ︎︎ ︎︎「「「………………………………」」」



「………25時1分です」

「……………全部屋異常なし。……ってことはただのイタズラか」

「ほんとうに?大丈夫?もう一度手紙を確認させて、あなた」

「ああ、ほら」

「……………怪盗サンタ………あなた。これ、関係あるかわかんないけど、ゆきえが変なこと言っていたの」

「なんだ?」

「『今年のサンタさんはあわてんぼうだね。クリスマスじゃないのに、お願い叶っちゃった』って」

「あわてんぼう?……まさか!」

「「!!」」

 明村の声をかけ切りに3人で一斉に走り出す。向かうはもちろん、雪絵の寝ている部屋だ。





 雪絵の部屋の前には、東が1人で立っている。

「東! ゆきえは大丈夫か?」

「旦那様。雪絵様なら──────」


 部屋に入るとそこには、



 すやすやと眠る雪絵の姿があった。


「よかった。無事か」

「ほんとうに。ただのイタズラだったみたいね」

「…………旦那様。分かりましたよ、犯人のやりたかったことが」

「本当ですか!明村さん」

「ええ」

「教えてください。犯人はなにが目的でこんなイタズラを仕掛けてきたのでしょうか」

「それは、雪絵ちゃんのを読みば分かるはずです」

「なんだって?東、雪絵の書いた手紙はあるかね」

「はい。持っております。……こちらです」

「どれどれ──────!」

「あなた。なんて書いてあったの?───!」



 東から受け取った手紙に書かれていたのは、ゆきえが書いたであろう文字で一言







  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎お父さんとお母さんに会いたい




  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎





「…………犯人は誰だかは存じませんが、今日ぐらいは、雪絵ちゃんと寝てあげてはどうでしょうか」

「そうします。明村さん、ありがとうございました」

「いえいえ、後のことは任せてください。おやすみなさい」

「「ありがとうございます」」










こうして雪絵ちゃんは


 ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎


 ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎を手に入れたのだった。

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わたしがほしかったもの 紅野素良 @ALsky

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