#2 ゼノのお城
ん?あれ?いつの間にか寝てたみたい。
「ん?起きたか。そろそろ着くぞ」
「えっ?」
あれこの人誰だっけ?……あー、思い出した。私を拾ってくれたんだ。あんな霧のかかった山の中だったから不安だったんだよね。
……ところでお姫様抱っこってどういうことかな?私アラサーなんだけど!!……いや今は違うか。
「あそこだ。俺の城は」
ゼノの指差す方を見てみた。そこにはThe魔王城といった城がそびえたっていた。
「すごい……。めちゃくちゃかっこいいよゼノさん!」
なぜかゼノさんは一瞬驚いたような顔をしたがその後優しく微笑んだ。
「そうだな。俺の自慢の城だ」
★ ★ ★
ゼノさんの城に入ると若い執事らしき人が立っていた。
「おかえりなさいませ。ゼノ様」
「あぁ。出迎えご苦労煎せん」
「ん?そちらのお嬢様はどうしたのですか?」
「伏魔の樹海に迷い込んでいてな。危ないから連れて来た」
「そうでしたか。はじめまして。僕の名前は綠煎です。名前を伺ってもよろしいですか?」
「は、はじめまして。ユイです。お願いします」
「ええ。よろしくお願いします。ユイ様」
とてもきれいな顔立ちをしている美少年だった。あまり身長は高くないがゼノとはまた違った種類のイケメンだった。
「ユイの健康状態が知りたい。ジウはどこにいる?」
「昨夜遅くまで研究していらしたのでまだ起きられていないかと」
「そうか。ありがとう」
ジウさんって誰だろう。健康状態って言ってたから医者みたいな人かな?
「ユイ。ジウは少し変わっていてな。色々面倒なことがあるかもしれぬ。そんな時は遠慮なく俺に言ってくれ」
「う、うん」
ジウさんってそんなヤバい人なの?どうしよう……怖い人だったらやだなぁ。
そんなこと考えていたらジウさんの部屋に着いた。
「ジウ。起きているか?少しばかり頼みがある」
「どうしたのぉ?ゼノ?まだ昼前じゃん。ボクは君から頼まれた研究を昨日の遅くまでやってたんだよぉ」
この人がジウさんか。髪型はウルフボブぐらいで髪色は優しい水色だ。……目の下にすごいクマがある。
「それはすまない。しかし急患でな。みてくれぬか?」
「ん、急患?もしかしてそこの少女のことかい?……ほほぉ、すごい可愛いね!綺麗な黒髪に奥が深い眼。その眼はどんなふうに世界を映しているんだい?」
「やめてやれジウ。ユイが困っている。聞きたいことはまた後で聞け」
「はぁ〜い。そうさせてもらうよ。ユイくんはじめまして。ボクはゼノの仲間のジウ・ロードだ。よろしく頼むよ」
「お願いします……」
「さぁユイくん中に入ってここに座って君を見せてくれ!」
「は、はい」
すごい集中してる。あんな飄々としてた人がこんな顔をするなんて。
「そうだね。健康状態的にはいい方だと思うよ。でも少しばかり体が細すぎるね。栄養価の高いものを食べさせた方がいい」
「そうか。伝えておこう」
私細いんだ。でも何歳なんだろう?10歳くらいには見えたけどしっかりの年齢はわからないな。
「あのっ?私は歳ってわかりますか?」
「年齢?ん〜、君の身長は140cmだし10歳だと思うよ」
「ありがとうございます」
やっぱり10歳だったんだ。そうなると23歳も若返ったことになるのか……
転生したら破滅の皇子に拾われ溺愛されました。 tachyon @tachyon_artist
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