第2話 ウォーターシップタウンの子供達
ウォーターシップタウンは大型のバリケードで周りを囲んでいて電気、水道等を内部で完結している言わば一つの国家だ。でも人口が僅か60名かそこらで働ける人となると40名程になる。
そして、子供は8名。自分もその一人である。
村への入口はいくつかあるけどまずゾンビには移動不可能な暗号式の扉。たまにゾンビが居たりする。
そして村の車両の出入りしている正面玄関口。こっちは開いている所を見ることが少ない。
最後が地下通路。自分はここをよく使っている。監視員とかは居ないけどゾンビはまず入れないようになっている。
地下通路を通り街の端へなんとか出れてこれた。地下通路の出口は芝生の生えた木の側だ。なんの木かは知らないがよくここで子供達は遊んでいる。
その木の下には6人の子供達が居た。全員寝てしまっている。多分待ってくれてたんだろう。
起こさないようお土産を置いて後にする。
まず帰ったら先生たちに報告しに行かなければならない。備品の整理や銃火器の保存を真っ先にしてもらわないと万が一子供達が触ってしまったらいけないからだ。
「先生。ただいま戻りました」
「ん?ああヘイズル。おかえり」
眼鏡をして読書をしているこの白髪の人が先生だ。中性的な出で立ちをしていて見ただけでは男か女か迷ってしまうが女だ。そして白髪だが地毛で20歳となかなかの年齢詐称をしている。
「取り敢えず備品の整理だね。どうせコーンスープだろう?同じものを入れておくよ」
「ありがとう先生。あと燃料棒も使ってる」
「そっちも補充しておこう。他に要望はあるかな?」
首を振り無いことを伝えると先生はバックパックを持ってその場から去った。残された自分は早速子供達の所へ行こうと思ったが、銃を預けることが先だと思い出した。先生にはバックパックを預けただけで銃はまだ持っているのだ。
銃は整備士の居る学校へ行かなくてはならない。ちなみに先生も普段はここに居る。
学校の理科室を魔改造した作業部屋を根城にしている二人の整備士さん達へ向かう。
「お預けに来ました」
「お、来たか。待ってたぞ小僧」
出てきたのはおっさん。ヒゲの似合う活発的な爺さんで整備士として銃火器だけでなくライフラインの整備点検も仕事だ。
そして、その人の娘もまた整備士だ。
「しぶとく生きて帰ってくるね〜……。弾、扱い、要望は?」
「24発、狙撃でスコープを綺麗に磨いてほしいです」
「わかった。お父さん銃はわたしがやるよ。あとで電柱見て回るんでしょ?休んでて」
この青い作業服をだらしなく着こなして金髪に染めたポニーテールのお姉さんがこの人の娘さんだ。男勝りな性格以外どこも似てないがどこか別の所で似てる親子だ。
銃を預けたら自分はやることが無くなる。暇になったがそういえば子供達に帰った挨拶をしてなかった事を思い出した。これをしないと夜にギャーギャー騒ぐのだ。
先程の地下通路の入り口まで戻ってくるとまだ寝ていた6人。そこに一人が追加で居た。
「………
「おかえり
そう言い隣の芝生をトントンと叩く黒髪ロングの女の子。これで子供全員が集合した事になる。
「恵はどこに居たの?」
「捜索準備。荷物の再点検をしてたの。必要なかったけど」
そう言い子供達の頭を撫でていく。少し心配させてしまったのかもしれない。だが、それ以上に有益なものもあった。
「生存者が居たんだ。かなり遠かった。まだ大人達には言ってないけどあとでちゃんと言うよ」
「……………」
「残念だけど当てはまる特徴は一つも無かったよ」
彼女は親と逸れた子だ。今回は彼女の言うどの要素にも当てはまらない赤の他人だったけど生存者が居て良かった。村人になってくれるのも期待しているが、そうならずとも村の事を他の村へ伝えてくれるだけでも今後に希望が持てる。
その人はまだ生きているだろうか?
その後起きてきた子供達を相手にしていると暗くなってきた。そろそろ会議の時間である。
荒廃しちゃったけど俺達は生きてます デルタイオン @min-0042
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